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時過ぎても、想いは変わらず  作者: 美緒
第四章 第一王子
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Ⅵ 謁見

 時が過ぎるのも早くあっという間に二日過ぎ去っていった――――。


 ついにレイが第一王子フリューテルに面会する当日となった。

 その短い二日間で、宣言通りレイが第二王子の稽古を行ってきたお陰で筋が良くなってきた。

 それが嬉しいのかフォルテは今までの表情が嘘のように明るくなっていた。

 筋が良くなってきたというだけでなく、自分自身に出来ることがあるという認識が多いいのだろう。

 この度の謁見に同席するようだ。

 何かあった時の為にと半ば強引に護衛を増やさせたレイの企みは成功し、錚々たるメンバーが顔を揃えていた。

 近衛騎士であるシュアークはもちろんのこと、レイの今の拠点とも言える第七騎士団隊長ビューと副隊長のレネ、なぜか団員のバルーゼが顔を揃えていた。

 第一王子と接点がなかったのか、普段より心なしか表情が固いバルーゼは少々大丈夫なのかと不安を感じる。

 フォルテに関しては久々に兄に会える喜びもあるのかハツラツとした雰囲気だ。

 そんなメンバーに囲まれ移動したレイは第一王子の侍女に用意が出来て声をかけられるのを応接室で待っていた。


 ほんの少しだけ待たされレイ達が入室した部屋でようやく彼に会うことができた。

 ベットから起き上がることが出来なくなったという彼は広い寝室に置かれたキングサイズのベットに身を起して座っていた。

 第一印象はその体の細さから儚さを感じたが、漂う雰囲気と瞳を見てそんな考えは飛散した。

 力強くこちらを見つめて来る様は王族といえる。

 にこやかに微笑む眼差しに変わるが、全てを認め許すような甘さを感じさせないものだった。

 レイは気付かない間に口を動かし、微笑みを浮かべていた。


「及び立てして申し訳ありません。2ヶ月程前からベットから起き上がることが出来なくなってしまいましたので、このままの恰好で失礼します。

 初めまして、リーベルア国第一王子、フリューテル・デリア・リーベルアと申します。

 弟のフォルテがお世話になっているようですね」


 先に切り出したのは第一王子であるフリューテルの方だった。

 穏やかに話しかけるフリューテルに侍女に勧められたベットサイドに用意されている椅子に腰かけながらレイも同様に穏やかに話しかける。


「いいえ、私も貴方にお会いしたいと思っていましたのでうれしゅうございました。

 私はレイと申します。

 どうぞ良しなに。

 弟君のフォルテ様は大変筋がよろしいので教えがあります」


 穏やかに話すレイの言葉づかいは普段とは全く違う柔らかいどこぞのご令嬢の様な丁寧な話し方だった。

 しっかり教養のある令嬢だったことに一瞬胸をなでおろしたフリューテルだったが、彼女の背後に控える騎士達の表情に目をやると考えを改めた。

 誰もがあからさまに表情がいつもより胡散臭い物を見てしまったという様な顔つきをしていたのだ。

 それは長年第一王子として傍にいたこともあった第一王子であるフリューテルだからこそ分かる些細な違いだった。

 その変化に気付いたフリューテルは思わず目の前に腰掛ける女性に目をやると、悪戯をしているかように無邪気に微笑んだ。

 これは何か理由があって行っていると考えついたフリューテルは目の前の女性の人柄が普段と違うことに気がついた事を悟られないように振る舞った。


「いろいろ貴方とお話したいこともありますが、まずは異世界の医術というので私を見ていただけないでしょうか」

「かしこまりました。では失礼します」


 そういいレイは立ち上がり、診療を行っていった。

 瞳孔、口の中、心臓の音、手の平や腕などを触りながら見せてもらった。

 一通り見終わったレイは今度は椅子に腰かけ質問に答えてもらう。


「それでは、少し質問にお答え願います。まずは、いつ頃病状が出始めましたか?」

 頷いたフリューテルはレイの質問に答えていった。

「2年ほど前だろうか……軽い症状だったが」

「それはどんな症状でしたか?」

「喉が異様に乾いたり、立ちくらみがしたりする程度だった」

「最近の調子は?」

「あまりよくない。今日は比較的良い方だが」


 ふむとさまざまな詰問のような質問を繰り返した後、何かを考えるようなそぶりをした。

 その様子を見たすべての人が何か知っていることと結びついたのかという希望をいだいた。

 それは本人であるフリューテルでさえ同じ気持ちだった。


「では、最後にもう一つ。

 2年前から変わらなく行っている事はなにかありますか?」


 一番聞きたかった質問はたったの一つでこの問いだけが本来ならば聞きたかった。

 しかし、どこでだれが聞いているか分からない状態で核心に迫った事をすぐに口にするのは良くないと思ったレイは、遠回りをしてさまざまな質問をしていた。

 当の本人であるフリューテルは何か変わった事と言われても、と言わんばかりの表情で考え込んでいた。

 二年間という短いようで長い時間はいつからか習慣になっていることを思い出そうとしても、それがいつから始まったことだというのはなかなか出来ないものだ。


「――――一つある」


「それはなんでしょうか?」

 ようやく思い当たる一つの事を思い出したフリューテルはレイに促されるままに答えた。


「食後の薬湯です。

 食後30分後に飲むと良いと言われている。

 そろそろ侍女が持ってくるだろう」

 一瞬レイの瞳が怪しく瞬いたがそれに気付かれることはなかった。

 まさしくフリューテルの言うとおりドアがノックされ侍女が入室してきたからだ。


「あれがそうですか?」

 侍女がお盆の上に用意しているのは、陶器の茶器に入れられた薬湯と呼ばれる物。

 その問いにフリューテルは黙って頷くことで肯定した。

「銀食器ではないのですね」

 ちょっとした質問だったが、フリューテルは驚いたように目を一瞬だけ大きく開いた。

「なんでも銀食器で入れると良くない成分が出てしまうから使うことが出来ないらしい。

 実際この薬湯を飲んで良くなったこともあったからいままでずっと飲み続けている」


 説明しながら侍女が持ってくるのを穏やかに待っているフリューテルの横顔を眺め、運んでくる侍女を見つめるレイ。

 一瞬運んでくる侍女の身体が強張ったが、穏やかに微笑んでいる姿を見て安全だと判断したのか徐々に自然体に戻っていく。


「その薬湯私にも少し飲ませてていただいてもいいかしら」

 疑問形で聞いているそれは断られるとは思っていないような口ぶりだった。

「……まぁ、薬湯だから害はないからいいけども……おいしいものではないよ?」

「構いません。この世界の薬湯がどんなものなのか知りたいだけですから」

 そう言いながら微笑むレイは、歩み寄ってくる侍女の手が少しばかり震えたのを見逃さなかった。

 恐らく、私がけしかけた暗殺者が敵国の者に伝わり、準備もそこそこに王太子を亡きものにする計画を早めたのだろう。

 拒絶する暇も与えず侍女のお盆から茶器を貰い受けると、一口頂いた。

 息を思わず飲む侍女に他の誰も気付くことはない。

 それは私がこんな暴挙にでたこともあったからだろう。

 臭いを確認した後カップをソーサーに戻した。


 無味無臭。


 これでは分からないのも無理はないだろう。

 だが、焦ったのか致死量に近い毒物が入っていただろう事は分かる。

 血が逆流するかのように体内に入った異物を察知して血が引いていくかのような錯覚を体内が駆け巡る。

 毎回毒などを察知するとなる身体に起こる変化で身に起こった事実を確認する。

 いつからこうなったのか覚えはない。

 だが、傍目に見ても何の変化が起こっているかという事実が隠ぺいされているということも分かっている事だった。

 密かに怯えていた侍女が何も起こらない私を見て安心したのか冷静に対処してきた。


「では、新しい薬湯をご用意いたします」


 さすがに王子に他人のつけた物を勧めるわけにいかないのは無理もない。

 だが、ここで逃がすほどレイは甘くなかった。

 恐らく何かを嗅ぎつけられたのに気付いただろう彼女は行動を起こすはずだ。

 逃げるか、追い詰めてくるかどちらかは分からないが……。


「お待ちください」

「はい?」

 呼びとめればくるりと向きを変えて答えてくるが、いかんせん扉まで距離が近すぎた。

「これは貴方が自ら?」

「はい。

 私しか処方の仕方を存じ上げないものですので……」

「では、作るところを見せていただきたいのですがよろしいでしょうか」

「いいえ、門外不出のものでございますのでご遠慮願います」


 いいながら侍女が服の上から何かを抑えたのを見逃さなかった。

 素早く礼をして退出しようとしている侍女を捕える用に指示を出す。


「彼女を止めないさい!

 早く!」


 しかし言っても動くものは誰もいなかった。

 チッと舌打ちして自ら動いた。

 第一王子についで次に遠いところに腰かけていた彼女は一瞬にして侍女の前に割り込み拘束した。

 しかしその顔は命令したのにも関わらず一向に動こうとしなかった無能な騎士に冷酷な視線を向けていた。


「止めろと言ったらすぐに止めろ。

 なんの為にここに来たんだ貴様ら」


 先ほどまでかぶっていた仮面はすぐに剥がれ落ちた。

 そこには命令しなれた王が存在していた。


 逃げようともがく侍女の腕を強く握っているわけではないが掴んでいるのはレイ他ならない。

 彼女に捕まればもう逃げることはもう出来ない。

 彼女自身が許さない限り。

 しかし、強い柄らでつかんでいるわけではない。

 本当に思いっきりレイが握れば、侍女の細い腕の骨は粉々に砕けてしまうだろう。


 先ほど侍女が握っていた辺りを探ってみれば、シンプルながら精巧な模様のカメオだった。

 それを取りだされた侍女は取り返そうとさらに暴れた。

 それを見かねたバルーゼが動き侍女を逃がさないように拘束した。

 その際にレイが視線で逃がすなよと念を押すことも忘れていなかった。


遅くなりました。前回よりは早いので若干ほっとしていますm(_ _)m


毒を飲んだ後の症状がどういった状態になるのか分からなかったので、私の偏見とレイが人外であることを考慮して読んで頂けると幸いです^^;


話しの都合上長くなったり短くなったり申し訳ありません。

切ってしまうと短くなってしまいますし……すみません、力不足です。

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