Ⅳ 対面
前半がレイ視点、後半が国王視点となっております。
紛らわしくて申し訳ありません。
広い室内にたたずむ人たち。
扉からまっすぐ行った先にある玉座。
そして、その手前に並び控えるのは近衛兵だろう。
それ以外は煌びやか衣装に包まれた貴族たち。
おそらく彼らはそれなりの地位についているものだと推察する。
そしてその貴族の合間を縫って等間隔に並ぶ騎士。
玉座へと伸びている通路をシュアークに導かれ歩いていく。
貴族という名の生け垣の中を。
遠くはないが近くはないその道を歩き、止まればこの国の国王の顔がようやく見えて来た。
その横に座るのは恐らく王妃で、王の隣にたたずむのはこの国の第二王子である以前会ったまだ幼さを残すフェルテがいた。
その隣には宰相と思わしき人物と近衛たち。
しかし、この場に第一王子と思われる人物はいなかった。
自分が危うい人物だとしたら危険だからだろうかと思ったが、なぜかそれは違うだろうなと確信していた。
国王の愛を一身に受けていると言われている王妃が居るのだからという安直な答え。
しかし、これはただのこじつけでしかない。
自分の直感がそう思ったのをそれらしい理由に置き換えているだけだ。
少し歩くとシュアークが立ち止り、それに合わせて周りの騎士たちが立ち止る。
レイもそれに合わさざるを得なく、立ち止る。
ここで普通ならば声がかけられるまで頭を下げていなくてはならないだろうが、レイは目の前の玉座に座る男――国王を見据えた。
門番の騎士から合図が入り、ようやく謎の少女と会おうことが出来ると胸を膨らませる。
己の事を異端者と下げずむ人物はどんな者だろうと、安直に考えていた。
それは、私だけではない。
私を直属に守る近衛騎士たちも、宰相、そして、数多くの貴族たちも同じだったに違いない。
少々ざわつく室内がそれを肯定しているようだった。
視線だけで合図をし、数秒後謁見室の扉が開いた。
シュアークが先頭に入ってくる。
その段階で自分はなにか勘違いをしているような錯覚を感じた。
己がゆうゆうとこの場に座っていていいのだろうか――――と。
例の少女が入ってくると室内は静かに沈黙が支配する。
空気が震えているかのように感じる。
この世のすべてを支配する真の王者に出会い歓喜しているようだった。
シュアークが立ち止り、周りの騎士たちが少女を囲むように立ち止る。
少女は立ち止ると王を――自分を見据えて来た。
まるで、己こそがその場にふさわしいと言われているかのような錯覚が起きる。
しかし、よくよく見れば呼びつけた人物を周りの状況を確認しているようにしか感じられなかった。
己の弱さから起こる被害妄想だった。
「――――王」