プロローグ
間違えて短編であげてしまっていたので、再度連載で掲載します。
駄文ですが、お付き合いいただけましたら幸いです。
しまった……
グラリと視界が回転するのを他人事のように頭の片隅で思う。
限界だった。
一体どれだけの間食事をしていなかったのだろうか……それほど遠くはないはずのことなのに思い出す事が出来なかった。
のどがカラカラだった。
また奴らに叱られるなと自称的になりながらも、彼女は自分が倒れることになっても無理やり食事をとろうなどという考えは全くない。
それは、遠い昔にいた彼に誓ったことだから違えることはしない。
何か特別な理由がない限り。
そんな中、もう忘れかけていた彼の声が聞こえた気がした。
----時和
声が出ずに彼女の唇だけが動きその人物の名を刻むと同時に意識を失った。
実際に音になっていたのなら、それは優しくも哀しみを帯びた旋律になっていただろう。しかし、それを聞く者も見るものもいなかった。
驚くことに、彼女の体が次第に薄れていき姿を消した。
その場にはいつもと変わらない静寂な雰囲気が漂いだし、彼女が居たがために漂っていた厳かな雰囲気は払拭された。
それは同時に彼女が存在した形跡を残すものがなくなったことにつながる。
後から彼女を探しにきた彼らが青ざめることとなるとは知らずに――――。