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第八話 ましろのお仕事

この作品を選んでいただき、ありがとうございます。

初めての作品になります。至らない点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

更新は毎週火・金予定です。

魔力測定が終わり、俺たちは会議室に集まった。


巌斗特尉の姿が見えなかったのは、別任務で外に出ているかららしい。

しかも今回は長期任務。当分の間は基地に戻れないとのこと。

この部隊の実働を、ほぼ一手に引き受けているのが彼という話だ。


「ましろちゃん、魔力検査の協力ありがとう。

それじゃあ、ましろちゃんの今後の仕事について、少し話そうか」


凪隊長は頭を掻きつつ、言いづらそうに続ける。


「当初、君たちには巌斗の手伝いをしてもらおうと思っていたんだけどね。正直、今すぐには厳しそうだ」


「じゃあ、どうするの?」


「当分の間は、訓練をしてもらおうと思ってる」


「それって、どれぐらい?」


「えっと……もうちょっと強くなるまでかな。大体、百年ぐらいかな」


百年!?

ましろの時間は俺が思っている以上に長いのか。


「えー! そんなに訓練ばっかり、いやっ!」


「だよね……」


凪隊長は苦笑した。


正直、ましろが拒否してくれて助かった。

流石に自分の一生を訓練だけに捧げられるほど、俺は立派じゃないからな。


「ましろ、お主は何かやりたいことはないかえ?」


久遠副隊長に促され、ましろはうーんと唸りながら体を揺らしている。

そして、ぱっと笑顔を浮かべた。


「みんなでゲームしたい!

コジマとニノミヤとスガノも、いっしょに!」


……いや、それは仕事じゃないだろ。


と、俺はそう思っていたのだが、会議室の空気が、すっと張り詰めた。


凪隊長と久遠副隊長は黙ったまま、考え込んでいる。


「魔人というだけで……そんな当たり前のことすら、出来なくなってしまっているんだね」


凪隊長は悲しそうに呟いた。


「ああ、我らの怠慢のせいじゃな。面倒じゃったとはいえ、少し放置しすぎたの」


二人の言葉の意味は、完全にはわからなかった。

ただ、この空気の中で、軽口を挟める気もしなかった。


「魔人っていうのが足枷になっているのなら、それをどうにかするしかないか」


「今後も、ましろのような存在が生まれぬとも限らん。さて、凪よ。どうする?」


「うーん……困ったね」


その時、凪隊長と目が合ってしまった。


「ここに、人間が一人いるね。

――湊原君。君は、人間社会に詳しいだろ?」


「は、はい」


「魔人が、人間と一緒に普通にゲームができる世の中にするには、どうすればいいと思う?」


突然の質問に、喉が鳴る。

だけど、ふとあの日の送別会が頭をよぎった。


「……魔人のことを知ってもらうことではないでしょうか?

少なくとも、私も、以前の部下たちも、ましろのことは怖くないです。

それは、ましろのことを知っていたからだと思います」


「なるほど……。人間は未知を恐れるか……」


凪隊長がまた考え込み、そして、小さく呟いた。


「……知ってもらうだけなら、方法自体はある。

SNSや――それこそ、“優通部”みたいな動画配信サービスも……」


しかし、その呟きは、ましろに聞こえてしまったらしい。


「ましろ、“ユウツウブ“やりたい!」


「そのユウツウブとは、なんぞ?」


「んとね。ゲームで遊んでいるところをみんなに見てもらうの!」


いや、それはちょっと違う……。

確かに、俺はゲーム配信動画ぐらいしか見ないけども。


「ゲームに限らず、好きな動画を投稿したり、生配信したりして、不特定多数に見てもらう場所です」


「ふむ……自分たちの姿を見せることで、知ってもらうと」


「ええ。そうです。ただ……問題もあります。

ましろの存在が、広く知られてしまいます。安全面を考えると、正直、私は反対です」


「えー、ましろやりたい!」


俺はましろを見せ物にしたくはない。

魔人というだけで、稀有な存在なのに……。


「湊原君の考えもわかる。

しかし、ましろちゃんの存在はいずれ世間にバレると思うよ?

いくら緘口令が敷かれているとはいえ、全てを隠すことなんて不可能に近い」


「むしろ、知ってもらい、守られる状況を作る……というのはありかもしれの」


「――悪くないんじゃないか。少なくとも、“何もしない”よりは」


「やろう、やろうよ!」


俺を除いた三人の中では、やる方向に気持ちが向いている。

しかし、俺はやらせたくない……。


「ネットの向こうの相手はいい人ばかりではありません。それこそ悪意の持つものも必ずいます……。

そんな相手にましろを晒すのは嫌です……」


「……湊原君。その気持ちもわかるさ。

でも、何かあれば、僕たちが守ってあげればいいだけじゃないか」


「そうじゃぞ。ここより安全な場所なんて無いしの」


それは物理的な防御ってことでは……。

だけど、なぜか気が楽になった。少なくともこの最強の人たちは味方だ。


ましろを見ると、期待に満ちた目で俺を見上げてくる。


……そうだ。少なくとも俺も絶対に守るしな。


だったら――

俺は、ましろと一緒に前に出よう。


「ましろ、やりたいか?」


「うんっ!」


「じゃあ、俺も一緒にやるからな」


「ん? そんなの当たり前だよね?」


……当たり前か。よし、覚悟が決まった。


「やったー。これでおしごと中もゲームができる!」


っと、そうだ、勘違いは教えとかないとな。


「ましろ、俺たち軍属だから、業務時間中にゲームはたぶん無理だぞ?」


ましろはきょとんとした表情で固まり、周りを見渡す。

凪隊長も久遠副隊長も、何も言わずに目を逸らしていた。


まあ、要望があればゲームも出来るかもしれないけどな。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

もし気に入っていただけたら、ブックマークや感想ももらえると嬉しいです。

湊原ましろチャンネルをよろしくお願いします!

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