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第39話:サルアーフ王国滅亡悲話

昔の事件のお話中心なので、

変にメインキャラ視点よりも

第三者視点で淡々と描写したほうがいいかな?

とか思って、敢えて試験的に書いてみました。


またまたお時間頂いて申し訳ない……。

今から1000年以上前に栄華を誇ったサルアーフ王国。


古代より森の民として生きてきたエルフと、敵対種族であったはずの狩猟民族ダークエルフが手を取り合い歩み始めたことによりその(いしずえ)は築かれた。


霊力あふれる大森林の中心に天高く(そび)える世界樹の恵みを受けて、王国は繁栄を極めてゆく。


森に満ちている、魔物を生み出す素となる魔素を世界樹が吸い上げ、それを極めて質の高い霊力へと変換し、その霊力を受け取ることでエルフとダークエルフは亜人種としては破格の能力を手に入れていた。


元々魔力に秀でていたエルフは、精霊に匹敵する魔力と霊力を。


元々身体能力に秀でていたダークエルフは、巨人族に匹敵する身体能力と膂力(りょりょく)を。


そして共に高い次元まで引き上げられた魂とその器は、他の亜人種の追随を許さない寿命を手に入れていた。


(しゅ)としては非常に高等な存在になっていたと言っても差し支えない程であった。


また、それぞれに(まれ)に生まれてくる、霊力が高いエルフの中で膂力(りょりょく)が群を抜いて最も秀でたエルフが女王を務め、膂力が高いダークエルフの中で抜群に霊力が秀でたダークエルフが世界樹を(あが)める大神官を務めることで、権力のバランスを取りつつ円滑に王国の運営が行われていた。


しかしながら、種族として高等種となったエルフ及びダークエルフにとって、人間種(ヒューマン)及びその他亜人種は、取るに足らぬ劣等種として(さげす)まれることが日常となっていた。


魔物か家畜と同等か、(ある)いはそれ以下。

良くて奴隷のような扱いが常であった。


ただ、幸いなことにエルフ種もダークエルフ種も種族的には攻撃的に他を蹂躙(じゅうりん)し屈服させるような闘争民族ではなかったため、大陸に覇を唱えるような大規模な支配拡大侵略行為は行われなかったことから、他国から必要以上に警戒もされずに、王国の存在が危険視されることもなく、対外的にサルアーフ王国は永い間 平和であった。


色々と紆余曲折(うよきょくせつ)は大なり小なり存在はしたものの、サルアーフ王国は成立から2000年程は泰平の世を謳歌(おうか)していたのだ。




―――そして、エルフの中でも殊更(ことさら) 強靭(きょうじん)な身体能力とまばゆい美貌を持っていたレインが女王に即位し、大神官にはダークエルフで最も聡明で神のごとき神秘的な容姿を持ち神力霊力あふれるナルシュタインが着任した代となる。




流石(さすが)に王国も2000年を越える歴史を積み重ねると、色々と腐敗や歪みが顕著(けんちょ)になってきていた。


(おご)り高ぶるエルフとダークエルフは人命を(ないがし)ろにするどころか、恵みを享受(きょうじゅ)するべき存在の、世界樹を始めとした大森林をも軽く見る風潮が当たり前となっていたのだ。


そのような背景の中もともとは隣接する里同士、よく知る顔同士として惹かれあっていたレインとナルシュタインだったが、それぞれ女王と大神官、与えられた役割によりその恋慕は引き裂かれた形となった。


王国では、女王と大神官が結ばれて産まれたエルフが必ず全てにおいて人間種(ヒューマン)以下の劣等種 として生を受けるため、交わりが禁忌とされていたからだ。


産まれてくるエルフは確実に、魔力も霊力も身体能力も膂力もゴブリン並程しか伸びないため「忌み子」として扱われ闇に葬られてしまう。


レインもナルシュタインも、若い頃からそれぞれの能力の高さから()()危惧(きぐ)していた。


レインは単騎でミノタウロスをも仕留める身体能力。

ナルシュタインは天候をも自在に変える霊力。


2人がそれぞれ女王と大神官として、王国の頂点に立つことは必然であっただろう。


それでも2人は、お互い力を合わせて王国を支えて行こうと誓った。

たとえお互いが結ばれずとも。




「王国が私たち2人の子供のようなものだ。」

「支え合って共に(いつく)しんで()でてゆこう。」




2人はそう誓い合い、同じ方向を見て歩き出した。




はずだった。




理想に燃えていた2人の歩む道は、次第に分かたれていく。


立場の違いと、見えている世界の違いが2人の道を決定的に(たが)えていったのだ。


世界樹信仰の大神官であるナルシュタインは慈愛と博愛を掲げ、エルフ以外の亜人種への迫害緩和や人権確保など、エルフを含めた全ての国民全体の融和と平和を訴え始めた。


しかし女王レインは更なる国力増強の為に安価な奴隷の労働力拡大を進め、その労働力を森林を切り開き作り上げる支配地域に宛てがい経済力・軍事力の強化へと踏み出したのだ。


人間種(ヒューマン)を含む亜人種を湯水の(ごと)く使い潰すレインに、ナルシュタインは強い反発を覚えた。


王国に食客として身を置いていたクリストフだったが、世界樹の恩恵で高等種となっているエルフが中心のサルアーフ王国は能力至上主義であった為、身体能力・霊力共に相当な水準の吸血鬼(ヴァンパイア)という事で、なかなか良好な扱いを受けており、稀に女王から意見を求められる程であった。


また、人間種(ヒューマン)を伴侶とした博愛主義者という観点から、大神官ナルシュタインからも非常に好印象で覚えが良かった。


だからこそ、クリストフは悩んだ。


女王も大神官も、歩み寄り手を取り合うことで、もっと心身共に豊かな繁栄を造りだせる道がある筈だと。


しかし、クリストフには、もう情熱がなかった。


かつてのクリストフであれば、両者の間に割って立ち入り、懸命(けんめい)に共存の道を()いていただろう。


だが、最愛の妻を(うしな)い、死に場所を求め王国に辿り着いた吸血鬼(ヴァンパイア)にとっては、王国の衰亡など全くの他人事(ひとごと)でしかなかったのだ。




日増しに女王を中心とする強硬派と、大神官を始めとする穏健派の対立が深まり続けるそんなある日のことだった。


飛び抜けた魔力と霊力を兼ね備えた若い魔道士が女王の目に止まった。


数々の功績と実績を目にした女王は、その魔道士、サンドリアスを次第に重用(ちょうよう)し始めた。


彼の編み出した術式により、世界樹はより効率的に魔素を霊力に変換させはじめ、王国の軍事力は飛躍的に跳ね上がったのだ。


しかし、その術式とは、亜人種を生きたまま世界樹へ取り込ませ、魔素だけではなく生命力をも霊力へと変換する外法とも呼べる術式であった。


女王レインは結果に大層喜んだ。

反対に大神官ナルシュタインは余りの所業に激昂(げきこう)した。


「罪のない人々の犠牲の上に成り立つ恵みなど!

何もかも間違っている!!

母なる世界樹への冒涜(ぼうとく)だ!!!」


義憤(ぎふん)()られ冷静さを失っていたナルシュタインは、少ない共を連れてサンドリアスが研究を続けている地下研究室へと乗り込んだ。


しかしそこで彼が目にしたものは、捕らえられた友人クリストフが繋がれた、忌まわしい魔導装置であった。


狡猾(こうかつ)悪辣(あくらつ)なサンドリアスは、亜人種の生命力に飽き足らず、極めて質の高い魔力霊力を持つ吸血鬼(ヴァンパイア)に目を付けていたのだ。


騙されて水銀入りの血液を飲み、気を失ったクリストフはサンドリアスに捕捉(ほそく)され、彼が造り出した魔導装置のコアに埋め込まれてあらゆる力を吸い取られ続けていたのだ。


朦朧(もうろう)とした意識のクリストフの目に、ナルシュタインが映った。




「…………来るな。馬鹿者……………………。」




しかし彼の願いも(むな)しく、クリストフの目の前で大神官ナルシュタインは無惨にも討ち取られた。


「ケヒヒッ!! これで女王陛下も

喜んで下さる!!!」


唯一難を逃れ、地下研究室から生き延びて帰還したナルシュタインの弟、ウィルシュタインはその足で女王レインに謁見した。

そして事細かくレインへと詳細を報告した。


「………………許せぬ!!」


レインは烈火の(ごと)く激怒し、サンドリアス討伐隊を即時に組織した。


それにとどまらず、サンドリアス主導の亜人種を(にえ)に捧げた霊力採取の外法の罪をすべてサンドリス1人に(かぶ)せ、彼の妻子や両親を始め一族郎党全員を連座で誅殺(ちゅうさつ)したのだ。


そしてナルシュタインの後釜にウィルシュタインを大神官に据えて体制を立て直し、ダークエルフの重鎮(じゅうちん)をも掌握(しょうあく)すると、レインはサンドリアスが立て(こも)る研究室をエルフ及びダークエルフの精鋭(せいえい)で包囲した。


サンドリアスは、レインの口からナルシュタインについて良い言葉を聞いたことはなかった。


(ゆえ)にサンドリアスは、レインがナルシュタインを(うと)んじているものだと思っていたのだ。


しかし道を(たが)えたとは言え、レインにとってナルシュタインは、かけがえの無い最愛の人であった。


幼い頃から心を通わせ、共に王国を栄華の極みへと昇り導こうと誓った相手だったのだ。


その最愛の人を殺された恨みと怒りは如何(いか)ほどであっただろう。


「サンドリアスゥゥゥゥ!!!!!」


憤怒に歪むレインはサンドリアスを視界に捉えると、躊躇(ためら)わずに愛剣イロリナを振り下ろした。




「…………………………最早(もはや)、これまで。」




サンドリアスの首が飛ぼうかという、その今際(いまわ)(きわ)




「女王陛下……。誠至極(まことしごく)、残念極まりない。」


「なにッ!?」




外法に飽き足らず、暗黒の呪術にも手を染めていたサンドリアスは禁忌の中の禁忌とされていた秘術を発動させ、自らを不死の存在、リッチへと変遷させ、自身の魔力を解放した。


そしてその魔力と邪神への(おぞ)ましい祈祷に加え、クリストフから吸い上げる魔力を原動力とし、その膨大な全てを世界樹にぶつけることで、世界樹は魔素だけでなく王国の生命力全てを吸い上げた。


瞬時に干からびていく、レインとその場にいたエルフたち。


そのあふれ出た(おぞ)ましい力は、緑あふれる王国を一夜にして砂漠の亡国へとその姿を変えた。


また、その瞬間の爆発力は現実世界の核爆発にも匹敵し、外で包囲していたウィルシュタインを始めとするエルフ達をも一瞬で全滅させた。


残されたのは、抜け殻と成り果てた世界樹だけであった。




「ケヒヒヒヒッッ、、、

許さぬ。許さぬぞぉぉぉ!!!

エルフもダークエルフもすべて許さぬ。

この私の素晴らしさを理解出来ぬ者は

(すべから)く許さぬ!!!」




一部、北の大森林に逃げ(おお)せたエルフもダークエルフも、世界樹からの恩恵を失うことで能力のほぼ全てを、その他亜人種並の種族へと落とされていた。


新たな生命を得たサンドリアスだったが、魂の成長面においては既に輝きを失っており、正気を失い地下に埋もれた研究室で1000年も邪悪な祈祷を続けていた。


こうして滅亡して久しいサルアーフ王国だったが、特異点である【夢の創造主(ドリームマスター)】が来訪したことで、その歯車がまた動き出すのであった。

レインもナルシュタインも

クリストフもサンドリアスも、

色々背景とかエピソードとか考えてたんですけど

収集つかなくなってしまったので

簡潔にまとめさせていただきましたすみません。


でもクリストフとバティカの関係は、

源氏物語→智恵子抄 みたいな感じで考えてました。


(2026/03/05)

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