第3話●ステータスオープン!!
3話目の主人公は3人のリーダー、セイヤくんです。
受付のお姉さんに呼ばれて通された奥の部屋の真ん中には、人間の頭くらいでっかい水晶玉が鎮座してた。
「改めて冒険者ギルドにようこそ。
若き魂にカスネル神の加護があらんことを。」
水晶玉の横に立ってるおっさんが軽くお祈りしてくれてオレたちを迎えた。
「あっ、こんにちは、です。
っと、ユボーラ村のセイヤ、です。」
たぶんギルド長か、その次に偉い人かな?
オレは軽く自己紹介して頭を少しだけ下げた。
「同じくユミィです。」
「アイです。」
2人もそれに倣う。
「ふむ。君たちは冒険者志望でいいのかな?
まぁ冒険者ギルドに来てる時点で
聞くまでもないだろうけどね。
私はここの冒険者ギルドの副長、ダースだ。」
ダースと名乗ったおっさんが、オレが記入した書類に目を通しながら口を開いた。
先ほど受付で記入した希望欄は、一般職ではなく当然、冒険者職に印を付けて提出したからな。
つーか形骸化している選択項目ではあるよな。うん。
別にオレらだけじゃなくて、きっとこの世界に生きてる人はみんな、成人である15歳を迎えた年齢で、職業神であるカスネル神の洗礼を受けて、なにかしらの職業を賜る。
オレらの村の大人たちはみんな地に足をつけた堅実で慎ましい生活のために、農夫だったり猟師だったり革職人だったり商人だったり、そういった一般職に就いて日々営んでいる。
それとは別に戦士だったり魔法使いだったり剣士だったりそういった冒険者職に就くことで、冒険者として生計を立てている人もいる。
一般職でも冒険者職でも職業に就くと恩恵があり、農夫だったら農産物の収穫量が上がったり、商人だったら計算能力が上がったり、戦士だったら剣術スキルと腕力が上がったりと、何者でもない村人の時よりも職業補正がかかるのだ。
そういった理由で15歳を過ぎても村人や街人などの、言うなれば"無職"でいる人間なんて本当に稀だし、皆成人を迎えると職業を賜るために当然のようにカスネル神から洗礼を受ける。
それが社会の仕組みであり常識なのだ。
え? なんでそんなに詳しいのかって?
まぁ、うちの村の自警団やってるミュラーおじさんが実は冒険者職の剣士をやってて、個人的に色々話聞いてたってだけなんだけどさ。
んで、別に一般職になるには直接 職業神殿に行けばいいんだが、冒険者志望となると、まず冒険者ギルドで適正を見てもらったほうが後で色々とスムーズに事が運ぶって話らしい。
「では、君たちの職業適正を測るために
それぞれステータスを見せてもらうよ。
ひとりずつこの水晶玉に手を当ててくれるかな。」
―――――来た……!
いやまじドキドキする!
緊張してきた……!!
これが別に農夫やら職人やらの一般職なら、どんなステータスでも希望の職業に就くことが出来るんだが、やはり戦闘職とも言える冒険者職に就くにはある程度ステータスで資質や適正がなけりゃダメらしいのだ。
例えば戦士に就くにはステータスの腕力がC以上、魔法使いに就くには魔力がC以上とか、その本人の基礎力がなけりゃその職業になることは出来ないっつーわけだ。(もっと細かい基準があるらしいけど例えばの話な)
冒険者になってギルドカードを発行してもらえば、そのカードに軽く魔力を通せばいつでも自分のステータスが見れるんだが、そうでない場合はこのギルドにあるような測定専用の水晶玉を通さないとステータスの確認が出来ない。
だからいざカスネル神殿に行って職業に就こうと思っても実は資質が足りんくて希望の職業に就けなかった、なんてことは結構あるらしくて、そんな悲劇を回避するためにまずここで自分の資質を確認するって流れなわけだ。
いやホントにミュラーおじさんに事前に話聞いててマジ良かったよ。
「は――――い! わたし行きま――――す!!!」
―――えっ?
いきなりユミィが手を上げて、1歩前に歩み出た。
いやマジかよ。
こいつ地味に度胸ありやがるな……。
てーか、さすがに1番手っつーのはちと気が引けるなって思っちゃいたけどよ……、、、
でも女の子に先を越されるのもそれはそれでなんか違う気がしちまうな………………。
そんなオレの葛藤も知らず、ユミィはニコニコ顔で水晶玉の前に立った。
「では、この水晶に手を当てて、
"ステータスオープン"と唱え「ステータスオープン!」
おまけにコイツ、食い気味でおっさんにかぶせて唱えやがった。
まったく大物になるよお前は。
―――フォン
ユミィが水晶に手を当てて、それがユミィの魔力?に反応したんだろうな。
魔力かなんかで水晶と連動してると思われる、背後の壁にかかった魔道板みたいな板にユミィのステータスが映し出された。
ユミィ:村娘
筋力 D
器用度 B+
知力 D
魔力 E
精神力 D
体力 D
敏捷性 B
取得可能冒険者 職業
斥候・狩人
―――――は?
「おお! な、なんと!
Bが2つもあるとは!! しかも1つは+とは!!」
偉いおっさんもなんか驚いてるけど、もちろんオレも驚いた。
ユミィのやつ、めちゃめちゃステ高くないか?
最初からBなんてかなり優秀な方だと思うぞ。
まぁ、そこそこの熟練者とかならAは当たり前だし、上級者ともなるとSやらS+やらS++やらがゴロゴロしてるって聞くけどな。
それにしたって、器用度と敏捷性すげぇな。
アイツ手先がすげぇ器用で、自分用のアクセとかよく自前で作ってオシャレしてたりするし、走るのだってなんか知らんけどむちゃくちゃ速くて下手な犬っころとか追い抜くくらいだもんな……。
「え? そんなすごいのこれ? え?
なんか嬉しいかも!!」
自分でも意外だったのかユミィのやつ、素で嬉しそうにぴょんこぴょんこ飛び跳ねてた。
「やったねユミィ!! 斥候も狩人も
なんかスマートでカッコよさそう!!!」
「えへへっ!ありがとアイちゃんっ!!
でもさすがに魔法使いはムリだったや。」
なんかアイと2人で手を取り合ってキャッキャしてた。
「よっし!
次はアタシ行かせてもらっていいかなっ!!」
―――――えっ?
続いてアイが前に出て水晶に近付いた。
ちょっ!おい!待て待て待ってくれ。
オレがラストかよ!
それはそれでまたちっとやりづらいっつーかなんつーか……。
「ステータスオープンっ!」
オレの複雑な内面など知るよしもないアイが、ユミィに続いて水晶に手を当てた。
アイ:村娘
筋力 C
器用度 E
知力 C+
魔力 C+
精神力 A
体力 C
敏捷性 D
取得可能冒険者 職業
戦士・拳闘士・魔法使い・女神官・修道女
「はぁぁぁぁぁぁっっっ????」
思わず声が出た。
「な、な、なんと!!!??
ま、まだ村娘にもかかわらず、せ、精神力が、
A、だと???
中級職以上の資質ではないか!!!」
当然ながらおっさんもかなり驚いている。
「えっ?えっ?アイちゃんすごい!!
Cばっかり!!! しかもいっこAある!!」
「いやいや! ユミィのBが2個も
じゅーぶんすごいって!!」
言いながらまた2人手を取り合ってキャッキャし始めた。
っていうかよ、職業提示数ハンパなくね?
神官や修道女はまぁ、予想してたけどよ。戦士に拳闘士に魔法使い?? コイツどんだけ才能の塊なんだ????
「……そう言えばユボーラ村に聖女と噂される
少女がいると聞いたことがあるような……。
もしや…………。」
おっさんも顎に手を当ててブツブツ呟いてやがる。
でも他を見てみるとユミィとは正反対に、最下限の不器用さは少し好感が持てた。
っていうかマジでやりづらくなった。
本当の本気でやりづらくなった……!!
「さって、いよいよセイヤの番だねっ!!」
「よっ! リーダーっ!! セイヤくんの
かっこいいとこっ見てみたいっ♪」
うっざっ!!
昔からこうやって2人して、何かにつけてオレを煽ってくるよなお前ら……。
つってもよ、オレは冒険者になるんだ。
冒険者になって、ゆくゆくは剣聖とかの上級職になって、大金を手にして、名声を得るんだ!!
そんで、そんでもって……、、、
オレは、母ちゃんを………………!!
……覚悟を決めろ!!
この手で栄光を掴み取るんだ!!!
っしゃぁあ!! やったるか!!!!
―――オレは数歩前に出て、水晶に手をかざした。
セイヤ:村人
筋力 C+
器用度 D
知力 D
魔力 D
精神力 D
体力 C+
敏捷性 D
取得可能冒険者 職業
戦士・拳闘士
「…………………………。」
え、なにこれ。
けっこうビミョーじゃねぇか?これ……。
「うむ。普通、というか及第点、だな。
悪くは無いと思う。」
「……フツーだね。」
「うん。セイヤくん普通だねっ♪」
固まってるオレに、幼なじみとおっさんが追い討ちをかけてきた。
ってーか、CとDばっかじゃねーか!!
「まぁまぁ、なりたかった戦士になれるんだから
良かったじゃん。」
「そうそう♪ これからいっぱい冒険して
いっぱい成長すれば問題ないと思うよっ!」
左右からアイとユミィがオレを慰めてきた。
そ、そ、そうだな。そうだよな!
とりあえずスタートラインには立てたんだし、足りない分はこれから頑張ってレベルアップして補っていけばいいんだよな!!!
ステータス見た時はあまりの平凡さに、思わず自分自身にガッカリしちまったんだが、2人の励ましが思った以上にオレの心を救ってくれた。
さすがはオレの幼なじみ!
冒険者に2人を誘い込んじまったんだ。
オレが絶対にお前たちを護ってやるからな。
「ハハッ!! ありがとな2人とも!!
よっし! アイもユミィも、次はカスネル神殿で
職業貰ってこようぜっ!!!」
まァ、空元気もあったかもしんねーけどよ、とりま最悪の事態は回避出来たっぽいんで、あんま深く考えないで前を向くしかないわな。
オレは左右の手で2人それぞれの頭をわしわしと撫でてやると、アイもユミィも少し照れくさそうにはにかんだ。
「オケ! なんかやる気出てくるよね!」
「わかる! わたしも早く冒険したくなってきたもん!」
ハハッ。
妙にアイもユミィもやる気じゃねーか。
くよくよしてらんねーよな!
オレたち3人はダースのおっさんに頭を下げて礼を告げると、ギルドを出てカスネル神殿に向かった。
前の2人みたいに色々思ってることとか
背景とか書こうかなって思ったんですけど
なんか説明だけで終わっちゃいました。
彼の内面についてはまた次の機会で。




