第36話♥この、オニ! アクマっっ!!
まずは中ボス戦、
由美ちゃん視点です……!
B級以上とかの大規模なダンジョンだと、ボスのほかにも中ボス?とかエリアボス?みたいのがいるって聞いた気がするけど、このサルアーフ王宮跡にもそういうのいるのかな? ここC級だけど。
子爵さまが言うには、かつてのサルアーフ王国には2人のえらい人がいて、女王陛下は『王の間』、大神官は『礼拝堂』にいつもいたって言うから、この扉の先の礼拝堂にもそれなりの存在がいてもおかしくはないんだろうな。
「哨戒今までサンキュな。
ユミィは後衛に戻ってくれ。」
「りょ。」
セイヤくんが歩いてきたので、道をゆずる。
「念の為【祝福】みんなにかけ直しとくねっ!」
「ん。サンキュな。アイ。」
うちらの聖女サマがバフをかけ直してくれた。
アイちゃんてなんか、存在自体が軽くチートだよねw
そしてリーダーが扉の前でわたしたちに振り向いた。
「……よし。開けるぞ。準備はいいな?」
「おけ!」「りょ」「早くしなさいよ愚図!」「はい」
――――ギィィィ……
扉があいた先の大広間は天井がたかくておごそかな雰囲気だった。
こまかくて凝った彫刻がいくつも飾ってあって、窓なんかはおっきなキラキラしたステンドグラスっていうのかな。よく知らないけど。
でもここは異空間だからなのか、窓のそとは暗くて気持ち悪いへんな渦がぐるぐると巻いているみたいに動いていた。
そして、真正面には世界樹をモチーフにしたっぽい彫像が でん! とかまえている。
うーん。
いかにも、『礼拝堂』ってかんじだね。
「なんだか、内装のわりに空気悪いわね……。」
レイトが口を手でふさいだ。
「そうか? オレは特に……、、、」
「鈍感な愚図にはわからないのね。」
「なんだとぉ!!?」
また前衛のふたりがもめ始めようとしてるw
「……いや。アタシもなんか感じるかな。
こんな邪悪な空気、なかなかないかも……。」
うちの聖女サマも顔をこわばらせている……。
やばい。
わたしはなんにも感じない……ww
―――その時、
「みなさん! 注意して下さい!
風精霊が怯えています!!」
ナーシュさんが叫んだ。
わたしも【集中】を発動させて警戒する―――
すると、大広間のど真ん中に六芒星の魔法陣が浮かびあがり、その中からなにかが ぬ~ っと姿をあらわしはじめた。
その姿は鬼族を思わせる身体つきに4本の腕がはえていて、まるで山羊のような頭と血みたいに真っ赤に燃えるギラギラした瞳――――
その姿は、まるで、、、
「お前ら気をつけろ!! 悪魔だ!!!
下級悪魔だ!!!!」
クリストフさんがさけんだ。
「「「「「!!!!!」」」」」
その場の空気にのまれていたわたしたちは はっ として陣形を組む。
前衛のセイヤくんとレイトのツートップに、ふたりの真ん中のやや後方にアイちゃんが位置どり、後衛左右をわたしとナーシュさんでかためる。
上から見たらちょうど【M】のかたちに見えなくもないんじゃないかな。
「コイツが中ボスってか。」
「ふん。気持ち悪い奴ね。汚らわしい。」
「アタシ悪魔って生理的に受け付けないんだよね。」
「礼拝堂に相応しくない輩ですね。」
やば。
めっちゃ強そうなんだけど……。
なのに、なんでなんで?
なんかみんな、めっちゃやる気なんだけど……!?
「油断するなよ!
下級と言ってもそれは悪魔全体の話で、
魔物全体からすると上級に近いぞ!
アイ! 【防護壁】ではなく【防魔壁】だ!!」
「おけ! 【防魔壁】っっ!!」
ふわっとわたしの目の前に陣取ったクリストフさんが大きな声で指示を出しはじめた。
子爵さまがここまで真剣ってことはやはりそれなりの相手なのかな……。
「喰らえよっ!【流し斬り】っ!!」
「…………【点穴】!!」
先手必勝とばかりに、前衛ふたりが下級悪魔に攻撃する。
わたしも【集中】を発動させる。
精霊のクールタイムが長いナーシュさんもいちばん攻守バランスが良い地精霊をメイン精霊に入れ替えてる。
ザシュッ!
ズンッ!
「××××××××××××!!!」
セイヤくんとレイトの一撃に悪魔がこの世の言葉じゃない叫び声をあげた。
「【ブレイクアロー】」
わたしもスキルで矢を悪魔の首筋に放つ。
「……!」
わたしの中ではそこそこ強いスキルでも、あんまりダメージにはなってないみたいだ。
すると悪魔が右腕を振りかぶった。
「来るか!? ディフレク……ッッッ!!!??」
ダガァァァンン!!!!
「キャッ!!??」
そして振り下ろされたその剛腕を、【ディフレクト】で受け流そうとしたセイヤくんもろとも、その横にいたレイトまでまとめてなぎ払った。
「セイヤっ!?」「セイヤくんっ!!」「レイト!」
一気にふっとばされるふたり。
前衛ふたりがいなくなって、中衛のアイちゃんが取り残される。
その間に悪魔は残ってるうちの2本の手を大きく広げていた。
「まずい! 来るぞ!!」
「ЖЖЖЖЖЖЖ」
悪魔の両手のひらから炎が波のように放射される。
中級広範囲火魔術、【火炎熱波】……!!
「くうっ!」「ぐっ!?」「あぁっ!」「むぐ!」
あっつい!!ってもんじゃない!!
なんだこれ、死んじゃう!!
クリストフさんの指示でアイちゃんが【防魔壁】張ってくれてなかったら、もっと大変なことになってたかもしんない!
「魔族ならっ、、【聖槍光】!!」
よろめくアイちゃんが、両手から強力な神聖術をレーザービームのように放つ。
「えっ!?」
しかし悪魔は片手でその光を打ち払った。
「……悪魔族は魔法に対する
抵抗力が厄介だからな……。」
クリストフさんがうめいた。
「……物理系魔法なら、、
地精霊!【アースバレット】!!!」
ナーシュさんのかけ声で、岩石のかたまりが悪魔に向かって放出された。
ボゴォォン!
「××××!!」
これは防御できなかったみたい。
「……やらせっかよぉ!!【捨て身】っ!!!」
立ち上がって戦線に復帰してきたセイヤくんが【捨て身】を発動させた。
「いや!だめだよ!!!」
【捨て身】スキルは自身の防御力をゼロにして、そのぶんを攻撃力に上乗せする自爆系スキル!
そんなギャンブル系のスキルよりいまはもっと慎重な方法で……!!
「【強撃】ッッッ!!」
そしてセイヤくんの両手剣が、悪魔のわき腹をふかぶかとえぐった。
「########ッッッ!!!!」
たまらなそうに悪魔が絶叫する。
でも、それに耐えきった悪魔は左腕でセイヤくんを撃ち抜いた。
「うあっ「【上級治療】っっ!!」
そして悪魔がセイヤくんにヒットした瞬間、アイちゃんが回復魔法を唱えた――――――
けど、、、
ドガァァァン
「うがっ!?」「あぁっ!!」
さっきと同じようななぎ払いで、セイヤくんとアイちゃんがまとめてはじき飛ばされてしまった。
「ふっ、ふたりともっ……!!!」
あわててふたりにかけよろうとしたところを、目の前の黒いマントがさえぎった。
「ちょっと!クリストフさんそこどいて!!
ふたりがっ!!!」
「……先程ならあわや、であったろうが、
今はそこまで心配はいるまい。」
あせるわたしと対照的に、クリストフさんはとても落ち着いていた。
「ЖЖЖЖЖЖЖ」
ゴォォォォォ
悪魔が続けざまに、わたしたち目がけて【火炎熱波】が放たれた。
「フン」
しかしクリストフさんがマントをひるがえすと、炎の波はあっという間に打ち消された。
「そう悲しい顔をするな、ユミィ。
せっかくの美しい顔が勿体無いではないか。」
「……え、……え、、、」
なんでセイヤくんもアイちゃんも心配いらないの?
なんで炎がかんたんに消えたの?
「済まないな。戦闘開始からずっと
魔術を構築していたせいで、
フォローが遅れてしまった。
しかしもう心配はいらん。
我が呪気術、【弱体化】の重ねがけが
そろそろ効果を発揮してきたのでな……!
コイツはもうすでに、物理も魔法も、
攻撃力、防御力ともにボロボロだからな!」
「……!!!!」
「ナーシュよ、水精霊を召喚し、
傷付いた奴らをさっさと回復させろ。」
「あっ、はいっ!」
クリストフさんがナーシュさんに指示を出す。
「#×#×#×#×#×!!」
悪魔がクリストフさんを狙って拳を振り上げてきた。
「フッ」
しかしクリストフさんは片手でそれを受け流した。
「……お前ら、幸運だったな。
本来お前らの技量じゃ到底コイツに勝てはしまい。
しかしお前らには今、この私がいる。
この子爵級 吸血鬼クリストフ!
ここでお前らとの友誼に報いるとしよう!」
そうかっこよくつげると、わたしに向かっておちゃめにウインクしてきた。
―――もう!
だまってればかっこいいのに、
そういうとこ可愛いよね……っっっ!
いや、実際、レッサーデーモンは強いですよね……。
序幕でセイヤくんたちの実力が確定しちゃってるから、
この第1章ではなんとかインフレしないように頑張って書いてるつもりですw
(2026/02/18)




