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第35話◆アタシのナイトさま

ついに城内探索開始です。

最近絶好調のアイちゃん視点です。

なんていうか、冒険者になりたての頃は中衛職の女神官(プリーステス)だったからか、なんか護られたりすることが多くて、無意識にけっこうストレスたまっていたのかもしんない。


格闘僧(モンク)転職(クラスチェンジ)してから前衛に出て物理攻撃に参加するようになって改めて思う。




―――身体動かすのって気持ちいい!!




と、言ってもそりゃあ魔素から産まれた魔物相手とは言え、命のやり取りとかしてるんだから、そんなお気楽なこと言ってていいのかって気持ちはあるんだけどね。




でも、アタシには護ってくれる人がいる。


小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた、

頼れる騎士(ナイト)が。




……あ。騎士(ナイト)じゃなくて、重戦士(ヘヴィウォーリアー)だっけw


まぁ、アタシにとっては騎士(ナイト)サマなんだけどねっ。


アタシは、彼がいるから、

彼がそばにいてくれるから

思いっきり拳を振るう事が出来てる。


彼がいるから、アタシは強くなれてる気がするんだ。




…………んで、その騎士(ナイト)サマがアタシにに照れくさそうに話しかけてきた。


「あ、レイトたちと宝箱の中身の折半したんだけどよ、

()()はやっぱお前が持っててくれ。」


そう言って手渡されたのは、魔力を回復するマジックポーションと、スキルポイントを回復するスキルポーションだった。


「えっ? まだ前にもらったの残ってるよ?」

「それでもだ。リーダー(オレ)の判断っつーか、

お前が最優先だ。使わなかったら、

それはそれでいいからよ。」


そっか。


確かに前線出るようになったとは言え、アタシはみんなのヒーラーだもんね。


メンバーみんなの生命(いのち)にもっと責任感持たなくちゃだよね。


「ん。わかった。」


ここは素直に受け取ろう。


「……それと、よ………………、、、」

「?」


なんだろ。

急にもごもごしだしてセイヤらしくないじゃん。


「さっきの、あの言葉、その、サンキュな……。

何があってもオレが1番前で、お前らのこと

絶対護るからな……!」


アタシの騎士(ナイト)サマがほんと恥ずかしそうに目を逸らしながらぶっきらぼうに礼を告げてきた。


な、なんだろ。

アタシはただ思った事をそのまんま素直に言っただけなんだけど。


ちょっ、そんな照れられるとさ、こっちまで恥ずかしくなるじゃん!


「き、気にすんなし……。」

「お、おう…………。

あー!!!! てゆっか、クリストフさんよぉ!!!

これからオレらどこ向かえばいいんだ!!??」


空気に耐えられなくなったっぽいセイヤが、大声でクリストフさんを呼んだ。


うん。

アタシとしても少し助かった感はある。。。

照れくさすぎて、どういう顔していいかわかんなくなっちゃってるとこだったし。。。


「ふむ。そうだな…………。

主だった目ぼしい場所としては、

『王の間』か『礼拝堂』か、だとは思うが。」


ユミィとじゃれ合ってたクリストフさんがそれに答えた。


てか、ユミィがそんなに他人に懐くとか、わりとレアでアタシは少しびっくりしている。


けど、同時にそれだったなら少しくらいこんなふうにセイヤと2人の時間あっても大丈夫なのかなって変なこと思った。


アタシはホラ、神さまに仕える身だしセイヤのこと大好きだけど、たぶんセイヤはユミィと結ばれるんだろうなってなんとなく思ってるからさ、こんな風にアタシが単独でセイヤとお話するのはどこか後ろめたかったりとかするんだよね。


あ。このこと考えるといつも胸が痛くなるからやめやめ。


「うし。とりあえず礼拝堂行ってみっか!」

「ならば右奥の扉だな。」

「んじゃ行こうぜみんな。

ガーゴイルが復活(リスポーン)する前によ。」


「おけ…」「りょっ!」「了解よ愚図」「はい」


こんなやり取りをして、アタシたちは王城入口エントランスを後にした。




* * *




何度か魔物と出くわしたものの、苦戦せずにスムーズに探索が進んでいる。


先頭に【集中】スキルを発動しているユミィが先行してトラップとか敵とかに警戒している。

ほんでユミィのまわりをコウモリVer.のクリストフさんがちこちこと飛び回っている。


そんで、その後ろに戦闘になったら前衛を張るセイヤとアタシ。


そしていちばん後ろが虚弱 (ごめんw)な後衛のナーシュと、後方を警戒するレイト。


このメンツで探索する時はだいたいこの隊列かな。


「……1000年の時を越えて、祖先が暮らしていた

城内を今こうして2人で歩いてるって、

なんだかすごく感慨深いね。」

「そうね。私もすごくそう思う。

なんていうのかしら。高揚感て言うのかしら。

そんな感じしない?」

「うん。僕もなんだろう。上手く言えないけど

気分が上がっているかもしれない。」


アタシたちの後ろを歩くエルフカップルの会話が聞こえてくる。


「もし、今も王国が健在だったなら、

私もナーシュも、女王と大神官だったのかも

しれないのよね。」

「……でも、王国の女王と大神官は、、、」

「あら、そんなの関係ないわよ。

私はナーシュのこと大好きだもの。

世界にこれ以上に大事なことって存在しないわ。」




……………………………………………………。


聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる……。


とか思ってたその時、セイヤが「バッ!」と後ろに振り返った。




「お前らさぁ! そういう気持ちにひたっちまうのは

わからなくもねぇけどさぁ!!

今はダンジョン探索中なんだからよ!

ちったぁ緊張感持てや!」




びっくりした。

突然大声上げるんだもん!


でもセイヤらしいよね。

いつだったっけ、ほらあの時も、、、


世知(せしる)とありしゃがさ―――――




「――――――えっ?」




せ、せしる? ありしゃって?

誰だ? それ。


アタシは誰のこと思い出してたんだろう……。


……でもこういうの、初めてじゃないっていうか、

いや、思い返してもそんなの記憶にないし…………。




「うるっさいわね!

この中身スカスカのウド愚図っ!!

いっつも張りつめてたら神経参っちゃうわよ!!」

「なんだとぉ?? ウドってなんだよ!!

そりゃちと言い方悪かったかもしんねーけどよ!!

そこまで言うこたねぇだろっ!!?」

「せっかくオブラートに包んであげたのにお望みなら

ストレートな表現にしてあげるわよ!!

役立たずの低脳って言えば満足かしら!!?

それとも「はいストップ「言い過ぎだよ」


いつものやり合いがまたエスカレートし始めたので、

いつものようにアタシとナーシュで仲介に入る。


ここまでセットでの、この隊列なのかねw




「―――お前たち。じゃれ合うのはここまでだな。

気持ちを切り替えろ。」


いつの間にかジェントル貴族形態に戻ったクリストフさんがもみ合うアタシたちに声をかけてきた。


「……えっ?」


「んと。着いたっぽい。礼拝堂だっけ。」


ユミィが指さす先には、きらびやかな装飾がほどこされた大きな扉があった。

ちょっとだけ原典とオーバーラップしてみました。


てか、よく転生もの読んでると

何かの拍子で前世を思い出したりするじゃないですか。

でもそんな簡単に記憶戻ったりしないと思うんですよね。

現に僕らだって前世を思い出せたりしてないでしょ?


(2026/02/16)

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