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第33話♥なんかペット飼ってる気分なんだけど

王宮跡までの道中です。

由美ちゃん視点です。

砂漠のオアシスにあるエルミンの街。

そこから徒歩2時間くらい歩いたとこにある、C級ダンジョン【サルアーフ王宮跡】……。


ちょっと前までB級だったって誰か言ってたっけ。

よくわかんないし、どうでもいいけど。


遠くで見かけたことはあったけど、こんなに近くに来ると思ったよりおっきくてちょっとびっくりしてる。




「ンー? もうそろそろか?」

「んと。とりあえず見えてきたよ。

てかまだ明るいからあぶないよ。」




わたしのウエストポーチからちょっとだけ顔を出そうとしたクリストフさんがあわてて引っ込んだ。


まぁ、コウモリ形態になってるからこんなせまいカバンに はいれてるんだけどね。


「んと、わたしごと水精霊(ウンディーネ)水の膜(アウアヴェール)はってあるけど、

中だいじぶ? 暑くない?」


「うむ。意外と快適だ。」


ポーチの中から返答が返ってきた。


わたし的にもこのヴェールのおかげで、暑さどころか砂で髪がごわごわにならないわ日焼けもおさえられるわで、ナーシュさんさまさまではあるんだけどね。


「てゆか、アタシの法衣だったらスキマとかあって

クリストフさんも入りやすいと思ったんだけどな。」

「だからそれは何の冗談だ??

何が哀しくて不死の王が聖女にしがみつかねば

ならんのだ!」


相変わらずクリストフさんはアイちゃんが苦手っぽいw


「オイオイそんなんオレが許すわけねーだろ?

アイの服の中にアンタみてーなケダモノ入れるの

許すわけねーだろ???」


セイヤくんが毒を吐きつつ、わたしの腰に視線を向けた。


「そもそもユミィのウエストポーチの中ってのも

オレぁまだ許してねーんだけど!」

「いや、私も本当はレイトのマントの中が

良かったのだが……。」

「それこそ許されるわけないでしょう!!」


2人の会話にナーシュさんが参戦してきた。


「……まぁ、私が1番美しいのだから、

わからなくもないのだけれど……!」


そこにレイトがまたわけのわからない自尊心をひけらかし始めた。


「ンー。確かにレイトの美しさは、

かつてのサルアーフ女王レインにも

引けは取らないが……、、、

中身、人間性は雲泥の差だな。」


クリストフさんは、開いたウエストポーチの中から声だけ出してきてる。

自分のポーチながら、けっこうシュールな光景かもしんない。


「ふ、ふんっ…………!

どうせ私は女王サマと比べたら、どうしようもない

嫌な性格してるって自分でもわかってるわよ!」

「違う。そうではない。」


ふてくされたレイトを、クリストフさんがすぐさま否定した。


「……え?」


とまどっているエルフに、わたしのポーチの中身が言葉を続けた。


「レイトはポーズで人間種(ヒューマン)を下に見る言い方を

することがあるが、実際はそんなことないだろう?

気配りも配慮も出来る。

しかし、故人の事を言うのは(はばか)られるが、、、

レインは人としては欠陥品だったからな。」


「それって、レイトのほうが、

その、昔の女王さまよりも良い人、ってこと?」

「は?」


アイちゃんの言葉に、

レイトがびっくり顔になったその時―――――




「―――!!【ディフレクト】ッッ!!」




キィン!! キィン!!!




セイヤくんが両手剣(ツヴァイハンダー)を振りかざし、防御系スキル【ディフレクト】でなにかをはじき落とした。


「あぶねぇ。あぶねぇ。

マンティコアの毒針だなこりゃ。」


はっとして振り向くと、マンティコアが2匹、きもちわるい笑顔で近づいてくるのが見えた。


「ごっ、ごめん!【集中】切れてた!」

「気にすんなユミィ。オレが毒針すべて

叩き落とすからよ、右のマンティコアはアイとユミィ

左のヤツはレイトとナーシュで片付けてくれ。」


リーダーの指示で、ピリッといい意味での緊張感が走った。


「おけ!」「りょ。」「任せなさい愚図」「はい」


わたしたちもいつも通りの返答で、いつもの配置で陣形を組む。




―――よし。




【集中】が発動したわたしは【連射】をはなつ。


カッ! カカッ!!


1本目がマンティコアの右目に刺さり、2本目はおでこに刺さる。


「グッがぁぁぁぁぁ!!!?」


激痛にマンティコアがのけぞった。


「はいっ♪ もらいっ☆」


ドズン


上体をそらしておなかが丸見えになったマンティコアの、みぞおち?(マンティコアにもあるのか知んないけど)にアイちゃんの【正拳突き】がばしっときまった。


「ギョゴォォ!!?」


「ふふん☆ 次はこいつねっ♪」


そのダメージでゆっくりさがってくるマンティコアの顔面、それもあごに、続けてアイちゃんのサマーソルトキックがコンボでつながる。


バカァン!!


またまた上を向くマンティコア。


「んと、【連射】」


もっかい2連発で矢をはなつ。

今度は口のなかと、のど。


「おっ、おいっ!ユミィぃぃ??

あんまり前に出るなよ??

あんまり揺らすなよ??

あんまり無茶するなよ??

他の奴がやられてもお前は逃げろよ???」


うるっさいなぁ。


わたしは返事しないで、ウエストポーチを閉めた。


「……!! ………………!!!」


なんか言ってるけど、まぁいいや。


わたしたちの相手のマンティコアはもう、アイちゃんがそのあとさらに何発もコンボを決めて、煙になっちゃってるからね。


てゆっか、格闘僧(モンク)になったアイちゃん、強すぎんか??


これでいままで通り普通に神聖術も使えるんでしょ??


いや、格闘僧(モンク)になったアイちゃん、強すぎんか????(2回目)


「にゃはは☆ うまくいったうまくいった!!」


暴力聖女がぴょんこぴょんこ飛び跳ねてた。


「…………聖女が格闘も行けるとか、

やりすぎだろう………………。」


口をひらいたマイポーチの中から、コウモリ子爵のぼやきが聞こえた。


「こっちも片付いたわよ。」


レイトの声に振り向くと、地精霊(ノーム)の【岩石呪縛(アースバインド)】で、動きを封じられたマンティコアBが、レイトのレイピアでめった刺しにされたのか、ちょうど煙になって消えていくところだった。


「……やはり、ユミィのポーチの中が1番安定していて

居心地が良さそうだな。」

「まぁ、わたし後衛だからね。」

「そんなことよりっ!」


だいぶうちとけた子爵さまとお話してたら、レイトがすごいいきおいでアイちゃんに詰めよってきた。


「ん? レイトもおつかれっ!」


天然(暴力)聖女がニコニコ振り向く。


「いやアナタ、なんでそんなに物理戦闘力が

アップしてるのよっ!

ゴールドクラスなったからって

おかしくな「あ、転職(クラスチェンジ)したから☆」


えへん!とスタイルのよい胸をはるアイちゃん。


「あ、アイは格闘僧(モンク)転職(クラスチェンジ)したんだけどよ、

オレとユミィも転職(クラスチェンジ)したんだわ。

ほら、オレも地味に毒針はじいたりしてたろ?」


「……くっ!! こっ、これで勝った気に

ならないでよねっ!!!

だいたいアンタはディフレクト(それ)だけであとは

なんにもしてないじゃないこの愚図っっ!!!!」


くやしそうに真っ赤になる白エルフも可愛いかも。


「いやいやオレはタンクとして、

ユミィやナーシュとか

後衛のカバーしてたっつーの!」

「はっ!それらしいこと言っちゃってるけど

愚図な上にノロマなだけでしょ?」

「なんだとぉ!? 黙って聞いてりゃ

調子に乗りやがって!!!」


あーあ。

また始まっちゃったよ。


あわててそれぞれの穏健派のアイちゃんとナーシュさんが取りおさえてるけど、、、


「ユミィ、、、こやつら、いつもこうなのか?」

「んと。まぁね……。まぁ、元気なしょーこだよね。」

「ククッ。違いないな。

それよりも早く王宮跡に入りたいものだ。

1000年経っているとはいえ、私にすれば

色々思うところがあるものでな。」

「りょ。んじゃさくっと仲介してくんね。

ほんで、張りきって中に入ろっか!」


わたしはクリストフさんに返事をかえすと、ひとつ大きく伸びをして、それから言いあらそうふたりの間に割ってはいった。

最初は夜のうちに突入させた方が、

吸血鬼さんも日光気にしなくていいかなと思ったんですけどね。


(2026/02/11)

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