第28話●故郷に錦を飾る、ってのも悪くはねぇな
説明回です。
説明回と言えば、セイヤくんです。
あとは頼んだw
いつもは貼り出されたクエスト確認するだけだったからよ、ギルドに顔出すのはオレひとりって決めてたんだけどよ。
ホラ、アイもユミィもばちくそに可愛いからよ、3人一緒に行くとギルドにたむろってる荒くれ共たちに2人が変に絡まれるのが、本当の本当に心の底から我慢出来なかったからっていう、クソしょーもない理由だからなんだが、アイツらはどうやら気付いてないっぽい。
……もしバレてたらクソ恥ずいけどよ……。
んでも、今回はパーティークラス昇格審査だからな。
そうも言ってられず、オレは久しぶりにアイとユミィを連れて3人で冒険者ギルドに訪れた―――
「―――はい。
皆さんパーティーメンバー全員のレベル、
いくつものクエスト貢献度、並びに、
未踏破ダンジョン制覇経歴すべて鑑みて、
C級冒険者パーティー・ゴールドクラスへの昇格、
すべて問題ありません。
本日より『黒曜の剣』はゴールドクラスになります。」
受付のお姉さんが事務的な真顔で、そう告げた。
「まじか!まじかまじかまじかやった!!!
これでオレらも一人前レベルだなっ!!!」
「え?え?ほんとにほんとに!?
えっなにこれけっこう嬉しいもんだねこれっ!!」
「アハハッ!!これでついにアタシたちも
アミュレット持ちの一流冒険者って感じだねっ!」
もしかしたらまだダメかもしんねぇから、あんま期待しないでおこうなって前もって3人で話してたぶん、余計喜びが爆発したっつーか、3人でその場で何度もハイタッチかましたり抱き合ったりしてしまった。
「―――では、今まで使用していた銀色のカードを
回収させていただきます。
新規に金色のカードを発行致しますので、
呼ばれるまでしばらくお待ち下さい。
それと、新しく安否確認アミュレットを
作成致しますので、
皆さんの魔力をこの魔力保存用水晶に
込めてください。」
ハイテンションではしゃぐオレらに構わず、淡々と事務手続きするお姉さん。
いやでも大半の冒険者がブロンズクラスやシルバークラス止まりで埋もれて行く中、オレたち『黒曜の剣』がゴールドクラス、一流冒険者として認められたんだ!
これが嬉しくねぇはずがねぇだろう!!
「いやー、アタシ、アミュレット持つの地味に
憧れてたんだよねっ!!」
「わかるー! ねぇセイヤくん、
アミュレット受け取ったら1回ユボーラに帰って、
パパとかママとかにあずけたいんだけど、
どうかな?」
かつて有能な冒険者を管理するために何処ぞの領主が作らせたという『ギルド管轄冒険者安否確認アミュレット』はゴールドクラス以上の冒険者に支給される。
それぞれ個々の冒険者が所有するギルドカードに紐付けられており、その冒険者が無事に生きている限りは白く光り続け、死亡してしまった際は黒く変色してしまうという、冒険者の生死を確認出来る魔道具だ。
「………………。」
オレは懐から母ちゃんに紐付けられているアミュレットを取り出した。
それはまだ、あわく白い光を放っている―――
うん。
母ちゃんは生きている。
このアミュレットが光っているってことは、
オレの母ちゃんはまだ世界の何処かで生きているんだ。
待っててくれ、母ちゃん。
必ず見つけ出して連れて帰るからな……!
「―――っと、そうだな!
オレも親父に昇格したこと報告してぇし、
近いうち顔出しに帰るか!!」
オレはユミィに笑顔とともに返事した。
* * *
その後、無事に新しい金色のカードと、それぞれの安否を証明するアミュレットを配布されて、オレたちは喜びを再び爆発させ恥ずかしくらいはしゃいだ後、冒険者ギルドを後にした。
「………………さて、これからどうすっか。」
昨夜は夜通し起きてたせいで眠りに付いたのが明け方だったもんで、オレら3人とも活動し始めたのが昼前だったんだが、思ったよりスムーズに手続きが終わったんで、随分と中途半端な時間になっちまっていた。
クエストや魔物狩りに行くには時間がイマイチ心許ねぇけど、晩飯にはまだ早すぎる。そんな時間だ。
「―――ねぇ」
オレの右を歩いているアイが口を開いた。
また雑貨屋見に行きたいとかそんなところだろうか。
「ん? どっか行きたいとこあるのか?」
「アタシ、転職したい。」
「―――――は?」
しかしアイの口から飛び出してきた言葉はオレの予想を超えていた。
初めはマジで冗談かと思ったんだが、アイの真剣な表情を見て、こいつの本気を悟った。
「……アタシさ、村娘の頃から神聖術使えてさ、
女神官になってからもずっと神聖術には
自信持っててさ、でも、あのガイコツエルフ相手に
初めて神聖術だけじゃダメな時もあるって
気付かせられてさ……!
だから、初めの頃に言ってたように、
格闘僧になって、神聖術がなくても
戦えるようになりたいって思ったんだ!」
確かにサンドリアス戦は、神聖術無効の術式に苦労させられたもんな。
アイの神聖術はオレらの根幹を支える強力な力だから、これからもあんまり無理はさせられねぇが、アイ自身が今よりもっと戦闘能力が上がれば、確かにオレらが取れる戦術の幅も広がる…………。
これは、アリだな。
―――と思ったところに、
続いてユミィが口を開いた。
「んと、セイヤくん。じつはわたしも
転職したい……。」
「―――え、ユミィまで?」
オレはアイとは反対側をの左を歩いているユミィを見た。
「んと。わたしは狩人だけど、
【集中】スキル持ちだから、偵察とか警戒とか
そういうのやってたけど、やっぱり本家の斥候には
ぜんぜんおよばないし、もしわたしが斥候の
スキルを持ってたら、宝箱の罠だって今より
ぜんぜん安全にはずせるし、もっと
いろんなことができてふたりをささえることが
できると思うんだ。」
―――なるほどな。
ここでオレらに斥候技能を持つメンバーがいれば、トラップに痛い目を見る回数も減るし、泣く泣く見逃したりした宝箱の開封個数も増えるって事で金銭的にもぐっと楽になる……。
それは今よりさらにもっと多くの成功が見えてくるってことだ。
おまけに、2人ともよく考えてやがる。
実に良く考えてやがる。
駆け出しの冒険者が低いステータスでも就ける初級職はだいたい特徴とかスキルとか方向性は1つだけだけどよ、上位互換の中級職や上級職となると、その長所の方向性は格段に跳ね上がる。
だが、2人が選ぼうとしている中級職はきっと上位互換じゃねぇ。2種以上の初級職の特徴が複合している複合職だろう。
例えばアイが口にした格闘僧という職業は、拳闘士の格闘能力と神官の神聖術を併せ持つ。まさに複合職だ。
アイが自分に欠けていると思った物理攻撃力をカバーしつつ、今まで通り神聖術も行使出来るまさに今求めている能力なんだろうな。
また、ユミィも狩人の遠距離攻撃と併せて斥候のスキルを併せ持つと言えば、恐らく探索者あたりだろうか。
……クッソ。
まったく、2人ともしっかり先を見据えてやがる。
ほんとにマジで頼もしい幼なじみだぜ―――――
「んで、セイヤくんは?
転職するの?」
「……は?」
ユミィに話しかけられて、我に返った。
「カスネル神殿に着いたけど、
セイヤは今回やめとく?」
反対側にいたアイが口を開く。
「あっ、いやっ、そうだな……、、、」
やっべ。
2人の新しい職業のこと考えてたら、自分のことおざなりになっちまってた!!
クッソ。
せっかくならオレだって新しい職業、それも中級職以上に就いて、今まで以上に活躍したいっつーの!
「ピンと来なかったら無理に転職しなくても
いいかもね。別に今日じゃなくて構わないんだし。」
「くひひっ。なりたい職業に必要な
ステータスがたりないかもしれないしね♪」
2人がいたずらっぽい目でオレの顔を覗き込んで来た。
「ハッ! バカにすんなよ!!
オレだってお前らに負けねーくらい、
もっともっと強い職業になるっつーの!!!」
オレの戦士としての実績を活かせる中級職。
普段から少しずつ考えてたっつーの!!
「ホント? んじゃ行こっ!」
「思い立ったら吉日!って言うもんね☆」
オレは2人それぞれに両手を引かれながら、職業神殿へと足を踏み入れた。
=========第1章・第3節 了=========
【転職後の3人のステータス】
ユミィ:探索者
レベル25
筋力 C+
器用度 A
知力 C
魔力 C
精神力 D
体力 C
敏捷性 A-
スキル:弓術5・集中2・気配遮断3・罠解除1(NEW!)
獣語読解2・連射2・影縫い矢2・忍び足1(NEW!)
月の女神の瞳(Secret)
装備:長弓(霊木)・革胸当・羽根帽子・三日月のピアス
アイ:格闘僧
レベル28
筋力 A-
器用度 D-
知力 B-
魔力 B
精神力 A
体力 B+
敏捷性 C
スキル:神聖術5・祝福3・格闘術2(NEW!)
剛拳1(NEW!)・正拳突き1(NEW!)
太陽神の加護(Secret)
(慈愛は格闘僧の適性外なため消失)
装備:麻の法衣・太陽の髪飾り
セイヤ:重戦士
レベル27
筋力 A
器用度 C
知力 D+
魔力 D+
精神力 D+
体力 A-
敏捷性 C-
スキル:剣術5・筋力上昇2・強撃3
流し斬り2・二段斬り2・ディフレクト1(NEW!)
捨て身1(NEW!)
装備:両手剣(鋼鉄)・鎖帷子
ついに序幕で3人が就いていた職業に
転職することが出来ました!
しかし当初とは少し能力やスキルが
違ってきてますが、まぁ良しとしましょう。
転職する時のシステムやルールなど
色々考えてましたが、自己満足に過ぎないので
説明は省きました。
(2026/02/01)




