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第2話◆聖女ってガラじゃないから

続いて今回はアイちゃん視点です。

タイトルにトレードマークの『◆』が

着いております。


当面は各キャラや設定の説明回が

続きます……


旅立ちから丁寧に描写して行きたいって思ってるので

退屈に感じたら申し訳ないです。

馬車を降りると、もう冒険者ギルドの目の前だった。


「―――いよいよだな……。」


なんかセイヤが武者震いしながら気合いを入れていた。


そんな心配しなくても、セイヤは希望通り戦士(ファイター)になれると思うんだけどな。


アタシたちの住んでる村はけっこうちっさいから、同世代の子とかアタシたち3人くらいしかいないんだけどさ、それでもセイヤは他の大人たちよりも体格が良くて背も飛び抜けて高い。


きっと力も村で一番強いんじゃないかな。


顔こそ少しいかつくて怖い面構えしてるし、その短めに立ててる髪も真っ黒だから、パッと見けっこう迫力あるけどさ、生まれた時からずっと一緒に過ごしてきたし、アタシにとっては頼れる男の子だもんな。


うん。

やっぱ『戦士(ファイター)』が似合ってるって感じがするな。


まだわからないけど。


「ね、アイちゃん! 帰りに雑貨屋さん見たい!」


セイヤとは反対に、ユミィは緊張どころかめっちゃリラックスした感じでアタシに話しかけてきた。


「お! いいね~!!

アタシ新しい髪留め欲しいかも!」


アタシの返事にユミィはにこっと微笑んだ。


―――くうっ! 相変わらずユミィは可愛い!


ユミィもアタシやセイヤと同い年で、何をするのも3人一緒だった。


さっきも言ったかもだけど身体が大きくて頼もしいセイヤは鋭い目つきで怖い顔してるけど、小さいころからその顔を見て育ったアタシにはぜんぜん怖いというよりシャープで精悍だなって印象しかない。


そしてユミィもアタシのあごくらいまでしか背がないけど、目がくりっくりで大きくて可愛いし、ショートボブの赤栗毛の髪がほんとユミィに似合っててまじで見てて癒される。


この2人はアタシにとって自慢の幼なじみなんだ。


「―――いやいや! ちょっと待てよ!!

洗礼受けて職業(クラス)が確定したら

今日のうちに装備揃えるって話だろ?

そんな雑貨屋とか行く時間ねーだろ。」


って、アタシとユミィのやり取りにセイヤが割り込んできた。


「あれっ? そうだったっけ?」


「おいおい……。って、時間が余れば

少しくらいはいいと思うけどよ。

まぁ、セグおじさんに一言言っとかねぇとだな。

オレらをこの街(キャスティア)まで連れて来てくれたんだからよ。」


「はいはい。わかってますよ~。」


「あっおまっ、アイ! お前ほんとにわかってんのか?」


時々セイヤはかたっ苦しいとこあるからたまに疲れる……。


って苦笑いしながら誤魔化そうとしたその時―――




ドタッ!




楽しそうにかけっこしてた小さい男の子が、アタシの目の前でつまづいて転んでしまった。


「うわぁぁぁあぁーーーん!!!」


そして血がにじんだ膝小僧を抱えながら大声で泣き出してしまった。


「こらこら。男の子でしょー?

泣いちゃダメダメ。」


アタシはその男の子の傍らにしゃがみ込むと、その膝小僧に右手をかざした。




治療(ヒール)




アタシがかざした手のひらから、やんわりじんわりと暖かい光が発せられて、男の子の傷口がみるみるうちにふさがっていく。


「どう? もう痛くないでしょ?」


「……わあっ! ほんとだ! もういたくない!!

すごい!すごいよ!!!

ありがとうきれいなお姉ちゃん!!」


男の子は笑顔で立ち上がり、手を振りながら走って行ってしまった。


アタシもにこにこしながら手を振ってそれを見送る。


「おお~! さすがユボーラ村の聖女さまだな!」

「くひひっ! あの子の性癖歪んじゃったりしてw」


そんなアタシの左右から挟み込むようにアタシをからかってくるセイヤとユミィ。


「ちょっ、なにそれ!!

ていうか聖女って呼ぶのやめてよー!

アタシそんなガラじゃないっつーの!」


これは謙虚半分、照れ半分、かな。


確かにアタシは、職業(クラス)が村人(娘)のままなのに回復魔法が使えたりする。


でもこれはたまたまだと自分で思うんだよね。


「―――っし。緊張もだいぶ落ち着いたし、

そろそろオレら、ギルドに入るとするか!」

「くひひっ。ビビりのセイヤくんもやっと

覚悟を決めたみたいだねっw」

「はぁ? バッ! このっ!てめっ!ユミィ!!」


今度はセイヤがユミィにからかわれて真っ赤になってた。


アタシはそんな微笑ましい2人と一緒に、冒険者ギルドの扉をくぐった。




* * *




初めて入った冒険者ギルドの中は、ちょっと広めな酒場みたいな感じだった。

まだ午前中ということもあり、テーブルは閑散としていたけど、クエストとかの張り紙が掲示してあるボードには何人かの冒険者が集まっていた。


「もうすぐしたら呼ばれると思う。」


アタシたち3人を代表して受付を済ませて来てくれたセイヤが、緊張に少し顔をひきつらせながら戻ってきた。


「ん。ありがと。」

「えへへっ。楽しみだねっ。」


ユミィと2人でセイヤに返事をして、アタシたちは隅っこのテーブル席に3人で腰をおろした。


そしてアタシは、セイヤから冒険者に誘われたことをパパに報告した時のことを思い出していた―――




『パパ、あのね、アタシ、セイヤに誘われて、

ぼ、冒険者になろうって思うんだけど……。』


アタシのパパはいつも優しくて怒ったところなんて見たことないけど、さすがに今後の人生に大きく関係しそうな内容だったから、パパにそれを伝える時は本当に勇気が必要だった。


礼拝堂でノネミア(さま)の女神像にお祈りを捧げていたパパは、アタシの言葉を背に受けてゆっくりアタシに振り向いた。


『そうか……。ついにこの日が来たか。』


『…………え?』


泣きそうな笑顔でアタシに語りかけてくるパパの反応は、完全にアタシの予想外だった。


てっきり頭ごなしに反対されるって勝手に思ってたし、もし説得出来なかったら諦めてこの村の教会とノネミア(さま)に一生を捧げることも覚悟していたのだ。


そんな風に戸惑っているアタシの両肩を、パパは力強く両手のひらで抱いてきた。


『お前をいつか旅に出して、広く見聞と徳を積んで

もらって、そして立派な聖女になってもらいたい。

と、私は常々思っていたんだ。』


『――――――はっ?』


パパのメガネの奥の瞳が涙ぐんでいた。


『アイ。お前は特別な祝福も洗礼も受けていない

普通の村娘にもかかわらず、治療(ヒール)

解毒(キュア)など数々の神聖術を行使している。

いつの間にか使えているお前にとっては

それが当たり前かもしれないが、

その奇跡の行使の数々は当たり前じゃないんだ。

お前は女神(ノネミア)様に選ばれたんだ。』


アタシの肩を抱いている、パパの手に力がこもった。


『だからアイ。お前がセイヤくんたちと旅に出て、

自身の内なる能力を磨く修行として、

冒険者になるのは私は大賛成だ。

むしろ、よく言ってくれた。

よくぞ!言ってくれた!!』


そう言ってパパはついにメガネを外して、自分の裾で涙を拭いながら泣き出してしまった。


『あ、うん……。』


これはもう「やっぱやーめた!」とか絶対に言えない雰囲気になってしまった。


でもなぁ。

確かに物心ついた時から自然といつの間にか簡単な神聖術はなぜか使えてたけど、生まれた時から教会で過ごしてたからたまたまそういう素質があっただけなんじゃないかと思うんだよね。自分では。


そもそもアタシは聖女?に求められるような、大人しく澄ました淑女的な振る舞いとか絶対無理だし、むしろ棒っきれ振り回してチャンバラしたり、握りこぶしで板っきれカチ割ったりそういうのが楽しくてここまで生きてきたし。




―――どう考えても、アタシは聖女ってガラじゃないと思うんだよな…………。




ま、でもせっかく偶然でも神聖術が使えるんだから、その長所?を活かさない手はないよね。


ほんで冒険者生活が落ち着いたらそれなりの神職の職業(クラス)に就いてるだろうし、お家の教会を継ぐのも悪くないよね。


うん。なんか考えまとまったら気持ちが楽になった気がする。


「―――セイヤさんとお連れさん、

いらっしゃいましたらお返事くださーい。」


お。受け付けのお姉さんがアタシたちを呼んだ。


「―――よっし。行くか。」

「―――えへへっ。楽しみっ!」


セイヤとユミィが立ち上がった。


「んじゃ、洗礼受けに行っちゃいますか!」


アタシも立ち上がって2人に笑顔を返した。


うん。女神官(プリーステス)になれたらいいな。

ほんと聖女ってガラじゃないんだけど、それっぽく振る舞うのは別に嫌いじゃないからね。

今回はアイちゃん視点でした。

もともと本家の「セカスイ」でキャラが出来上がってるので

思い通りに動かしやすくて楽でした。

だらだらと書かせて頂いておりますが、

序幕で描いた「5人の合流」まで、各個人をじっくり書きたいと思っているのでご容赦ください。


それでも本家のように、1話何万字とかじゃなくて

短くまとめてるので、さくさく連続で読めるかなって

思っております(自己満足)

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