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第27話♥ワインの良さって、いまいちわかんないんだよね……

古代サルアーフ王国の思い出話?中心になるので

少し長くなります。


色々練り直したりしましたが、

いまいち取っ付きにくくなったかもしれませんごめんなさい。

吸血鬼(ヴァンパイア)のクリストフさんがふと、あごに手を当てて考え込んだ。


いや、吸血鬼(ヴァンパイア)は美形ぞろいって話には聞いてたけどほんとうに美形だよね……。

ゆるやかにウェーブかかったプラチナブロンドの髪の毛はキラッキラしてるし、肌は雪のように白いし、唇だけ血みたいに真っ赤で、目とか切れ長で鋭いのにどっかあったかくて。


「やはり!どこかで見た顔だと思ったのだ!

お前とお前! レインとナルシュタインの

子孫であろう! うむ! 間違いない!!」


と、レイトとナーシュさんを見て、顔を輝かせた。


「え? 誰よそれ?」

「ぼ、僕たちのご先祖さまさまかな?」


戸惑う2人にあっという間に詰め寄ったクリストフさんは、両手で2人を抱き締めた。


「……っ!ちょっと!!」

「え? あ、いや、え?」


「よもや、よもや……、、、

こうして2人の子孫と相見(あいまみ)える日が来ようとは!

不死の我が身を呪っておったが、

このようなことがあるならば、この朽ちぬこの身も

悪くないものだな!!!」


見ると、クリストフさん、めっちゃ涙を流して泣いている……!


「…………なによこれ。。。」

「あっ、あの、、、クリストフ、さん?」


「いやっ、済まない!

お前らにとってみれば、私は初対面であったものな!

不躾(ぶしつけ)を詫びさせてくれ!」


はじけんばかりの笑顔で2人からはなれたクリストフさんが、レイトとナーシュさんの肩をばんばん!と叩いた。


「…………なんだこりゃ。」

「…………あ、アタシもわかんない…………。」


セイヤくんもアイちゃんもかたまってその様子を見ていた。


って言ってるわたしもぽかんとぼう然な感じだったけど。


わたしたち5人を完全に置いてけぼりにしているクリストフさんが、またあごに手をあてて考え込みはじめた。


「…………ふむ。

積もる話や、語らねばならぬ話も山ほどあるが、

こんなカビくさい場所では(きょう)()がれる。

お前たちどうだろうか。

もしお前たちさえ良ければ、酒場で酒でも飲みながら

語り合おうではないか!!」


「…………え? さ、さかば??」


一瞬、聞き間違いかと思った。


「うん? 別に構わないであろう?

私は不死系(アンデッド)の身なれど、

なにも人類に仇をなす魔なる者ではない。

神話の時代ならいざ知らず、私の時代でも既に

我々、吸血鬼(ヴァンパイア)はオーガやコボルトのように

人類と友好的な関係を築いておったぞ。」


な、なんかペースみだされる……。


んでも、にっこにこのクリストフさんを見てると、悪い吸血鬼(ひと)じゃないんだろうなってことは、なんとなくわかった。


「……そ、それじゃ、そうすっか……。

みんなもそれでいいよな?」


「おけ」「りょ」「問題ないわ愚図」「はい」


満場一致で、わたしたちはとりあえずダンジョンから出て、呑みに行くことになった。




* * *




ボスのガイコツからのドロップを回収して(ケチくさいことに魔石とポーション類とお金だけだったんだけど)、いちばん奥の脱出用魔法陣で外に出ると、外はすっかり夜だった。


「クックック。

今が宵闇の刻というのは察してはいたが、

もし陽光残る刻であれば、私は大変なことに

なっておったな!

うーむ。1000年ぶりに見る三日月は実に美しい!」


いや、笑ってるけど、死んじゃうってことじゃないの?




ま、いっか。

いろいろありすぎて、考えるの疲れたしw




そんなこんなでわたしたちはクリストフさんをまじえてエルミンの街に戻り、酒場に入った。


さすが冒険者の街だね。

夜どおし営業してるお店もあるんだもんね。


「ふむ。主人。新鮮な牝馬の血は置いてあるか?」


6人席の丸テーブルに座って、いざオーダーしようってとこで、クリストフさんがとんでもない注文を言い出した。


「ハァ? ちと待ってくれよクリストフさんっ!」


セイヤくんがぎょっとしてマッハで突っ込んだ。


「そ、そんな他に誰も飲まないようなもの、

きっと需要ないわよ……………。」

「そ、そうだよクリストフさん、、、

わ、ワインとかでいいんじゃないかな……?」


レイトもアイちゃんも申し訳なさそうに続く。




「……いや、あるよ? 飲むための、馬の血。」




「「「「「は????」」」」」




マスターの返答に、わたしたち5人全員びっくりして言葉をそろえた。


「……いや、最近はオーダーするお客さん

ほとんどいなくなっちまったけど、

爺さんの代にゃ、吸血鬼(ヴァンパイア)の常連さんとか

ちらほらと居たらしくって、その名残で今でも

うちのオーダーに残ってんだよ。」


あっけらかんとマスター言ってるけど、そんなすぐ用意できるものなの??


「んでもよ、一緒に馬刺しも頼んでくんねぇかな!

そしたら厩舎の子馬も無駄にならねぇからよ!」


カラカラと笑うマスターの言葉に、わたしたちはおとなしく馬刺しもオーダーすることになった。




* * *




わたしとアイちゃんは柑橘系の果実酒。

セイヤくんは麦酒(エール)

レイトは赤ワインでナーシュさんは白ワイン。

……そしてクリストフさんは牝馬の鮮血と、それぞれみんなオーダーしていた飲み物がいきとどいた。


「ンー。それでは、今宵の美しい月に、、、」

「「「「「乾杯!」」」」」


クリストフさんのまっっったくよくわからない音頭(おんど)で、みんなそれぞれのお酒 (ひとりだけ血だけど)に口を付けた。


「ん――――~~~~………………、、、

はァ―――――――――ッッ!!

いや!1000年ぶりの鮮血は実に!実に美味だ!!」


クリストフさんがグラスをいっきに飲みほして、満足そうに息をはいた。


―――てゆっか、別に人の血じゃなくていいんだ……。


「……あの頃は木々の緑豊かなこの地が、、、

まさか一面の砂地に覆われているとはな……。」


運ばれてきたおかわりを受け取って、クリストフさんがさみしげにつぶやいた。


「……なァ、クリストフさん。

なんで、その豊かだった国が、

滅んでこんななっちまったんだ?」


肉の腸詰めを飲み込んだセイヤくんがたずねた。


「……ふむ。どこから話したものか…………。」


クリストフさんは窓から外を見た。


はるか視線の先には、遠くA級ダンジョン『砂塵の塔』がにぶく不気味な光をはなっていた。


「ここからでも『砂塵の塔』が見えるんだね。」


わたしも視線の先を追って、口をひらいた。


「……あれが、『砂塵の塔』、か…………。」


そうつぶやくと、クリストフさんは2杯目のグラスに口を付けた。


「……かつてのサルアーフ王国は、

ウッドエルフの女王とダークエルフの大神官の

2人によって共同で統治され、世界樹の恩恵を

余すところなく受けた非常に豊かな国だった……。」


「…………世界樹?? そんなのがあったの??」


アイちゃんがたずねた。


「……霊力あふれる世界樹は、王国の中心だった。

その恩恵で王国のエルフ達は、人間(ヒューマン)より

遥かに長寿であり、また強力であった。

しかしその力は全て吸い取られ、枯れ果て、

今は『砂塵の塔』と呼ばれているらしいな。」


「えっ!!?」

「あの塔が世界樹だったの!?」

「そんなん初めて聞いたぜ……。」


あんまり近くで見たことはないけど、あれが木の幹だと言われたら、そんな気がしないでもない。


「お前らが打倒したサンドリアス、

彼奴(きゃつ)の忌々しい暗黒外法によって、

あんな姿に変えられてしまったのだ……。」


にがにがしくクリストフさんがうめいた。


「―――――。」


みんなだまってしまった。


「そ、その時、女王や大神官は、

何をしていたと言うの??」


自分の祖先だからなのかな。

レイトが少しの沈黙のあと、クリストフさんにたずねた。


「ふむ。王国に反旗を(ひるがえ)したサンドリアスは

まず大神官を害し、それから砂銀入りの血で私を捕え

私の魔力を吸い出して利用し、より大きな外法を

発動させて世界樹をも巻き込み、

女王もろとも王国を滅ぼしたのであろうな。」


「――――――――。」


「……もっとも、彼奴の奸計に(はま)ったその後は

私の推測でしかないが、

恐らく間違いないだろうな…………。」


「そ、そんな…………。」


レイトの白くきれいな顔が、少し青白くなった。


「…………いい機会だ。王国の歴史を踏まえて、

お前達祖先の話、そして私が知る滅亡の話でも

してみるとするか―――――――」




―――クリストフさんが聞かせてくれた話は、かいつまむとこんな話だった。




古代王国サルアーフ。


美しい大森林の真ん中にそびえる世界樹を中心にさかえた古代王国。


魔力霊力あふれる(ウッド)エルフと、心身とも強靭(きょうじん)(ダーク)エルフが共存して支えあっていた大王国。


王国の中心の世界樹からあふれる霊力で満たされたエルフとダークエルフは、ふつうの人類よりひとつ上のステージにあがり、300~500年ほど生きる寿命を与えられて、華やかな黄金時代を作っていたとのことだった。


そして霊力にすぐれているエルフの中で、まれに現れる身体能力が非常に強力な女性エルフがウッドエルフの女王をつとめ、またダークエルフの中で時おり生まれてくる霊力魔力が抜きん出た男性エルフが大神官となり、それぞれいろいろ協力分担して王国を統治していたらしい。




「―――か、身体が強いエルフ??」

「…………魔力に優れた、ダークエルフ……??」


ここまで話がすすんで、レイトとナーシュさんがくいついてきた。


「そうだ。まるでお前らみたいな

強いエルフと賢いダークエルフだな。

だから私はお前らが末裔だと気付けたのだよ。」


クリストフさんは懐かしいものを()でるような目で、ふたりを見た。


「…………じゃあ、わ、私たち…………!」

「…………僕ら、運命だったんだ「んー、、、残念だが

話はそんな簡単ではなかったのだ……。」


感極まったレイトとナーシュさんが手を取りあったところで、クリストフさんが少しかなしげに口をはさんできた。


「―――――えっ」


「………………中和、されてしまったのだろうな。

色々な力が。」




ふつうのエルフとダークエルフが結ばれて子どもができても、だいたいどちらかの親に似たエルフが生まれて問題はなかったんだけど、なぜか女王と大神官が結ばれてできた子どもはすべて、身体が弱く魔力もなく、そして寿命もふつうの人類なみの、弱いエルフだったらしい………………。




「だからだろうな。王国では、

女王と大神官の交わりは、

禁忌とされたのだよ―――――」


「そ、そんな………………」


レイトは肩をふるわせて、うつむいてしまった。


「……いや、当時の、世界樹の霊力満ちあふれた

時代の話だ。エルフもダークエルフもせいぜい

今は80年ほどしか生きないのだろう?

子を成しても無理に多く望まなければ、

今の世に相応しい幸せもあるやもしれぬ。」


なるほど。


クリストフさんの言葉にも一理ある。


寿命が長い種族のなかで、突然短命で能力が低い子どもが生まれたら、きっと忌み子あつかいされてしまうかもしれない。


でも今ならみんなと同じくらいの寿命で、冒険者とかそういう力とか魔力とか使う生き方とか選ばなければ、平凡ながらも幸せにふつうの人と同じ天寿をまっとうできる、って話なんだろうね。


「無理に昔に縛られるな。

お前たちが"幸せ"と思える生き方をすればいい。

きっと、レインもナルシュタインも

それを望んでいる。」




―――そこまで語ったクリストフさんの身体が急に『びくっ!』とはねあがった。


「………………すまぬお前ら。

もうすぐ、もうすぐ朝が来る…………!

朝が!来てしまう……!!!!」


「―――――は?」


わたしも思わずまぬけな声が出てしまった。


「すまぬお前ら! 今宵はこれでお開きだ!!

話の続きはまた明晩語るとしようではないか!!

礼を欠く形で私としても口惜しいが、

また会うとしよう!!!!」


そう言い残すとクリストフさんは金貨2枚を残し、コウモリに姿を変えて窓から出ていってしまった。


「…………いや、クリストフさん、払い過ぎじゃね?」


セイヤくんがあきれながら、金貨をひろいあげた。

たしかに金貨1枚でもお釣りが来そう。


「…………とりあえず、そろそろ寝よっかいい加減。

実はアタシ、少し眠かったんだよねw」

「そ、そうだね……。今日はハードだったし。なのに

わたしたち、オールかましちゃったもんね……。」


アイちゃんとふたり顔を見合わせる。


「今日のところはみんなしっかり休んで、

また日没後にここで待ち合わせましょ!」

「そうだね。僕としてももっと話聞きたかったし。」


レイトとナーシュさんも腰を上げた。


まったく。

今日はほんとながい1日だった気がする。


死にかけたし、すっ飛ばされたし、死にかけたしwww


「……でも、なんでかな?

今日はほんと、楽しかったな。」


わたしは白みはじめた空を見ながら、ひとりつぶやいた。

すみません。

なんか終わらなそうなんで一旦切りました。


ちょっと別の話はさんで後編に続きます(たぶん)


(2026/01/31)

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