第19話●みっともなく取り乱しちまうくらい大切なんだよ!
ランダムテレポートの罠で
ユミィとレイトがどこかに飛ばされてしまいましたが、
残されたメンバーは…………、、、
自分の迂闊さを責めちゃうリーダーのセイヤくん視点です。
ユミィが宝箱に触れると同時に、くすんだ白い光があふれ出した。
どう見ても到底尋常じゃない状況にしか見えない。
「ご、ごめんみんな、、、」
~~てへへ。やっちゃった。~~
…みたいな顔したユミィがそうつぶやくと、宝箱から広がった光に飲み込まれて、ブブブッと点滅し始めた。
―――罠が発動した!? まさかテレポーター!?
考えるより先に、たまらずユミィの元に駆け出す。
「行かせるかよ!!」
しかし、ユミィに向けて伸ばした手は空を切り、ユミィとレイトは宝箱と共に消えた。
辺りには、しん、とした沈黙だけが残された。
「え? え? ユミィ? うそでしょ……?」
オレの後ろからアイの涙声が聴こえた気がした。
畜生……。
畜生、畜生、畜生!!!
まさか、宝箱を開けた人間をどこかランダムにテレポートさせるテレポーターの罠が仕掛けられていたとは!!!
オレが着いていながら、みすみすユミィを危険な目に遭わせちまった……!
……いや、危険な目なら、まだマシかもしれねぇ。
無事でいるだろうか。
生きていてくれ。
頼む、ユミィ。
生きていてくれ。
オレを、オレを置いて行かないでくれ!!
「――――うああああああああああッッッ!!!」
岩壁を何度も殴りつける。
不甲斐ない。
不甲斐ない不甲斐ない不甲斐ない!!
護る、なんざ言っといてこのザマかよセイヤ!!
意地でも宝箱解錠なんか頼むんじゃなかった!
惚れた女を危険な目に遭わせるとかよ!
ほんでみすみす何処かに見失っちまうなんてよ!
リーダー失格じゃねぇか!!!!
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!
ゆっ、ゆみぃ、ゆみぃぃぃ!!
ごっ、ごめんねぇぇぇぇぇ!!!!
アタシが!アタシが宝箱!開けようなんて!
言わなければぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アイが膝から崩れ落ちて号泣していた。
オレは、はっとしてアイに駆け寄り抱き締める。
大声で泣いているアイの胸中を思うと胸が締め付けられる。
「アイっ! まだだ! ユミィは探し出す!
オレはアイもユミィも絶対に護る!!!
だから泣くな! アイ、泣くなっ!!!」
「せいやぁぁぁ!!せいやごめんねぇぇぇ!!!
アタシのせいで、ゆっ、ゆみぃがっ!!!
うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」
お前は悪くない。お前は悪くない。
悪いのは、こうなることを止められなかったオレだ。
自分の胸に強く、強くアイを抱き締める。
落ち着けセイヤ。考えろセイヤ。
後悔ならあとで死ぬほどすりゃあいい。
アイは絶対に護る。
そしてユミィ、絶対に探し出すからな!
だから、だからどうか、無事でいてくれ―――――
「………………えっと、あの、、、
2人は、レイトとユミィさんは無事ですよ…………。」
「「……へ?」」
え、ナーシュ?
それ、どういうことだ……?
背後からのナーシュの声に、思考が完全に停止した。
「…………えぇと、その、、、
ぼ、僕は常時召喚している風妖精を
レイトの元に付けているんですけどね…………。
彼女が言うには、今のところ
特に問題ないそうです………………。」
「……………………え??」
アイもぽかんとした顔で、オレと同じようにわけわかってねぇ感じだ。
「あぁ、僕のスキル【精霊対話】は、
自分が召喚した精霊とはある程度離れても、
意思疎通出来るんですけどね、
どうやらそれなりに下層に転移させられたそうですが
周りは特に魔物も危険もなく、
2人とも無事なようです「まじかよ!!!」
思わずナーシュの両肩を掴む。
「……いっ!痛っ!!」
「なんでもっと早く言わねぇんだよ!!!!」
そして構わずナーシュを強く揺さぶっちまった。
「…………い、いや、なんか、2人……
盛り上がってて、って言い方は良くないんですけど、
中々言い出す空気じゃなかったと言うか…………。」
そう言ってナーシュはばつが悪そうに目を逸らした。
「…………………………………………………………。」
た、確かにな。
オレもアイも取り乱しようがハンパなかったもんな…………。
なんか、落ち着いたら急に恥ずかしくなってきやがった…………。
「と、とりあえず、レイトは風妖精と
意思疎通は出来ないんですけど、
なんとか風妖精に地面に文字を書いてもらって
レイトもユミィさんもその場にとどまって
待機してもらうよう伝えてあります……。」
―――!!!!
クソッ!!
この褐色銀髪ロンゲのイケメン……、
オレが取り乱してる間に、そこまでしっかり対応してやがったのかよ…………!!
「……ほ、ホント? ゆ、ユミィ、無事なの……?」
アイがまだひっくひっくと半べそをかきながら、ナーシュにたずねた。
「はい。今はなんとなくの場所しか判りませんが、
きっと2人に近づくにつれ、正確な場所が
わかると思います。ですので僕たち3人で
レイトとユミィさんの元へ急ぎましょう。」
「よかった!!よかったよう!!!
ナーシュありがとううううう!!!!」
アイがまた泣きだしながらナーシュに抱きついた。
「……っ!」
それを無言でひっぺがす。
「と、とりま、最悪の事態は避けられてるのかも
しれねぇが、まだ油断出来ねぇ。
アイ、ナーシュ、一刻も早く2人と合流しよう。」
そして意識して澄ました顔で2人へと向き合った。
「おけ! アタシ頑張る!!」
「急ぎたいのはやまやまですが、
こういう時こそ慎重に行きましょうね。」
2人も引き締まった顔でオレに返す。
「よし。オレが先行するから、
お前らも気をつけて着いてきてくれ……。」
そう言いながらダンジョンの奥へと進み始めることにした……。
「…………。」
しかし、哨戒を任せてたユミィはいつも、こんな緊張感を味わっていたのか……。
自分が先頭を注意深く歩いてみて初めて気付く緊張……。
(早くユミィに会って、改めて感謝を
伝えねぇとな…………。)
そう思わずにはいられなかった―――――
セイヤくんとアイちゃんの
取り乱しっぷりを仕事帰りの電車の中で執筆してて
思わず自分でも笑ってしまいそうでしたw
(マスクしててよかった)
(2026/01/23)




