第16話●数は力だ、って誰か言ってたっけ
バトル回です。
やっぱりメンバーが多いとそれだけ有利ですよね。
モンスターと言えど、単独行動は避けるべきなのかもしれませんねw
「●」ですのでセイヤくん視点です。
オレは背中から抜いた両手剣を両手で構えて即座に斬りかかる。
ザシュッ!
『ギョガァァ!!!』
ババァみてぇなツラが苦痛に歪んだ。
「レイト助かったぜ! ユミィのこと!」
「ふっ、ふんっ!
アンタだったら助けなかったんだからねっ!!」
よし。これでマンティコアのターゲットからレイトは外れたはずだ。
―――マンティコアか……。
脅威度こそC-と、ブラックボーグルと同レベルだが、ちょっと違うタイプだ。
ブラックボーグルはその驚異的な身体能力が厄介だったが、近接攻撃しか手段がないうえ、聖属性が弱点なのでアイの神聖術のお陰で終始優位に勝つことが出来た。
しかしマンティコアは毒針攻撃という遠距離攻撃に加え、爪には麻痺毒を有しバインドボイスというからめ手も使ってくる。
更には自身の翼で短時間ながらも滑空可能で機動力もある。
こちらもユミィの射撃という遠距離攻撃こそ持ってはいるものの、もし中衛のアイが狙われてダウンしたら一気に総崩れになる危険性があるため、可能なら極力戦闘を回避していた。
……とは言うものの、エルミンに来たばかりのオレらじゃいざ知らず、今はレベルだけならCランクのゴールドクラスあたりまで来ているんだ。
同じCランクの魔物にビビってどうすんだって話だよなぁ!!
「ナーシュ! 申請っ!!」
「ああわかった!」
ナーシュの返事と同時に、ナーシュたち『明光の夜』からの共闘申請がウインドウに表示される。
すぐさま【YES】を選択し、オレら『黒曜の剣』と暫定的に同一パーティーとして受け入れる。
オレがリーダーのままでなw
「ナーシュもレイトも、【祝福】っ!!」
さすがだな!
オレとナーシュのやり取りのあとに、アイが【祝福】スキルをパーティー全員に発動させる。
普通に使ってもダット村のみんなに活力を与えるくらい強力なスキルだが、同パーティーメンバー対象だと効果は更に跳ね上がる。
「ありがたいわ!」
「よし!」
実はレイトもナーシュも何回か廃墟ダンジョンを共同で攻略したことがあったんで、こういう段取りも説明要らずで助かるぜ。
『グギョォォォォォォォ!!!!』
マンティコアが叫び声とともに、オレ目掛けて飛びかかって来た。
「んなろっ、、、【強撃】!!」
奴の体当たりに強撃で相殺を狙う。
ガイン!!
ちったぁこちらに衝撃とダメージがあったが、あちらさんにもそれなりにダメージが入ったようだな。
前もってアイが前衛のオレとレイトに【防護壁】を唱えて防御力を高めてくれてあるし、今負った傷も【治療】で回復してくれている。
一方でナーシュは水精霊を召喚して【水球】と【治療】(こっちはレイト向けなんだろうな)のサポート準備を終えていた。
「間抜けな魔物さん。不細工な人間よりも
美しい私と遊びましょっ。」
マンティコアの視界から外れていたレイトが独特のステップを踏みながら、自身のレイピアをくるくる不規則に回す。
小剣スキルの【フェイント】ってやつか。
再びマンティコアのターゲットがオレからレイトに移ろうとしている。
そこで、
ボン!ボボン!!
『グギュッッッ!?』
ナーシュが召喚したウンディーネが放った【水球】が何発かマンティコアに命中する。
大したダメージじゃねーんだろうが、ここでの遠距離魔法はわりとありがたい。
なにしろそれに気を取られて、こいつのデケー横っ腹がオレのほうに無防備にむき出しになるからな。
「そらっ。【流し斬り】!!」
駆けながら両手剣でマンティコアの横腹を深々と斬りつける。
『ガハッ!』
マンティコアが苦しそうに血を吐き出した。
だろうな。急所攻撃入ってたっぽいもんな。
『グググ……!!!』
流石に劣勢を悟ったのか、マンティコアは翼をはためかせて離脱体勢を取ろうとした。
ま、ムダなんだけどな。
『!!!???』
その場から動けないことに困惑するマンティコア。
それもそのはず。
ユミィが先ほど音もなく放った【影縫い矢】がマンティコアの影に深々と刺さってるからな。
スキルレベルこそまだ1だが、ユミィの器用度の高さが成功率を高めている。
さすがにレベル20以上の冒険者が5人も集まれば、脅威度C-のマンティコアと言えど、為す術もないんだな。
バインドボイスも毒針も発動させる暇すら与えられていない。
「【連射】」
そこでユミィの【集中】で高められた【連射】の射撃が、マンティコアの顔面に急所攻撃で炸裂し、
「行くわよッ、【点穴】!!!」
続けてレイトのレイピアがマンティコアの喉元に突き刺さった。
「……勝ったな……。」
そこそこの大きさの魔石を2個ほど残して、マンティコアは煙になって消えた。
2個ってのがまた、2パーティーで分割出来てありがたいぜ。
「ま、マンティコアって……、、、
こんなに楽に勝てるのね………………。」
レイトがレイピアに着いた血を拭って、鞘に納めながらこぼした。
「ホントホント! アタシも意外っつーか、
なんで今まで逃げてたんだろーって思った!」
うちの聖女サマもぴょんこぴょんこ跳ねながら喜んでる。
「アイさんの【祝福】スキルの効果は
相変わらず素晴らしいですね。
きっと、そのお陰とこの5人の連携が
上手く噛み合った結果でしょうね。」
ナーシュが分析した通り、今回は5人で相手出来たからの楽勝であって、それぞれ『黒曜の剣』、『明光の夜』がバラバラに戦っていたらどうなっていたか判らない。
順当に、常識的に考えると、やっぱりパーティーの戦力増強ってのは大事なんだろうな。
目的やら信条やら別々だからずっと一緒にはいられねえけど、短期間ならコイツらと行動を共にするのもアリなのかもしんねぇな……。
そんなことをぼんやりと考えていると、、、
「―――セイヤくん……。」
「うわっ! びっくりした!!」
さっきから静かだったユミィがオレの背後から話しかけてきた。
「いちばん最初にマンティコアが撃ってきた
毒針なんだけどね…………。」
「お、おう。それがどうした?」
オレの問いにユミィは答えず、とある方向を指差した。
「……??」
ユミィが指した先は、砂の地面から少しの部分だけむき出しになっていた、遺跡の壁みたいな石だったが、そこにマンティコアの放った針が突き刺さっていた。
「……? これが? どうかしたのか?」
どこが変なんだ? オレにはまったくわからない。
「んと、石だったら硬くてふつうは針なんか
はじかれちゃって刺さらないよね?
でも、ここにぶっとい針が刺さってるってことは、
厚みのない薄い板みたいな壁なんじゃないかな?
って思ってね。」
えっと、まだオレにはピンと来てないんだが、【集中】で五感が研ぎ澄まされたユミィだからこそ、これに気づいたんだろうし、それの意味もわかってるのかもしれない。
「…………。アイちゃんごめん。
あらためてセイヤくんに【祝福】と【防護壁】を
お願い。あと【治療】の用意も。
んで、セイヤくんはなーんも考えずにこの壁に
【強撃】ぶちこんで?
ケガしたらアイちゃんに治してもらって?「ハァ?」
まったく意味がわからねぇ。
「ちとユミィお前な。
それに一体何の意味が「いいから早く。」
オレの抵抗はユミィの強い口調でかき消された。
そんなオレらのやり取りを、レイトもナーシュもぽかんと見守っている。
「えっと、【祝福】!【防護壁】!!
……っと、これでいいかな?」
アイがユミィの言う通りに、オレにバフの重ねがけを終えた。
―――クッソ。訳わかんねぇけど、やってやるよ!
「【強撃】!!!」
何の変哲もないもない石壁に、全体重を乗せながら両手剣をぶちかます。
……これ地味にホントに痛てーんだからな……??
ガゴォォォン………………
凄まじい轟音が響き、オレが強撃をぶちかました石壁には、大きな穴が開いていた。
「……やっぱり。なんか壁の向こうに
空洞がある感覚だったんだよね。」
満足げにユミィがうなずいた。
「え、これって……、、、」
「うん。たぶんだけどこれ、
未踏破のダンジョンの入口じゃないかな。」
オレへの回復も忘れてるアイの問いかけ答えるユミィ。
そしてぽっかりと口を開けたダンジョンの入口を見ながら、オレもレイトもナーシュもその入口みたくあんぐりと口を開けたままだった。
もっとマンティコア戦は苦戦する予定だったんですけどね~
やっぱり5対1じゃ思ったより反撃のタイミングとか作れませんねぇw
とは言っても、セイヤくんたちがレベル6~7くらいのときに既に
C-のブラックボーグルを打倒してるので、
ここで同じC-に変に苦戦するのも不自然かな、と思って
サクサクと行かせてもらいました。
(2026/01/19)




