第10話♥黒百合の花言葉って実はわりとやばいよね
バトル回です。
バトルと言えば、無双状態の由美ちゃんですね。
(ふつうにローテ通りなだけだけど)
わたしが見たところ、ボーグルはやっぱり4匹。
先頭にいる見慣れたボーグルのすぐ後ろに、ひと回りおっきくてカブトをかぶってるボーグル……。
そしていちばん後ろに、なんかぼろ布をかぶってる小さいボーグルが2匹……。
「うらぁ!!」
セイヤくんが先頭のボーグルに斬りかかった。
【強撃】を使わないのは硬直のクールタイムがこわいんだろうな。
おたがい、クールタイムには泣かされるね。
いや、わたしの場合はちと違うか。
わたしのスキル【集中】にも、じつはクールタイムというより待機時間?的なものが存在する。
ふつうの状態なら耳をすますとかなにかを注視するとか、緊張状態でなければなんの問題も制約もないんだけど、戦闘中だとスキル発動までじつは3秒くらいかかる。
いったん発動しちゃえば、そのあとの射撃は1回限り命中率と急所直撃率がめっちゃ上昇する。
狩人のもいっこの保有スキル【気配遮断】もあわせて発動すれば、わりと安全に【集中】も発動できるし、意外と使い勝手がいい職業かもしんない。
とは言っても、近距離とかだったらさすがにこっちの存在はバレるだろうし、【集中】を準備する時間も余裕もないだろうし。
やっぱ前衛がちゃんと機能したパーティでの後衛じゃないと活躍できないんだろうな。
って、セイヤくんが斬りつけたモブボーグルはとどめを刺すまではいたらなかった感じだけど、続けてアイちゃんがそのボーグルの頭をフルスイングで振りぬいて、そのモブはぶっ飛んで絶命したっぽい。
それを見てたゴツいボーグルがアイちゃんを狙って棍棒を振り上げて、あわてて間にセイヤくんが入って盾をかまえたところでわたしの【集中】が完了した。
同時にミュアちゃんも詠唱がおわったっぽい。
――カシュン!
「【小火球】!!」
わたしの矢とミュアちゃんの火魔術が同時にゴツいボーグルを襲う。
振り上げられたゴツいボーグルの右肩にわたしの矢が刺さると同時に、ゴツいボーグルが炎上する。
「【強撃】!!」
すかさずセイヤくんがスキルでゴツいボーグルにとどめを刺した。
「ナイス連携♪」
聖女さまが手を上げて喜んでた。
これで残りはボロ布かぶった ちっこいボーグル2匹かな。余裕っしょ。
―――そんなことを思ったその時……
「「ガギュアゴーグ!」」
ボロボーグル2匹がそれぞれ、
火魔術を放ってきたのだ。
「は?」
「えっ!?」
ボウン!
ボボン!!
「うあっ!!」
「んきゅっ!!??」
ボロボーグルが放った【小火球】はそれぞれ、セイヤくんとミュアちゃんに命中した。
「えっちょっ!! 2人とも大丈夫??
2人同時なら、治療よりこっちかな!?
【慈愛】っ!!!」
アイちゃんが胸の前で手を組んで、なんかスキルを発動させた。
するとやわらかい光が2人をつつみこみ、2人のやけどが少しキレイになった。
「んー、やっぱ【治療】のが
回復量多そうだねゴメン!!」
「いや、痛み引いた。サンキュなアイ!」
「私もありがとうございますっ!!」
へぇ!
【治療】が単独効果に対して、【慈愛】は複数メンバー回復なんだね!!
効果は微々たるものでも、スキルがレベルアップしたらすごく頼りになりそう。
てかてか、【神聖術】スキルじゃないっぽいから、魔力とかも消費してなさそう!
あ、でもスキルポイントは消費するのかな?
って、そう言ってるうちに3秒たってわたしの【集中】が発動できたのですぐさま矢を放つ。
ピシュン
「ギョァ!??」
わたしの矢は一体のボロボーグルのひたいにヒットして、そいつはもんどりうって後ろに倒れた。
あと1匹!
「させるかよ!【強撃】ッッ!!」
体勢を立て直したセイヤくんが残ったボロボーグルにダッシュしてラッシュをぶちかました。
「ムギョッ!!??」
それをもろにくらったそいつは、洞窟の壁までぶっ飛ばされて、煙になって消えた。
見ると、すでに倒したボーグルたちも魔石を残して消えていた。
「―――ふう。
思ったよか手こずっちまったな……。」
魔石をひろいながら、セイヤくんが苦笑した。
「んー。魔法使うボーグルもいるんだね……。」
「あ、あれはきっと、ぼっ
ボーグルメイジだと、思いますっ……。」
わたしの言葉にミュアちゃんが答えてくれた。
「つうと、あのデカかったやつはきっと
ボーグルリーダーっつーことか?
待てよどっちも脅威度D-は
あるじゃねえかよ!!
そんな亜種まで湧いてんのかよ!!?」
セイヤくんがおどろいている。
たしかに。
わりと強敵だったっぽいし、まだレベルが2くらいのわたしたちじゃ、アイちゃんの【祝福】バフがなかったら、かなりあぶなかったかもしれない。
「とりま勝てて良かったよね♪
でも次はもっと慎重に行かなくちゃだね!!
改めて【慈愛】っ!」
アイちゃんが2人を回復しながら言葉を続けた。
重ねがけOKぽいから【慈愛】は戦闘終了後に便利な感じするな。
「……だな。
次からはボーグルメイジを優先して狙うぞ。」
「おけ」「りょ」「わっわかりましたっ!!」
セイヤくんの方針にみんなで返事すると、なぜかセイヤくんはまた苦笑いしていた。
* * *
ボーグルメイジの対処法を学んだわたしたちは、それから何度かボーグルメイジと遭遇したけど、わたしの矢やミュアちゃんの火魔術で優先して倒すことで、もう苦戦することはなかった。
また、ボーグルリーダーとの対戦も、セイヤくんがわたしたちの盾になることで、その攻撃がわたしたちにとどくこともなかった。
「うっし。やってけるな!」
3回目の勝利で、セイヤくんがやっと苦笑じゃない笑顔を見せた。
んー……。
ふだん怖い顔してしかめっつらなくせに、たまにそんな無邪気な笑顔見せるのずるい気がする……。
――っと。その時。
「あっ、黒い百合の花……!
これが『闇百合』かなっ!?」
足元に咲いてる黒いお花をていねいに引き抜く。
「お! それだ!きっとそうだ!!」
セイヤくんがかけよって来て、わたしに顔を近づけてきた。
そしてわたしが手にした闇百合をのぞきこむ。
―――待って待って待って、、、
近い近い近いって……!
「おっと、わりぃ。」
かたまってしまったわたしに気づいたセイヤくんが距離を置いた。
「え!え!アタシにも見せて見せて見せてっ!」
同時にわたしとセイヤくんの間に、アイちゃんがすごいいきおいで割り込んできた。
「……へぇ。意外とキレイだね。
めっちゃ真っ黒だけどw
えっと、10個くらい必要なんだっけ?」
「そうだな……。そんくらいありゃ足りるだろうな。
水辺とかによく生えてるらしいし
もちっと奥を探してみっか。
よっし、行くぞお前ら!」
う―――ん……。
やっぱアイちゃんも……だよね…………。
ちゃんとこの話をしたことないけど、うすうすアイちゃんの気持ちもわたしと同じなのかなって思ってたりする。
いや、いま考えることじゃないよね。
「りょ」
リーダーの号令に返事して、わたしたちは探索を再開した。
* * *
たまーに生えてる闇百合を採取しつつ、わたしたちは順調にボーグル穴の奥へと進み、ついに地下3層に到着した。
「……思ったより深いんだね。ここ。」
「ああ。でもミュラーおじさんの話によると、
ここ3層が最下層だっつってたな。」
わたしの言葉にセイヤくんがこたえてくれた。
―――あ、なんかいる。
【集中】スキルのおかげで、ちょっと先にいる魔物の気配も感じられる。
「みんな。30m先くらいに魔物がいるっぽい。
たぶんボーグルじゃなくてスケルトンかな?」
ダンジョンの名前が「ボーグル穴」でも、たまにボーグル以外の魔物も出てくる。そしてわたしの推測どおり、目の前にスケルトンが10体くらいあらわれた。
脅威度Eのスケルトン。魔素由来のアンデッドだから、べつにほんものの死者ってわけじゃないけどけっこうな数だ……。
そんなに強くないけどこの数だし、まともに戦えばこっちはかなりの消耗だろうな、とは思う。
「―――じゃ、アイ。
また頼めるか「おけ」
セイヤくんの指示でアイちゃんが1歩前に出た。
「ほいっ。【浄化】!!」
アイちゃんが胸の前で両手を組んで祈りをささげると、スケルトンたちはあっという間に、まばゆい光
つつまれながら、ぼろぼろにくずれて消えていった。
「な、何度見ても、すごいです……!」
ミュアちゃんも感心してる。
わたしも【神聖術】レベル2のアンデッド特効の神聖術【浄化】のばつぐんの効果は何回見てもびっくりする。
「いやいや。アタシ女神官だからね。
これくらいは「さすが聖じ「違うから!」
ふたりのやりとりをスルーして、周辺を【集中】で注視すると―――
「あ!あった!2本生えてるよ!」
生えてる闇百合を2本見つけて、慎重に採取した。
必要なのは根っこだから、途中で折れたりしたら使いものにならなそうだもんね。
「ユミィごくろうさん。」
「えへへっ。」
リーダーのセイヤくんに手渡すと、くしゃっとくずした笑顔でわたしの頭をなでてくれた。
「……ずるい」
―――ゴメンね。アイちゃん。
うらやましがる声が聞こえないふりをしつつ、わたしは心の中でアイちゃんにあやまった。
「…………っし。これで気付け薬の素材の
闇百合は一応、必要数揃ったけどよ、
どうする? もと来た道を引き返すか、
ボスを討伐して転移魔法陣で一気に帰るか……。」
セイヤくんがわたしたちを振り返って、真剣に問いかけてきた。
「ここ最下層だっけ? けっこう奥に来たもんね……。
たぶんもうすぐボスの部屋があるよねきっと。」
わたしもここまで来たなら、時間的にもボスにいどんでもいいかな、とは思ってたりはしてる。
「んで、ボス倒すとそんなすぐ外に出れるの?」
「大体ダンジョンのボスの部屋にはよ
帰還用の魔法陣があって、ボスを倒すと
一気に地上に帰れるらしいんだわ。」
アイちゃんの質問にセイヤくんがこたえてたけど、それもミュラーおじさんの受け売りなんだろうな。
「こっ、ここまで来たら、
頑張りましょう!!」
ミュアちゃんも気合いはいってる。
耳が ぴん と真上に伸びている。
「よっし、ミュアちゃん当てにしてるぜ?」
「わっわかりましたっ!!」
そんな話をしながら歩いているうちに、わたしたちは突き当たりの大きな扉の前に着いた。
―――岩壁なのに、扉……??
こまかいことは考えるのやめよう。
なんせここはなんでもあり(?)のダンジョンなんだし。
「……さぁ、開けるぞ……!!!」
「おけ」「りょ」「わっわかりましたっ!!」
セイヤくんがボスの部屋の扉を思い切り開け放った。
ザコバトルの回でしたが、
なぜだか由美ちゃんより
藍ちゃんが活躍した気がします^^
ほんで、意図的にサブタイトルを回収しなかったのですが、
興味あるかたは調べてみてくださいw
さぁ、次回はボス戦です!!




