第9話●行くぜ!初ダンジョン!!
さてさて。
ローテ通り今回はセイヤくん視点です。
夜が明けて朝イチで村の薬師のバロンさんとこに行ってみたんだけどよ、やっぱ必要数の気付け薬を調合するには素材の在庫が足らないとのことだった。
「あー。だいたいの必要な素材はそこら辺とか、
ちょっと森に入れば揃うんだがな、
1個、少しだけ厄介な素材があってな……。」
バロンさんは一般職の薬師だが、調合スキルがレベル4もあるので、うちの村ではかなり重宝されている。
「なにが足りないんですか?」
ユミィが羽根帽子をちょいちょいいじりながらバロンさんに尋ねた。
「闇百合の根、なんだがよ……、、、
闇百合って花は洞窟とか陽の射さない場所にしか
生えない奴でな……。
そこまで量が必要な訳じゃねえんだが、
入手が面倒くさくて、つい、な……。」
そこまでメジャーな素材じゃないってことだが、大きな都市とかだと地下室みたいの用意して栽培しているらしい。
まぁ、洞窟なら大抵どこでも生えてるっつーから、別にレア素材って訳じゃなさそうなんだがな。
―――こっから1番近い洞窟か…………。
たまーにミュラーおじさんが行ってる、あの洞窟だろうな…………。
「裏山のボーグル穴だねっ!」
アイもよく知ってるな。
ミュラーおじさんが言うには、あっこの洞窟はただの洞穴じゃなくて、制覇済みとは言えれっきとしたダンジョンで、内部にはダンジョン特有の魔素が立ち込めていて、それが周期的に魔物になっちまうから、定期的に湧きだす魔物の駆除に行ってるって話だな。
ほんで、ダンジョンはそれぞれ個性があるらしくて、その裏山のダンジョンは特にボーグルが湧きやすくなっていることから『ボーグル穴』って呼ばれているわけだ。
まァ、ボーグルくらいなら初級冒険者でもなんとかなる脅威度だし、わざわざミュラーおじさんの手を借りるでもなく、オレらの経験の足しになってもらおうってことで話がまとまった。
「午後になっても帰ってこなかったら、
俺も入るからな。」
「ハハッ。心配いらないッスから!」
「そうそう! わたしたちには聖女さまが
ついてるからねっ!!」
「あっちょっ!ユミィ!!アタシそんなんじゃないって
何回言えばわかるかなぁ……!!!!」
オレらの身を案じているミュラーおじさんに見送られて、オレたち4人はボーグル穴に向けて出発した。
* * *
朝の7時くらいには村を出たんだが、オレたちはもう8時前にはボーグル穴の前まで到着していた。
順調すぎてちょっとビックリしたくらいだ。
「こ、こんな近いんだね……。
途中もぜんぜん魔物も出なかったし……。」
「やっぱ定期的にミュラーおじさんが
駆除してるおかげだろうな。」
ユミィの言葉に答える。
「てか、ミュアちゃんもアタシたちに着いてきて
ホント大丈夫?? 絶対危ないよっ??」
アイがミュアちゃんを心配そうに見た。
「大丈夫ですっ! 私これでも職業:魔法使い
なんですよっ!!」
そう。ミュアちゃんもオレらと一緒に、このダンジョンにもぐるパーティメンバーとして暫定的に参加している。
『私の村のことなのに、私が皆さんに甘えて
なんもしないで待ってるなんて出来ません!!』
って言って聞かなかったんだけどよ。
「いやでもさ、ボーグルって
ミュアちゃんが逃げてた
グレイウルフより強いでしょ。。。」
ユミィまでミュアちゃんを心配している。
『ボーグル』は別名『バグベア』とも言われている小鬼で、同じ小鬼でも他の亜人より人間にかなり敵対的なゴブリンやオークといった小鬼系の亜人と違って、魔素を発生由来とする完全な魔物だ。
脅威度E+ってとこだな。
グレイウルフよりはちょっとだけ強い分類だ。
「あっ!あれはっ! 私1人だったのもあったし、
小火球撃ち尽くしてしまって、
魔力が切れちゃったのもあって、逃げるしか……。」
最後のほうは小さくて聞こえなかった。
「そっか!1人じゃなくて今は4人だもんね!
なにより頼れる前衛がいるんだしw
ミュアちゃんは後衛から ばしばし魔法撃てば
問題ないって感じだねっ!」
アイが得意のガッツポーズを見せた。
人を盾にする発言も職業的にセオリーだから、まぁ呑み込もう。
「よーし。お前ら念の為装備品チェックしとけよ。
問題なければ、ダンジョン『ボーグル穴』の
探索を開始するからな。」
メンバー全員に声をかけて気合いを入れ直す。
一応オレはリーダーだからな。
「おけおけ! 危なかったら即撤退で!」
「ががが、頑張りますっっ!!」
「よーし! みんな無事で行けるように
【祝福】っっっっ!!!!」
ユミィとミュアちゃんの返事のあと、アイの【祝福】スキルの暖かい光がオレらを包み込む。
さぁ、行くか!!
オレらのダンジョンデビューだ!!!!
* * *
「小火球っっっ!!」
ボウン!!
「ギョエエエエエエ!!!!!」
ミュアちゃんの杖から放たれた火の玉で、ボーグルが炎に包まれる。
オレ、こんな間近で火魔術見るの初めてなんだけどよ…………
―――これ、オーバーキルが過ぎないか…………??
「えっ?えっ?おかしい!!なにこの火力??」
火だるまになって消し炭と化したボーグルを見て、焼いた張本人が青くなって震えていた。
いつも ぴん と上に伸びてる両耳が へたっ と左右に垂れててロップイヤーかよとか思った。
「えっすごっ! 火魔術って
こんなに威力あるんだねっ!!」
「ちっちがっ! いつもはもっとちっちゃくてっ!
今の中火球くらいおっきかったしっ!!」
「でもちゃんとミュアちゃん自身の魔法だったでしょ。
……てゆかやっぱ、魔法いいなうらやましい~
わたしも魔法使いなりたかったな……。」
アイもユミィも感心してるけど、ミュアちゃんは明らかにうろたえている。
「なァ、これってやっぱ、アイの【祝福】の
効果じゃね??」
「うん。たぶんそう思う。」
オレの問いに、アイはケロっと答えた。
「へ? しゅ、しゅくふく…………?
あ、アイさんがここに入る前に、なんかやってた
アレのことですか??」
「そうそう。アタシのスキルの1つなんだけどね、
効果がアタシ以外のパーティメンバーの
ステータスの底上げなんだ♪」
また無駄に丸太をスイングしてやがる。
「え?え?え??」
「ミュアちゃん、魔力のステいくつ?」
「しっ、C-、です……。」
「そしたらたぶん、CかC+くらい
行ってるかも「ええええっ!!??」
まぁ、そりゃ、驚く、わな…………。
「そんなスキル聞いたことないです!!
アイさん!や、やっぱりあなたは
聖女「違うからねっ?」
さっき被せられたアイが、お返しとばかりに被せながらミュアちゃんに突っ込んでた。
「……まぁ、いまのボーグルは1匹だったし、
ミュアちゃんの試し撃ちみたいなとこも
あったけどさ、油断しないできちんと
隊列組んで効率的に行かないと―――」
ヒュン!
「グェェェ!!」
ユミィが言いながら弓を放ち、ちょっと先の曲がり角から顔を出したボーグルを1発で仕留めた。
「いちおう、【集中】スキルで警戒してるけど、
万全じゃないから、みんな気を引きしめてね。」
これまた言いながら倒したボーグルが落とした魔石を拾っていた。
まだダンジョン入ったばっかだったし、ちと浮かれてたとこもあったかもしんねーな……。
ここはリーダーとして方針固めとかねえとな。
「そ、そうだな……。
とりま隊列確認しよう。
オレが先頭を歩くからアイは中衛な。
万が一オレの間を抜けたモンスターがいたら
適時処理してくれ。あとオレらに被害が出てたなら
【治療】も頼みたい。
んで、ユミィとミュアちゃんは最後尾から
弓と魔法で援護を頼む。
あ、ミュアちゃんは魔力の様子見ながらで。」
「おけ」「りょ」「わっわかりましたっ!!」
「まァ、アイの【祝福】の効果もあるし、
道中はそんな苦戦はしねーと思うけどよ、
せっかくダンジョン来たんだから、
出来たらボスも討伐しておきてえもんな。」
「おけ」「りょ」「わっわかりましたっ!!」
……こいつら、ちゃんと話聞いてんのかな……。
「―――あ、この先にたぶん3、いや4匹かな?
ボーグルの気配感じる……。
こっちにも気づいてるっぽいよ。」
ユミィがこの先の闇を見すえた。
たいまつ代わりのアイの神聖術の【明光】でダンジョン内が照らされてるぶん、こちらも気付かれやすくなるわな。
「よっし!やるか!
オレが敵の先頭を狙うから、
ユミィとミュアちゃんは後列を狙ってくれ!
アイはオレのフォローを頼む!」
「おけ」「りょ」「わっわかりましたっ!!」
3人の変わらない返事に一抹の不安を覚えたが、やるしかねぇ。
「いくぞ!!」
オレはパーティの先頭を切って駆け出した。
まだまだみんなビギナーだし
覚醒もしてないので面白くない展開が続いてる気もしますが、、、
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