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意識(1)
部活が終わり、珍しく音楽室に残っていた。
誰もいない静まり返った音楽室。
俺は音楽室の窓から外をボーっと見ていた。
3階の音楽室から見る夕焼けはキレイだった。
みんな下校している。
その中にあの女がいた。
友達と楽しそうに帰っている。
今日の出来事が思い出された。
腹に手をおかれた時の温もり、近づかれた時に香った女の子の制汗剤の香り‥‥。
俺の鼓動はまた早くなった。
『俺は変態か‥?』
そんな自分がおかしくなった。
『お前がここにいるなんて珍しいな』
ビクッ!!
突然の声に驚き、振り向く。
顧問の大ちゃんだった。本名は榊原大介だが、めんどくさいので大ちゃんにしてる。
『何だ、大ちゃんか』
『大ちゃん言うな!今日はどうした』
『うん~、何となく』
何となく‥‥強いて言えばあの夢か。
『そうか。もう閉めるぞ!帰れ帰れ』
大ちゃんに追い出され、俺は帰った。
もう日も沈み、辺りはすっかり暗くなっていた。
そういえば、あの女の名前も聞いてなかったな。名前くらいは聞いとくか。