14* -ドラブア地方-《ドレイ》
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「こ■い……た■■■……■■い……。」
(なんだ……この頭に響く声は……?)
「こ■い……た■■■……■■い……。」
(やめろ……。)
「どう■■……■ぜ……お■■ち■■■い■ゃ■■……!!」
「ヤメロォーーーーーッ!!!!!!」
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「っ……はぁはぁ……。ここは……??」
(……自分は何をしていたんだ、今のは一体……?)
ガバッ!と起き上がり息を荒げながらも周りを確認するアオイ。
……周りにはナナやトー、そしてあのクソガキもいない。そして見知らぬ大地。
どうやらアオイ一人だけ転移ではぐれてしまったようだ……。
ナナが居なければ魔法も使えない。
頭を抱えてこれから先どうしようかと悩んでいると…………。
「あーーーーっ!!!ようやく起きたーーーーっ!!!!!」
唐突に現れたこどもの大声にビクン!と再び震えるアオイ。
その声の主を辿るとそこには赤い宝石の様なものを首に付け、ボロ切れを着ている少女が立っていた。
「えぇと、君は……?」
「あたち?あたちはマリーだよっ!!」
アオイが尋ねるとその少女は自分のことをマリーと説明する。
見たところ年端も行かない女の子のようだが、周りには誰も居ない。
恐らく迷子だろうか?そのことが気になるアオイはマリーへこう問いかける。
「……えぇと、マリーの他に誰も居ないの?」
「うんっ!みんな何処かへ行っちゃった!!」
(要するに迷子ってコトね……ヤレヤレ。)
マリーの屈託のない言葉に呆れながらもどこか安堵するアオイ。
さて、迷子二人でどうしようかと悩んでいた所……。
「むぅーーー!!ちょっとは感謝してよね!!あたちがおねーちゃんを助けたんだから!!!」
「助けた……?一体何を……?」
再び少女へ目を向けるとマリーは足首から血を流していた。
靴は履いていないし足を守るものも一切ない。
恐らく何処かで切ってしまったのだろうとアオイは自分のリボンを解き少女の傷口へ巻き直す。
「わっ!?……えへへ、ありがと!!おねーちゃんっ!!」
(はぁ……。そう言えば昔妹が怪我した時もよくこんなことしてたな……。
……こんな風に昔は可愛げがあったんだけどなぁ……。)
そんな他愛もないやり取りを続けているとマリーがふと言葉を漏らす。
「そういえばねー!!おねーちゃんみたいにバシッ!とした光があっちの方でも見たけどお友達??」
バシッ!とした光……?恐らく転移魔法のことだろうか。
そうだとしたらナナ達のことかもしれない。そう思ったアオイはマリーへ詰め寄る。
「そ、その光あっちの方で見たのっ!?」
「うん、あっちー!」
少女が指さす方向には、この先ドラブア通り村。と書かれた看板が立っていた。
……どうやらドラブア地方への転移は成功しているようで一安心するアオイ。
そして合流すべく足早でその看板まで近づくと背後から再び少女の声が聞こえる。
「おねーちゃんリボンありがとー!!大切にするねっ!!」
大切にするほどでもない!と少女へ言葉を投げようと振り返るアオイであったが…………。
「…………いない…………?」
先程まで居た少女の形跡が消えている、まるで最初から存在しなかったかのように…………。
一体何だったんだ…………?という疑問を残しながらもその少女が指す光へとアオイは歩み出すのであった…………。
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