表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/22

12* -新たな仲間-《ライバル》

「あーん!!トー様!!!!お待たせしましたわー!!!」


挿絵(By みてみん)



 今日一番の媚びに媚びた声で突如現れた女性。

髪はおさげをしていて見た目はかなり幼く見えるが、どこか余裕のある印象だ。

…………だが見た目だけで言えばまな板娘(ミュール)よりも小さくも見える、なんとも不思議な少女だ。




「いや、丁度読みたい本があったからね。大丈夫だよ…………()()

あと、その………………トー様じゃなくて()()()で大丈夫なんだけど…………。」


「トー様…………なんてお優しい…………!わたくし、増々好きになってしまいますわーっ!!」



 アオイの目の前でどこか見たことのあるやり取りを見せつける二人。

どうやらアオイが誘ったこの男の名前は()()

そして再び嵐を巻き起こしそうな女の子の名前は()()というようだ。



「それで今日はどのモンスターをぶっ潰しましょうかっ!?

わたくし、何処へでも付いて行きますわーっ!」



…………その見た目の可憐さとは裏腹に、サラッと物騒なことを口走るユリ。

そしてそれに苦笑しながらもトーは提案するように口を開く。



「…………それなんだけど、実はこちらの方と一緒に前から言ってた()()()()を受けようと思うんだ。」


 

 そう言うとトーがアオイを紹介するかの様に視線を移す。

すると一瞬ユリの表情が曇ったかと思いきや、再び先程のような笑顔でアオイに話しかけるのであった。



「…………初めまして!わたくし、()()=()()()()と申しますわ!

今日の依頼、一緒に頑張りましょうねっ!!」


「うん、こちらこそよろしく…………。」



 なんだ、意外と話が分かりやすそうな奴じゃないか。

とユリの差し出す手に安心して握手を返すアオイであったが…………。


その手を握り返した瞬間、アオイの手に凄まじい激痛が襲う!!



「いだっだだだだだだっ!?えっ!?ちょっと!?!?」



 まさかの痛みに驚くアオイ。そう、この激痛の痛みの正体は…………。




「あらぁ?ごめんなさぁい!久しぶりに殺り甲斐(やりがい)のあるクエストだったもので、手に力が入ってしまいましたわー!」




 そう、ユリによる馬鹿力であった。

どうやら先程までのぶりっ子は演技で、こちらの方が彼女の本性であると見て間違いないだろう。

ちなみに彼女の握力はリンゴを一握りでジュースに出来るぐらいある、正にぶりっ子ゴリラだ。


(へっ……乳だけデカい女がわたくしのトー様に手を出そうなんて100億年早いですわッ!!)



 憧れのトー様に近づく女は全員私が始末する!と言わんばかりに殺意マシマシでアオイを睨みつけるユリ。

そして先程までの黄色い声援も静まり返っている…………。

…………どうやら彼女がトーの露払いをこの様に行っているのは常習的なのであろう。




(………なんだこの女っ!?やべー奴だな…………。)



 しかしそんな状況は一切分からないアオイ。

まさか自分が嫉妬の念に襲われているとは思いもしないのであろう。




「いやぁ!今度こそ仲良く出来そうで良かったよ!…………何故か皆、ボク達とパーティを組むのを拒んでて困ってたんだ…………。

…………じゃあボクは受付に依頼を出してくるね!」



 そしてもう一人現状が理解出来てない男が1人、そそくさと受付へ向かうのであった。

もう説明しなくても分かるだろうが、パーティを組めないのは冒険者としての力不足ではない。


ユリによるトーの独占欲のせいである。

周りの冒険者もそれが分かっているので彼らとは中々パーティを組みたがらないのだ。


……そして暫くの間、沈黙が続きアオイが言葉を漏らす。



「…………あっ、そういえば私も薬草の依頼。受付に確認しに行こうかなー…………?」



 二人きりになったことでたまらずその場を離れようとするアオイ。

急いで駆け出すがしかし、アオイは何かに躓き足を滑らせて豪快にその場で転倒してしまう!



「いったぁ…………!?………なんで…………?」



 不可解な転倒に辺りを見渡すアオイ。

そしてその様子を邪悪な笑みで見つめるユリ。



「あらぁ…………随分とまぁはしたないことですわね。おっほほーっ!!」



 瞬間、理解する。



(このクソガキ……!!私に足をかけやがったなっ!?!?)



 どうやらようやくアオイはこの目の前の女が自分とは別ベクトルでの屑ということを認識した。

ナナに命令して今すぐこの女を消し去りたい気持ちに駆られるが、場所が場所だ。

一旦落ち着きを取り戻し立ち上がるアオイ。



その一悶着の後、トーが笑みを浮かべながらこの場へ駆け戻ってくる。



「お待たせー!依頼を受けて来たよ。後アオイさんの報酬も……ってどうしたの?」


「「なんでもない」ですわっ!」



 水面下で繰り広げられる攻防にバチバチと火花を散らす二人であったが当の原因であるトーは、

仲良さそうでよかったよかった!と言わんばかりに笑みを浮かべている。



「よし、じゃあ早速!ホブゴブリンの発見報告があった()()()()()()()()()()へ向かおうか!!」




ーーーーーーかくして奇妙な関係のパーティを結成するアオイ。

果たしてアオイはどうなってしまうのか……。

Tips!!


イジメ、よくない。

これでも100万分の1ぐらいに収めました。



ーーーーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ