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外伝 . アオイの日常-1

ーーーーーーこれはアオイがまだ、新たな仲間と出会う()()()の出来事である…………。




ーーーーーー


ーーー





 朝、いつもの様に起床する私アオイ。

ただいつもと違うのはこの自分自身に付いている豊満な胸とファンタジー世界なベッドだ。

…………あれから何度も鏡を見て落胆しては泣いた、めっちゃ泣いた。

だって急に刺された挙句に女の子にされて異世界送りだよ??


私が前世で一体何をしたのだろうか、そんな文句を抱えながらも見たくもない鏡と向き合い髪をセットする。




挿絵(By みてみん)



 馬鹿でかい胸もそうだけど、この無駄に長い髪の毛もハッキリ言って邪魔だ。

朝起きると必ずと言っていい程暴れており、毛並みはまるでゴールデンレトリーバーだ。もふもふ。

なので適当に水をシュッシュしてリボンで結ぶ。

…………中途半端に切ると髪がまとめられなくなりそうだから切るのは今度にしてあげる、良かったねマイヘアー。




 さて、身だしなみも一応整ったしお出かけだ。

どこへ出かけるかって?…………あんまり乗り気ではないが、服。しかも女性下着。

服は正直着れればなんでも良いと思ってるけど、下着は替えが無いので自分にあったサイズを買いに行かなければならない。

…………元男の私が行くのは躊躇する、だけどそれ以上に替えが無いのはとても気持ち悪い。


そんなことで取り合えず宿屋の受付に向かう。




 少し歩くとそこには宿屋の主、キクさんが居た。

いつも気怠そうにしているが怒ると怖いのでここは下手に出よう。

まずはおはようの挨拶、おはよう。おはよう。


そしてキクさんにこの辺りに女性用の服屋がないか確認する。

一瞬不機嫌そうな顔をするがこれはもういつものことだ、こっちも面倒だからスルー。


…………どうやらドルチェという店があるらしい、乗り気ではないが私は急いでそこへ向かうことにする。

キクさんありがとう。





 さて、今日初めての冒険だ。とドキドキしながら現場へと向かう。

ちなみにナナは置いてきた、ハッキリ言って今回の冒険に付いてこれそうにないからね。

………まぁ本当のこと言うと、やっぱり少し恥ずかしいからね。


だからナナが苦手だって言ってたチューチュー虫を枕元にプレゼントしてあげた。

そしたら泡吹いてまた寝ちゃった、うーん……人が慌てる姿ってどうしてこう面白……じゃなかった。

慣れない土地で疲れてるだろうからね、私なりの優しさだよこれは。




 そんなことを考えながら歩いていると例の店、ドルチェに到着。

…………むむむ、外装が明らかに他とは違う意識高い系で足が急に鉛のように重くなった。

しかしここまで来て帰るのは何だか癪だ。思い切って人生初の女性専門店へ入店。




 いらっしゃいませー!と滅茶苦茶美人なお姉さんに開幕スマイルをプレゼントされる。

辺りを見回すと皆、容姿抜群な人ばかり。

美形がこうも揃ってると緊張して落ち着かない…………心が折れそうだ、つらい。



こういう小綺麗なお店って何で皆、美男美女ばかりなのだろうか?

やっぱりそう言う採用条件とかもあったりするのかな?




 何にせよ早く帰りたいからとりあえず下着コーナーへ向かう。

……何やら罪悪感はあるが、今の私は女だ。文句は女神に言ってちょうだいね。

それに男が入ったらダメなんてことないしね、たまに女の彼氏らしき人も居るし。


そう自分に言い聞かせて、いざ、尋常に。




 しかし突入したはいいもの、何を買えばいいのか全く分からない。

そしてウロウロと挙動不審な態度を取ってると店員さんが声をかけてくれた、しかも笑顔で。


神、神がここに居た。恐怖と不安から解放され泣きそうになる。女神の座はこの店員さんに変えるべきだ。



 その神からどのようなデザインが良いか提案されるが初めてなのでよく分からないと伝える。

すると大変驚いた様子で胸元へ視線を移されるがこの程度の不敬は許そう、ただし平民へ格下げするけどね。


そして大体のサイズを聞かれるがそんなもの当然分からない、なので試着室へ連れ込まれてしまう。こわい。




 そこで追剥ぎにでも遭うのかな、と思ったけど洋服の上からメジャーのようなものでぐるっと縛られる。

服の上から測っても大丈夫なんですね、と訊ねるとトップとアンダーサイズの位置が分かりやすいとのこと。

…………どうやらこのトップとアンダーの差で下着のサイズを決めるらしい。

よく聞くAカップ、Bカップで簡単に決まるんだろうなと考えてたけど下着選びも大変だなぁと痛感する。



凄く為になる話だったけど、何だろうこの気持ち。女になることを前向きに検討している自分が急に恥ずかしくなってきた。





ーーーーーー


ーーー



 

 その後もストラップの調整や付け方なども丁寧に教えてくれた店員さんに感謝しつつ私は店を後にした。

ちなみにお揃いの上下下着を用意されていたのでとりあえず両方買った。買わなきゃ流石に気まずい。

大したことはしてないんだけど、今日一日ドッと疲れた。


そしてもう何もする気力がないので部屋でゴロゴロすることを決めた私。

早速自分の部屋(聖域)へ戻り心を回復する、モリモリ回復。



 そのままベッドでゴロゴロ、横になっていた所ドルチェで買った紙袋が目に止まる。

…………自分でちゃんと付けれるか不安になった私は徐に服を脱いで下着を着用しようとする。



店員の説明によれば金具を前で留める、()()()()()()()なるものだがこれがなかなかカチりといかない。

今日の疲れもありイライラしながら金具を無理やり引っ張る私。

そこでようやくカチり、と音がする。やった、成功した!!と思った矢先…………。


 





ーーーーーーーーーーグサッッッッッ!!!!!!!







 瞬間、激痛走る。

無理な付け方をしてしまい、どうやら前の金具が外れて私の豊満な胸に突き刺さる。

しかも勢い良く、グサりと。滅茶苦茶痛いし血も出てる。

泣く、大泣き。再びキクさんから怒られる…………。




ーーーーその後私はキクさんに泣きながらドルチェへ同伴してもらいワイヤーがない簡単な下着を購入した…………。

キクさん、ありがとう。貴女が神です。



挿絵(By みてみん)

Tips!


やはり時代はワイヤレス。



ーーーーー

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