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23/44

【後書き必見】一部変更があったので、新たに投稿し直しました。謹んでお詫び申し上げます。



 ──理数科教室。


「山市……! 遅刻してなくて一安心だ……」


 登校してきた二宮は俺の顔を見るなり、安堵の表情を浮かべる。そんなに信用無いんだ俺。


 二宮は担いでいるバッグを下ろして、俺の隣の席に座る。


「それよりもお前の姉貴だ。なんか先生明らかに変だったんだよ」


 危うく先生が間違いを犯すところだった。


「……やはりそうか。昨日、同窓会に行ってきたらしいんだが、帰ってきてから様子がおかしかった」

「……様子がおかしい?」

「ああ。昨日オレはいつも通り、リビングでエロゲやっていたんだが、姉貴にイヤホンをしろと軽く注意された」

「もうおかしいぞ」

「いつもならもっとひどく怒るはずなんだ──不自然だとは思わないか?」

「お前の日常生活がな」


 むしろそれ以外は自然そのものだけどな。


「姉貴に何があったのかは一旦置いておこう。それよりも今日の昼休みだ」

「……確かに。そっちの方が重要だ」


 イマイチ緊迫感がないが、普通に旧部は廃部寸前だ。

 今日で今後の運命が決まると言っても過言ではない。


「オレの手持ちの1000ポイントで旧校舎の大講義室を借りることができた。別にわざわざポイントを使うまでもなかったんだが、念には念を入れておいたというわけだ」

「サンキュー」

「ただ──やはりあの問題は解決できなかった」

「やっぱそうか……」




 ◇




 ──旧校舎の旧放送室にて。


「肝心の放送設備を大講義室に運び出すことができないんだ」

「そりゃそーなるよな……」


 目の前の古ぼけた放送機材を前に俺たちはなす術がない。

 俺も二宮も放送部員ではあるが、放送機材の扱いなんてそもそも教えられていない。


「まあしゃーねーよ。さすがに準備時間が足りなすぎた」

「先輩たちに聞く時間もなかったものだからな」


 あの遊んでしかいなかったOB共が理解しているとは到底思えないが。


「いつか、本職の放送部員を引っ張ってくるっつーのもありかもな」

「ほう? 新部からヘッドハンティングというわけだな! 面白そうじゃないか!」


 新部と旧部は断交状態なので、望みはかなり薄いが。


「じゃ、結局今日の放送はどういう形にするよ?」

「そうだな……大講義室で公開生放送ではなく公開収録という形にしようと思う。とりあえずマイク二つだけ用意した」


 二宮がバックから、USB式のマイクを取り出す。


「おっけ。じゃあ俺のノートパソコン使えば録音は問題なさそうだ。先生から利用許可もらったことにしとけばいいしな」


 本来、柊木学園では休み時間にスマホなどの電子機器の使用は原則、認められていない。

 だが、柊木生アプリの利用は認められているので、スマホを触っていても怒られることはまずない。そのあたりの境界はかなり緩い感じになっている。


「では、収録が終わり次第、至急ここに戻ってきて、その音源を放送で流せばいいだろう」

「収録なんてどうせ10分少々で終わるだろうし、問題ねーな」

「音源を流すくらいの操作ならオレでも可能だ。以前、昼休みにJ-POPを流した経験がある」

「校内放送でエロゲソング流すなよな……まあいいわ。じゃー準備は出来てんだな」



 ──放送室の戸締りをきっちりとして、新校舎への廊下を歩く。


「ポイントを恵んでもらえるように、ちょっとした仕掛けも準備しておいたぞ。楽しみにしておくがいい」


 何やら二宮には策があるらしい。


「そいつは楽しみだな──って、なんか大講義室の方が騒がしくね?」


 T字に分かれた廊下の右の方から、がやがやした声が反響して聞こえてくる。

 そちらには大講義室ぐらいしかないはず。


 旧校舎には3年しかいないので、そもそもそんな人だかりができることもないと思うが……。


「色々と放送のセッティングがしてあるからな。もしかしたらもう席を確保している妹もいるかもしれん」

「いや授業どうすんだよ」


 ここは名門進学校のはずなんだが……。

 頭いい奴ほど、頭おかしくなってんだな……。


「ここでオレたちが顔を出すのは少々もったいないと思う。せっかく昼休みに会う訳だからな」

「まあそれもそーか」


 俺たちは、T字の廊下を新校舎の方へ続く左に曲がる。


「つーか、意外にリスナーは放送を楽しみにしてんだな……」

「特に3年は、部活も引退して受験まっしぐらだからな。単調な受験勉強の日々にちょっとした刺激を求めているのかもしれん」

「こっちは全然ちょっとした刺激じゃねーんだよなあ……」


 危うく不登校になるレベルだよ?

 というかそんなのやすやすと越えるレベルだよ?


「……まあいっか! もう夏だしな!」

「その理由で済ませる山市が一番すごいと思うのはオレだけか?」


 こいつが人を褒めるとは珍しい。


「じゃあ──夏休み前にもうひと盛り上がりしよーぜ!!」

「望むところだ!!」



*********************

ユーザ名:cube@so cube!!!


柊木学園高等部の1学期最終登校日の明日の昼休み、

旧校舎の大講義室を貸し切って、so cube!!!公開生放送!


【代表リクからのコメント】

この愛を全妹に捧ぐ。


【参謀ソラからのコメント】

チェックメイト。


513いいね 232リツイート 22のコメント

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CN:干からびたナマケモノ


電撃デビューを果たした第一回放送

そして伝説的な第二回放送と、教室の片隅で弁当を突きながら

爆笑するのを堪えながら聴いてました!

(クラスメイトは何人か吹き出してましたがw)

三回目の告知を見て今からもうワクワクしてます!

PS.私は姉萌え派です

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CN:パック


リスナーがやられるか、放送者がやられるかの2択笑

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CN:Nobu

やべー!

早く昼休みになってほしい!

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CN:Hazuki@so cube

とりあえず4限に保健室行く振りして大講義室の席確保しておく

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CN:tomato


cubeのソラとかいう、

放送で自身の性癖全開のえぐい発言を平気でやってのける真正の変態に会ってみたい。

どうやったら、そんな鋼のメンタルが手に入るんだろう?

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CN:のーねーむ


リストバンド買えた!

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CN:サイダーライダー


今朝、ソラをバスで見かけたんだけど、周りの人にめっちゃ距離置かれてるのに一切動じずに堂々としているのを見て、本物のやばい奴って自分のやばさに無自覚なんだなって改めて思った。

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CN:あの日聞いた方法の意味をまだ僕達は知らない


クラスでのマドンナキャラを奪ったソラは絶対に許さん。

でも、生でリク君に会えるならまあ許す。

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『申し訳ない。ちょっとした変更があったので、その部分に変更を加えさせてもらった』


「本当にごめんなさい」


『放送室から戻るシーンで変更があった』


「後書きで言っても意味ないけど」


『それについては問題ない」


「?」


『スマホでこれを読んでいる人は、今この瞬間、異変に気付いて度肝を抜かれたかもしれないが、PCでは絶対に分からない自信がある』


「俺はスマホを持ってないからPC派なんだが……一体何の話をしてる?」


『まあそれは置いといて、前話の字数もとんでもないことになっていたので、変更を加えた部分を前話から消して、こっちに付け加えさせてもらった』


「一体何の話だったんだ……? とりあえず、面倒を掛けて本当にごめんなさい」


『さて、次回はいよいよ第3回放送だ! 今までの助走が長かった分、期待していてくれ!』


「よろしくな!」

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― 新着の感想 ―
[一言] リビングでエロゲ ☜従兄弟が、家に帰ってきたらplayしててビビったことあったなぁ~(遠い目)
[一言] どこ… 僕の肝臓どこ……ここ?
[一言] さすがに後書きが本編になるのは草wwwwwwwww
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