5日経ったら、日間PVが0から10000近くになってたんだけど、何があったの?
「ふう、すっきりした」
「少々やり過ぎだった気もするんだが……」
OBたちの謝罪で放送を終えた俺たちは、まだ時間もあるのでそのまま放送室で今後について語ることにした。
「まあこれがきっかけで俺に対する誤解も少しはましになるだろ。俺の見る目も変わるはずだ」
あのアカウントでつぶやいていたのが本人じゃなかった、ということをはっきり放送にのせることができた。
これで自分の名誉が少しは回復してくれると信じたい。
「今朝のような腫れ物扱いは二度とごめんだぞ……」
「ふむ、確かにお前の見る目は今回の放送を境に変わっただろうな」
二宮がスマホの画面をスクロールしながら言う。
「もう反応あんのかよ……つーかお前! 余計なことつぶやいてねーよな!?」
二宮に掴みかかる。
「そう案ずるな。オレは何もつぶやいていない」
やれやれ、と首を振って見せる二宮。
……少々疑心暗鬼になっているのかもしれないな。
「そ、そうか。ごめんな、なんか急に疑って」
二宮の襟元をきつく掴んでいた手を離す。すると、
「気にするな。誰だって間違いを犯す生き物だろう?」
俺の間違いを咎めることなく、朗らかに優しく笑いかけてくれる二宮。
そうか、そうだよな。
俺……どうかしてたな……。
「じゃあオレはそろそろ教室に戻──」
「──てめえがそんな優しいわけねーよなあ!!」
逃げるように立ち去ろうとする二宮の腕をがっちりと拘束する。
「てめえさっき……“オレは”っつったよな?」
「山市……腕を離してくれないか」
「じゃあお前がさっきまで見てた画面を見せてくれ」
「……」
すると、観念したように二宮は渋々と画面を俺に見せる。
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本日のso cube!!!まとめ
リク代表(イケメンの方)
・妹にしたいランキングを画策中
・穢れなき天使と柊木の女王様、黙っていれば……の筆頭や旧部に宿る妖精などの分類作業完了
・妹じゃないという理由でお誘いを断る
ソラ参謀(イケメンじゃない方)
・手馴れたアンチ対応
・匿名でフラれる
・学校内で孤立
・闇堕ち
・cube OBを完全掌握
・OB全員を秒で土下座させる
107いいね 24リツイート 9のコメント
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「……これは?」
「おおお落ち着け!? これはオレがつぶやいたんじゃない! よく見ろ!」
「ユーザ名:リク師匠の一番弟子……?」
そういえばそんな名前でメッセージを送ってきた奴がいたような……。
しかも放送終了してからまだ10分も経ってないんだがこの反響って……。
「また放送を聞いていない奴がこれを見たら、俺のことをどう思うんだろうなあ? なあ、師匠さんよ?」
「待ってくれ! これは別にオレが指示したわけじゃない! 無関係だ!」
慌てて弁明の言葉を並べ立てる二宮。
「弟子の不始末は師匠の不始末っていうよなあ……? そういえば、お前さっき弟子を公認してなかったけなあ……?」
「き、気のせいだろう!? それに内容も別に事実でないとは言い切れない……ってその拳は一体──」
「また俺の不名誉が拡散されてんじゃねえか!!」
二宮先生仕込みの鉄拳を腹部に叩き込んだ。
『妹たちよ! たくさんの応援に感謝だ!』
「……正直続くとは露ほども思ってなかったんだけどな、もう作者は別の作品書いてるぐらいだぜ?」
『きっと妹たちへの真摯な愛が伝わったんだろう』
「だって俺らの放送のアクセス解析見てみ? ほら」
『……』
「な?」
『……本当に何があったのだろう」
◇
「やべーぞ二宮!」
『どうした!?』
「さっきまで改稿前のものを間違えて投稿してしまっていた!」
『なんだと!?』
「慌てて消去して投稿し直したけど、消去したせいでいいねが消えてしまった!」
『なんだと!?』
「よく考えたら編集するだけでよかったんだけど、慌ててやらかしちまった!」
『確かにそうだな!』
「……ほんとにごめん」
『しかし誰でも間違いは犯すものだ。気にするな』
「じゃあ……もう一回いいねもらっていいか?」
『気にしろ』
※ほんとにごめんなさい……。




