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キスリング家の美人姉妹

新連載になります。

よろしくお願いします。

「なんですって? もう一度言って貰えます?」


「だからね、君と君の妹、どっちも美人で、どっちも好きになって、どっちも選べなくて、どっちも捨て難い。そこで思ったんだ。だったら二人とも僕のお嫁さんにすればいいって。姉妹丼ってヤツだよ。いい考えだろう?」


「クソがぁ!」


 アイシャは目の前に居る婚約者、いや、もうすぐ元婚約者になる男の股間を蹴り上げた。男は声もなくその場に踞って失神した。


 男に一瞥もくれず、お茶していたガゼボから屋敷に戻ったアイシャを出迎えたのは、苦い顔をした妹のトリシャだった。


「トリシャ、まさかそっちも?」


「ということはお姉様も?」


「えぇ、言うに事欠いて姉妹丼とか抜かしやがるから、股間を蹴り上げてやったわ」


「私の方はお母様と私とで親娘丼とか抜かしやがるから、頬を張り飛ばしてやりましたわ」


 そう言ってトリシャは手を振り回した。そして、


「「 はぁ~... 」」


 二人揃って深いため息を吐いたのだった。



◇◇◇



 ロングランド王国のキスリング伯爵家には、美人で有名な姉妹が居る。


 姉のアイシャは、燃えるような赤い髪に気が強そうな吊り上がった碧い瞳、鼻筋が整った高い鼻に厚目の唇、見事に引き締まったボンキュッボンのスタイルで『傾国の美女』と呼ばれている。


 対して妹のトリシャは、フワッとしたピンクブロンドの髪に少し垂れ下がった碧い瞳、高くはないが形の良い鼻に小さ目の唇、やや幼児体型気味でポチャッとしたスタイル。儚げな雰囲気と相まって『妖精姫』と呼ばれている。


 1歳違いで全くタイプの違う二人だが、とにかく子供の頃からモテ捲った。姉のアイシャが15歳になってデビュタントを迎える頃になると、そのモテ振りに益々拍車が掛かった。


 妹のトリシャがデビュタントを迎える頃になると、二人揃って婚約者を選ぶことになった。そしてこの最初の婚約が、彼女達の男運の悪さの始まりであった。


 姉の婚約者は妹に、妹の婚約者は姉に、それぞれ懸想してしまいすぐに破談となった。そこからは判で押したように先程のクズのような男ばかりが婚約者となり、都度破談を繰り返している内に、二人はすっかり男嫌いになってしまった。


 社交界では『婚約破棄姉妹』などと不名誉なレッテルを貼られた二人は、もう開き直ることにした。このまま結婚せず領地に引きこもり、二人で何か小さなお店でも開いて、スローライフを楽しもう。そんな夢を抱くようになっていた。それが若干、姉が17、妹が16になった時である。


 ただその夢を叶えるためには家の後継ぎが必要になる。養子を取るのも一つの手だが、二人の両親はまだ若い。若くして結婚し、すぐにアイシャを授かったので、まだ30代そこそこである。


 オマケに母親はとても二人の子を持つ親だとは思えないくらい若い。一緒に居ると良く三姉妹に間違われる程だ。しかもこの二人の母親だけあって容姿端麗。二人も子を産んだにも関わらず、スタイルは若い時のまま。


 となれば、後継ぎの弟を産んでもらうよう頑張って貰った方が良い。という訳で今宵も、


「お父様、まだ残っていましてよ?」


「しっかり生き血も飲んで下さいね?」


「い、いや二人共、気持ちは痛い程良く分かるけど、毎晩スッポン鍋っていうのはどうだろ?」


「「 いいから食べなさい! 」」


「Yes,Ma'am!」


「それとお父様、新しい婚約者を早急に選んで下さいね?」


「今度はもう少し長続きしそうな人を選んで下さいね?」


「Yes,Ma'am!」


 結婚を夢見ていない男嫌いな二人が、新たな婚約を早く結びたがるのは訳がある。とある理由から二人は「婚約している状態」であることが必要なのである。


 その理由とは...


作者のモチベーション向上に繋がりますので、出来ましたらブクマ登録及びポイントの応援の方をよろしくお願い致します。


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