第一幕:未知なる舞台へ! 第6話
-新人-
僕:元帰宅部。歌、ダンス、芝居、3拍子そろわない珍しい新人。しかも、入部したのが2年生の時だったため、振り返るとかなり浮いた存在だった。
-中人(2年生)-
松田さん:初対面の時に「俺、次の舞台で主役とっちゃうよ!」と言ってのけた自信家。実際は繊細で神経質な一面もある。一方でできの悪い後輩を気にかけ、面倒見の良い一面もあった。
夕実さん:松田さんの彼女。小柄でかわいらしく、親切な先輩。
歌い終えた松田さんは不敵に言ってのけたのだ。
「俺、次の舞台で主役とっちゃうよ!」
僕はビックリ仰天した。
新人で同期となるこの人は、なんて自信に満ち溢れているのだろう、それに引き替え…と面食らうのと同時に、 おそろしくなって僕はその場からそそくさと逃げ出してしまったのである。こんな連中と一緒にできるわけがない、住む世界が違うんだ…それが僕が思った第一印象だった。
6
ここで、なぜミュージカルだったのか? ということを説明しようと思う。僕は自分の脚本を舞台にできたらどんなに素敵だろうと思っていた。
うちの家族は芝居やミュージカルが好きだった。
母親は演劇などもたしなんだり子供劇団を立ち上げていた時もあったし、父親はミュージカル作品をツタヤで借りてよく見ていた。
父親は宝塚も好きというぐらいだから、相当ミュージカルが好きなのかもしれない。インドのミュージカルも大好きで、ムトゥ-踊るマハラジャ-を繰り返し見ては、踊りだすほどだった。
そんな家族の影響もあり、まだ小さいころ、アニーという作品を家族で見たのだが、その作品に感動して心にずっと残っていたのだ。
そんなわけで文章を書くのが好きな僕は、アニーをホラー風にオマージュした脚本を書いていた。ホラーと言っても、他愛もないもので、お化け的なものと女の子が出てくる作品である。今思えば、大学生がやるにはずいぶん子供っぽかったが、僕はこの作品を携えていた。そして、二年目に再びミュージカル研究会をたずねたのである。もちろん、松田さんに遭遇しないことを祈って…。
ミュージカル研究会の頃/第一幕全8話・先行配信→https://rekishi-tanbo.com/
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遥ナルの児童文学→https://note.com/haruka_naru/n/n3fb3e81980d9
-サイレント・ネオ-boy meets girl-全話一気読み→https://note.com/haruka_naru/n/n487779187ab7
サイレント・ネオコラボ作品(朗読劇)→https://note.com/haruka_naru/n/nd2d525b6cc39