<胃ろうの入所者>
私のいた施設には「胃ろう」という胃に直接栄養を送り込む方法で栄養を摂取する人が数人いました。その人たちは意識がなく、寝たきりというよりは植物状態と言っていいような状況です。
排泄介助、入浴介助も接続口が服やタオルに引っかからないように気を付けるだけなのですが、食事介助はお腹にある接続口と点滴の袋みたいな栄養剤を管でつなげ、栄養剤が一気に流れないようにしたり接続口の手入れをしたりといったことに気を遣わなければなりませんでした。
しかし、入所者個人で見ればどの入所者よりも手間がかからない入所者です。足が悪いのに立ち歩いてケガをしたりすることもありませんし、食事介助も栄養剤を支柱に下げて放っておくだけです。では、なぜここに書いたのかということなのですが
いくら一人単体では最も楽だとしても、十数人いる中で一人だけ特別な配慮が必要となるとそれは最も楽ではなくなるのです。
私のいた施設ではユニット、入所者十数人に職員数人を班としたグループが三つあったのですが、一つのユニットに一人から二人は胃ろうの入所者がいました。せめて一つのユニットにまとめるなどしてくれれば、もう少し楽になると思ったものでした。
身勝手なことを言いますが、いっそのこと様々な人を一つの介護施設にごちゃまぜにするのではなく、
寝たきりの胃ろうの人を専門で受け入れる施設
認知症がなく手足が不自由なだけの人を専門で受け入れる施設
認知症で転倒する可能性があるにもかかわらず徘徊する人を専門で受け入れる施設
など細かくしていけば、ケガや事故の可能性がある認知症の人を受け入れる施設に集中的に人員を投入することができますし、介護全体の効率化も進むと思います。
というよりも自分で動かない、事故の起きる可能性がない人の介護度が一番重い「5」で認知症で徘徊しまくるので常に付きっきりでなければいけないような人が「4」や「3」などということがおかしいのです。
バカな役人から言わせれば
「自分たちで歩く人のほうが移動もさせやすくて楽でしょ」
となるのでしょうが、現場や現実を知らないボンボンなんだなと思います。