第六話
二階層は薄暗い洞窟のようなつくりだった。今までやってきたゲームのダンジョンは大体こんな感じだったから不思議と親近感を覚えるね。
まるで迷路のようになってるから、マップなしでは迷いそうになるけど。
先ほどから出くわすのはジャイアントアントっていう名前通り大きな蟻。自分よりも大きいサイズのそれはやっぱり不気味で、短剣で切りつけると地味に硬い。二階層はまるでアリの巣のような造りだね。いや、本当にアリの巣なのかもしれない。
通路がいかるいのはのは光るコケや石が周囲を照らしているだけで、人口のものは何もない。
[ジャイアントアント]
LV3 HP300
スキル 暗視
段々と短剣で戦うのが面倒になってきていて、現在使っているのは氷の魔剣である。
私のレベルが上がる度剣の長さは伸びていって、威力も上がり出せる量も増えた。それと、長さや威力のコントロールもできるようになった。
近くのアリは魔剣で切りつけ、少し離れたところにいたアリは新しく覚えた魔法のアイスカッターで処理をする。我ながらうまく立ち回っているなと思う。
暇な時に確認してわかった事なんだけど、スキルのマップは自分が階層に到達することでアンロックされるみたい。完全にわかるわけではないんだね。マップが分かっても下の階層への階段を見つかるまでその場所がマップに表示されないあたり、下の階層への階段は下の階層の一部と判断するのがよさそうだ。
そして現在。私は通路の突き当り、マップで見る最深部の広い空間へたどり着いていた。
目の前には今までのアリよりもよりもはるかに大きいアリが立ちふさがる。
[ジャイアントクイーンアント]:階層主
LV5 HP540
スキル 暗視
跳躍
うん。女王アリですよね。これ。
私よりも一つ上のレベルの相手の後ろに下へと続く階段があるから、恐らく倒さないと進めないのだろう。
突然仕掛けられた攻撃を避けてアイスカッターで牽制する。
ほぼ無傷でダメージもあまり入らない。が、それでも何度か打ちながら相手の死角へと入り込む。
ジャイアントアントでもそうだったけど、大きすぎるがゆえに体の向きを変えるのに時間がかかるみたいだ。その隙に私はいちばん後ろの左足を切り落とした。一気にバランスを崩したのを見計らってすべての脚を切り落とす。足を全て失って動けなくなったジャイアントクイーンアントの上に乗り、何度も切りつける。
しばらくして力尽きた女王アリは、光の粒子となって腕輪に吸い込まれていった。
何この達成感。
[レベルが上がりました]
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【リア】(ランク.E)
BP:0
所属:なし
種族:猫人族
LV:5 (次のレベルアップまで 60/5000)
力:350
耐久:150
体力:340
敏捷:500
魔力:820
器用:440
スキル
主導者…自分及び仲間のステータスが1.5倍になる。また、自身の経験値の増加量が1.5倍になる。
だだし、ソロの場合は発動しない。
魔剣召喚…自分の魔法属性の魔剣が召喚できる。ステータスに応じて性能も変化する。
コール…運営と連絡できる。また、緊急事態と判断したときのみシステムに関与する権限を持つ
無属性魔法…コマンドや念話、探知、マップなどの魔法が扱える。また、自分のステータスの割り振りを自由に変えることができる。
無属性スキルを自由に扱うことが可能となる。
魔法属性
氷属性、風属性
所持品
冒険者の腕輪
水魔法石×15
守護石のペンダント×2
ジャイアントクイーンアントの称号
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階層主を倒した余韻に浸りつつ、私は階段を降りて三階層へと足を進めた。
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三階層は森の中。そう表現するのが一番だと思う。
わかりずらい獣道を進みながら探索をする。
三階層ではゴブリンとホブゴブリンに遭遇した。
[ホブゴブリン]
LV4 HP360
スキル 魔力砲
魔力砲は、自分の魔力を収束させて打ち出すものだ。実際に見た。避けたから威力はわからないけど、後ろの木を砕いたからかなりのモノだと思う。
私が実践しても使えたから、無属性魔法なんだろうね。無属性魔法って何でもありなきがしてきたよ。
その後もゴブリン達を倒しながら先へ進むと、冒険者が倒れている。倒れてるんだよ。危ないでしょ。
慌てて駆け寄り声を掛ける。
「だ、大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」
反応なし。気絶してるだけみたいだけど、さすがにここは危ないしマップにあった泉に連れて行こうかな。
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寄ってくるゴブリンを倒しながら、冒険者が目覚めるのを待つ。危ないから。
いつのまにやらまたレベルが上がってる。
しばらく待ってようやく冒険者が唸り声をあげて目を覚ました。
「気が付きました?」
ぼんやりと見上げている状態の男に声をかける。
どうやら状況がつかめていないようだね。当たり前か。
「倒れていたのでここまで運びました。どこか痛いところなどございませんか?」
「っ!!そうだ!ホブゴブリンの群れに襲われて!!」
男はがばっと起き上がって周りを見渡す。
何もないことに安心したようで、男は私に話しかけた。
「ありがとう。ほんとうに助かった。」
「いえ、私は保護しただけで他に何もしていませんよ。」
「いや、でも死にかけたのは確かだ。なんてお礼したらいいか…」
「困った時はお互い様なので大丈夫ですよ」
「しかしよぉ…」
助けられた男は申し訳なさそうな顔をする。いや、でもさ、見返りもとめてやったわけじゃないし、何もいらないよね…。
いや、待てよ?スキルの主導者を試せるいい機会かもしれない。発動条件よくわからんから。
あるじゃん。頼めること。
「じゃあ、明日よければ一緒に潜りませんか?今日は私戻るので。」
「おう。そんなことでいいならいいぜ。俺も今日は戻るし一緒に帰らねぇか?」
男の提案に「いいですよ」と返して立ち上がり、私達はダンジョンを後にした。
読んでくださりありがとうございます。