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第十二話

掲示板【一階層で】タワロゴ ダンジョンにて【空飛ぶ集団】

____________________________


1:名無し

チュートリアル受けてた時になんか空を飛んでる三人組がいたんだけど、あれ何?プレイヤー?

空飛ぶのってスキル?魔法?


2:名無し

飛ぶのは【飛翔】ってスキルらしい。情報に上がってた。

多分プレイヤーだと思う。


3:名無し

俺も飛んでるの見た。

ダンジョンに入る時にも見かけたんだけど竜人族、エルフ、猫人族のパーティーだったよ。


4:名無し

全員が種族持ちとかレアパーティーすぎるでしょ…


5:名無し

竜人族って相当低い確率だよな…


6:名無し

あれか!?運営に体でも売ったか!?


7:名無し

そんなんで運営は動かない気がする。ただの強運の持ち主 (マジレス)


8:名無し

ダンジョンの前にいたの俺も見たけど猫ちゃんが可愛かった。

語尾がにゃーだしとにかくあざとい!!


9:名無し

俺もそれ見た。可愛かったよな。


10:名無し

まだ猫人族一人しか見かけてないんだけど…

その猫人族の子って黒い和服みたいなドレスみたいなやつ着てた?


11:名無し

着てた着てた!


12:名無し

え、俺その子に案内してもらったんだけど、にゃー付けてなかったような…?

案内代理人とか言ってたけどNPCじゃなかったの?


13:名無し

俺も案内してもらった


14:名無し

俺も


15:名無し

ダンジョン前にいたの見た。

それとなく会話聞いてたけど途中からにゃーになってたよ。


16:名無し

なるほど


17:名無し

周りにいた人達全員やられてた。あれは絶対魅了(チャーム)持ちだな。(確信)


18:名無し

まじかよ


19:名無し

まじだよ


20:名無し

俺も見てて尊死するかと思ったけど状態異常はなかったぞ。


21:名無し

スキルを使わず魅了するとか…やるな…


22:名無し

え、まって??竜人族とエルフと猫人族だよね??

私一階層でそのパーティー見かけたけど仲間同士で戦ってたような…


23:名無し

女だ


24:名無し

女がいる


25:名無し

女だ


26:名無し

女もいて悪い!?


27:名無し

レアなだけだ。気にするな。


28:名無し


29:名無し

それは置いといて、仲間割れパーティーは俺も見かけたよ。

竜人族とエルフが猫人族を攻撃してた


30:名無し

は!?なんだそれ。猫ちゃんいじめるとか許せん


31:名無し

まあ二人とも気絶させられてたけどな。


32:名無し

つ、つええ…


33:名無し

喧嘩なのか、なんなのか…わからん。


~~~


「なあ。」


学校帰りの最中。レインこと水島玲(みずじまれい)は一緒に歩いている親友に話しかけた。

言わずもがな、親友とはカインこと鮫島海星(さめじまかいせい)である。


「俺たちのことが掲示板の話題に上がってるぞ」

「まじ?」

「ああ。飛んでる集団だとか仲間割れしてただとか。」

「そうだな。」


普段はよく喋る海星なのだが、今日の彼の反応は薄い。

心配になった玲は問うた。


「元気ないな。なんかあったか?」

「あー、いや、そう言うわけじゃねぇんだけどよぉ…」


海星は少し下を向いて口ごもる。


「?」


しばらくして口を開いた。


「あいつって、NPCだと思うか?」

「あいつって言うのはリアのこと?」

「ああ」

「う~ん…」


玲は考えた。

話してみた感じ、喋り方もしぐさも自然で、人間のようだった。だが、ゲームの慣れ具合や他のNPCと顔見知りのような感じであったことからNPCなのだとしか思えない。

ゲームのCMでも「まるで本物のプレイヤーのよう」と謳っていたのだからNPCなのだろう。が、


「俺さ、どうしてもリアが本物の人間のように思えるんだ。他のNPCだって本物みたいに動いてたし話してたけどさ、でもなぜか違和感があるっていうか…」

「確かにNPCって思えないくらい自然だったよな」

「それにな、実は俺最初話したときに探りをいれたんだよ。VRMMOはいくつかやってるって。

でもあいつはそこには触れなくて、NPCだからなのかなって思ってたんだけど、あいつが言った『竜人族なんて10憶分の1の確率だよ?』っていうのが気になってさ。」


海星の言い分になるほどと思う。その時玲はキャラ作りをどうするか考えていて会話は聞いていなかったが、確かにそのセリフは妙だ。


「なんで種族の出現確率なんて知ってるのかって事か?」

「うん。どうしてもそこがひっかかってさ。それに状況を見て空気を和ませるように話したりだとか自分が失敗したときに落ち込む姿とか見てると余計に。お前もされただろ?」

「??」


唐突なフリに玲は何のことかわからなくて困惑する。


「ほら、お前が敬語キャラにしたがってた時。玲が切り出しやすいようにあいつも喋り方変えただろ?」

「あぁ、確かに。優しかったよな、リア。」


その時のことを思い出して心が温まる感覚を覚える。

玲はあの時の思いやりに気づいていた。いきなり敬語にするのがなんとなく恥ずかしくて、笑われるのが少し怖くて、どのタイミングで変えればいいのか迷っていた時にリアが先に変えたのだ。それに乗っかり敬語で話して結局笑われはしたものの、それでもリアのおかげか、笑われることに苦しさも居たたまれなさも感じなかった。

確かに感じたリアの優しさ…


「ま、後でまたそれとなく確認してみればいいんじゃね?今日も帰ってからやるだろ?」

「やるよ。リアに、今日も会えるといいな。」

「そう言えばそうだな。また明日も、なんて約束してなかったし昨日はチュートリアルをしたからであって本来あのレベルならもっと下層だろうし俺らなんか構う理由ないしな。まずは会うことからだ(笑)」


自嘲も含めて共感する。

その後は他愛もない話をしながら家へと帰る。


夕日から遠ざかる方へと歩く二人の心は、同じ方向に傾きかけていた。

読んでくださりありがとうございます。

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