第十一話
チュートリアルということで、レベルの低いものから慣れていく事になったんだけど…現実はそう甘くなくて、私のスキルがあるにしろ二人共Lv1。スライム相手でも苦戦を強いられた。
「ん~、、さきに適性試験からやってみるかにゃ!」
しびれを切らした私は、予定の変更を提案する。
実際に私も、適性試験を受けたことによってレベルが上がって戦いやすかったからね。それに魔剣もあったし。
二人同時にかかってくるように指示を出した。まずは剣で、次に魔法、最後に体術だ。
「う~ん、カインは剣と魔法を使うといいにゃ。剣を主体にして、自分のすきを魔法でカバーするといいにゃ。」
二人共真面目に私アドバイスを聞いてくれる。
今更だけど、にゃが抜けないのはわざとというよりも舌がなじんじゃったから。仕方ないよね。
「レインは魔法だけだにゃ。だけど他が劣っている分、魔法がずば抜けてるから範囲攻撃で逃げにくくしたり、相手の動きを読んで魔法を打つ場所をずらしてみるにゃ」
「わかった」
「わかりました。」
返事をした二人は逆方向に走り、少しでも私の行動を抑えるように動いた。
はたから見れば仲間打ちのように見えるんだろうけど、適性試験という名の戦闘訓練だよ。
次々に攻撃を仕掛ける二人に対し、私は体術のみで対抗する。もちろん手加減アリだけどね。
二人が徐々に私を追い詰めてくる。いい動きだね。だけどね、
「遅いにゃ!」
私は二人の頭に猫パンチを繰り出した。
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しばらくしてレインが目を覚まし、話して待っているとカインも遅れて目を覚ました。
「!!起きましたか?」
「気が付いたにゃ?」
からだを起こしたカインにレインと私は声を掛ける。
「ここでは死なにゃあとはいえ、ダウンはするから気を付けてほしいにゃ」
本当に困ったやつらだね。私も気絶させられたけどさ。
私がそんなことを思っているとレインがあきれたように指摘してきた。
「あなたが気絶させるほどの攻撃をするからでしょう。」
た、たしかに私が悪いけどさ、悪気はなかったんだよ。
でもなんでだろう、ごめんの三文字がなかなか言えない。
「にゃにゃ、にゃーはまじめに指導してただけにゃ!勝手にダウンするそっちが悪いのにゃ!」
そして反論してしまった。本当に申し訳ない…
「すごいパワーワードだな。おい。」
と、カインが純粋な感想を言う。ごもっともです。
「そうですね。」
レインがあきれたように笑う。すみません…。
ダメだね、やっぱり人間関係は難しいな。
「そんなことより先に進まねえか?」
私の気持ちを知ってか知らずか、カインは話題を変えた。
「おかげでなんかレベル4まで上がってるし、体の動かし方のコツもわかったからどうせならレベリング行こうぜ。」
「そうですね。まだスライムとゴブリンの倒し方しか教わっていませんし、賛成です。」
レインもそれに便乗する。
「仕方ないにゃぁ、じゃあ飛翔の連絡も兼ねて二階層への階段まで飛ぶとするかにゃ」
引きずっても仕方ないと思いなおして、私は立ち上がった。
それに続いて二人が立ち上がったのを確認すると、
「カインは竜の翼を、レインは妖精の羽を使うように意識して飛ぶにゃ!」
と言いのこして私は羽衣を使い飛び去った。
二人は慌てて言われた所に意識を集中させたのか、今までなかったものが二人の背中に現れて、急いで私の後をついてくる。
うん。竜の羽も妖精の羽もかっこいいね。
しばらく飛んで二階層への階段のところまでたどり着くと、突然急降下して地表に降り立った。カインもレインもそれに続く。
地面に立つとすぐ、二人の背中の羽は消えてしまった。
「さて、一気にレベリングするとするかにゃ」
それから私達は、一気に二階層、三階層を突破して、カインとレインのレベルも二つ上がったので解散する事になった。
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