プロローグ
『生きたいか?』
何が私の耳元で囁く。あぁ…そう言えば私死んだんだっけ…
私の名前は、雨宮詩穏。母が穏やかな子になるように名ずけた名前だ。ただ、今となっては意味の無い名前…いや前から意味など無い。
いつも、母に迷惑を掛けてしまっていたからな
少し昔話をする。
私は産まれてきた時から障害者だった。顔は醜く体は動かせない。誰かがいないと生活のできない私だった。
いつも母に言われていた。
「お前なんか生まれなければ」
そして、私はいつもその言葉に納得してしまっていた。
死因は恐らく体内に直接繋がっている栄養用チューブが、切れて漏れだしていたんだろう。母はそれに気づかず栄養パックを入れ替えていた。まわりの人はきっとそれだけの事では死なないと思っているのだろうが、私にとっては命綱なんだ。
それ以外の食事の方法がないんだ。口はただれて開かないし、顎の力すら存在してない。手なんか指先がくっついているようで動かない。
私の日課はいつも人間観察だった。
『生きたいか?』
再び聞こえる声。生きたいか?と聞かれても死んでいるから無理だろう。
それ以前に私はまず喋れない。あぁでも生きれるのなら生きたいな。
『ならば、お前に記憶を残したまま転生させてやろう』
は?何言ってんだこいつ。
あれか?最近流行りの異世界に行ってチート生活するやつか?
そんな物できるはずがない!あれはフィクションなんだぞ?ましてや、私なんかにできるはずが…
『できるんだな。それが』
なっなんだってー!?
こんな、前世で役に立たなかった奴だよ?ただのゴミだよ?無理無理無理
きっとこれは夢だ!走馬灯だ!そうそう、よしそんなことならさっさと寝よ
ガンッ
「痛っ!」
あれ?喋れる?もしかして…
おっおっ起き上がれる!?凄い!私が起き上がれる事できるんだ!!
えっ?じゃあ歩く事も走る事もできるの?凄い!これが皆のしていたことなんだ!…涙が出てきちゃった…あはは
『我の存在忘れてないか?』
「すっすみばぜん!」
…上手く喋れないな。まぁ初めて喋ったんだし仕方ないよね?
てか…誰この子?
目の前には女の子がいた。
それは、あまりに神々しく目も当てられないくらいだった。
てか目が焼けそう。
『我は神じゃ!今から貴様を異世界へ送り届けてやる!だから、何か要望があるか一応聞いておこうと思って、こうやって引き止めておるのじゃ』
わお。神様やっさしー!
要望…要望?要望…。無いな!健康的な体さえ手に入れれば!
『健康的な体じゃの?後はほれ髪色とかどうするのじゃ?』
髪か~ロングの黒がいいなー!憧れだったんだー!髪すら持っていなかったし!
どうせ持つなら、長い方がいいよね!
『他にはないかの?なかったらもう転生させてしまうが…』
…はっ!生き物に好かれたい!!
前から生き物に触れ合ってみたかったんだよねー!
『動物に愛されるようにしとくわ。他には無いのかの?チート能力とか…』
いらないです!あっでも生き物を護れる能力と治療する能力は欲しい!
『じゃあ、シールド魔法と治癒魔法をMAXにしとくわい。これでいいか?』
はい!ありがとうございます!
これで心置き無く転生できます!
本当本当にありがとうございます!
ありがとう神様!
見て下さりありがとうございますヽ(*´∀`)ノ
どうぞご贔屓に…(๑ ิټ ิ)