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森の調査と六天

 北東の森は相変わらず薄暗くて不気味だ。

 でも私は田舎育ちだからこの森、独特の雰囲気は嫌いじゃない。


「調査って何すればいいんだろ」


 私が立ち止まってそう言うと、フィリアはニコニコしながら私を見つめてきた。


「そうですね…詳しい情報もありませんし…とりあえず見て回るしかないですね」


「そっかー、じゃあいつもと違う方に行ってみよっか、何か見つかるかもしれないし」


「そうですね」


 それからしばらく歩くと、突然空気が変わった…田舎育ちで普段から森とか山を駆け回っていた私レベルじゃないと分からない程度だけど。

 明らかに何かある…洞窟か…それとも他の何か。


 私は警戒をし、辺りを見回しながら歩く…。

 すると、遺跡らしき石造りの建物に辿り着いた。


「遺跡かぁ、私初めて見たよ」


「ミナ様は遺跡は初めてなのですね、わたくしは以前に観光名所になった遺跡を見た事がありますが…こういった未開の遺跡を見たのはわたくしも初めてです」


「へぇー、観光名所になってる遺跡なんかあるんだねぇ」


 話しながら遺跡の中に入ると、そこは大きな空間が広がっていて、壁に絵がたくさん書いてあり、奥には祭壇のようなものがあった。


「え? これは…」


 フィリアは驚いたように目を見開くと、壁に駆け寄り天使みたいなのが書いてある絵をじっと見ていた。


「やはり…ここは光神殿ですか…しかし何故このような森に」


「ありゃ? 何だよ先客がいるじゃねぇかよ」


 私達が壁を見ていると、後ろから突然声が聞こえた。

 誰だと思い振り向くと、赤い髪をした美人の爆乳で過剰露出なねーちゃんが、でかい斧を持って立っていた。


「うん、ギルドのお仕事でね、森の調査をしてたら見つけたんだ」


「ほぅ…そっかそっか、でもな…私も仕事で調査に来てんだよな、それにギルドが森の調査をしてるのは私も知ってる、だけどこの場所の目撃者は消せって言われてるんだよな、この国の皇帝からさ」


「な、何ですかそれは!」


「まぁ運が悪かったと思って諦めてくれよ」


 赤い人はそう言うと斧を両手で持ち、いきなりフィリアの前に立つ私に向かって来て頭めがけて振り下ろして来たので、両刃剣で弾き飛ばした。


「なっ!?」


「運が悪いのは本当に私達なのかな? もしかしたら逆…かもしれないよね」


「ちっ、まぁいい…次で決めればいいだけだ、それよりそこのチビ、名前なんて言うんだ」


「チビじゃないけど、私の名前はミナ」


「そうか、私はステンド帝国特殊部隊《六天》第四席、赤獅子のフレア…フレア・レッドストーンだ、短い間だけどお見知り置きを」


 そう言って赤い人、フレアは再度私に攻撃を仕掛けてくる。


「よっと」


 私はフレアの攻撃を何度も弾く、それも攻撃だけじゃなくフレアごと弾き飛ばして、もう何度も壁に叩きつけている。


 何故こんな対応をしているかというと、下手に攻撃をして大怪我させたり、死なせたりしない為だ、フレアも仕事で来ているだけで別に恨みとかがある訳じゃないしね。


「はぁ…はぁ…マジかよ…私が一方的にやられるなんて、あり得ねぇ…どんだけ強いんだよ、なぁ…ミナよぉ!」


 フレアの問いに私は黙る。

 だってわかんないんだもん。

 私はただ持ち前のパワーでフレアを弾き飛ばしてるだけで、そこに技術や経験を生かすみたいな事は一切してない、というか出来ないからね。

 だから私は自分の戦闘力なんかわかんないし、相手の戦闘力を測ったりするのも無理だ。


「なぁミナ、1つ賭けをしねぇか?」


「賭け? トランプなら持ってないよ」


「ちげぇよ! 今から正真正銘全力、私が持つ全ての力と技術を込めてお前を攻撃する、それを受け止められたらお前の勝ち、何でもいう事聞いてやるよ、ちなみに出来なければお前はそのまま死ぬ」


「ふーん…いいよ、その全力攻撃は時間かかるんでしょ? 待ってるから満足いくまで準備しなよ」


「はっ…大した自信だ」


 そう言ってフレアは目を瞑りしばらく微動だにしなくなったと思ったら、何か全身から赤い煙みたいなのが出て、斧の刃が赤く光りだした。


「待たせたな…じゃあ、行くぜ!!」


 《敵対者が神力を使用しました、祝福、暴虐の力が強制発動、ミナの全ての能力が20倍になります》


 頭の中に変な声がしたと思ったらフレアの動きがとても遅くなり、さっきまでと同じようにフレアごと弾き飛ばし、壁に叩きつけた。

 そして私の武器が砕けて壊れた。


「はぁ…はは、あーダメだったかぁ」


「私の勝ちだね」


「流石ミナ様、最後なんて動きが見えませんでしたよ」


「そうだな約束だ、要求を言いな、何でも聞いてやるよ」


「じゃあ今日からフレアは私のお姉ちゃんね、だから私から離れて遠くに行くのを禁止する」


 ぶっちゃけ約束なんかどうでもいい、あんなの売り言葉に買い言葉じゃん。

 だから断らせる為に物理的に無理な事を要求する事にした。

 《六天》とかいう皇帝直属みたいな立場にいる人に離れるの禁止とか無理に決まってるもんね。


「ふっ…ははは、面白い…いいだろう! これから私はミナの姉として離れる事は無いと誓おう」


「え? いやお仕事あるんだし無理にとは…」


「いやそんなのもうどうでもいい、それより面白そうな生き方が見つかったからな」


「あれー?」


「あ、わたくしはあくまでもミナ様の奴隷ですのでそのつもりでお願いします」


「あはははは! 本当に面白いなお前達は!」


 おかしい、何故こうなった。

 私は祭壇にあった玉を首に下げている袋に入れ、思い通りにいかない人生に歯噛みし、肩を落としながら新しい仲間兼お姉ちゃんであるフレアを加え街に戻る事にした。




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