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フィリアと始まりの予兆

 わたくしはフィリア、元グレル王国第一王女であり、今はミナという女の子の奴隷をしている。


 何故わたくしが奴隷落ちしたか、それは単純にグレル王国が現在いるステンド帝国に敗戦したからだ。

 わたくし達王族は1人残らず…お父様もお母様もお兄様も全員奴隷になるとステンドの使者から宣告された。

 そう宣告された時は絶望した…でもわたくしは奴隷になって良かったと今は思っている。

 だって奴隷にならなかったらミナ様には出会えなかった。

 一目見た時に運命を感じた、この人しか居ないと思った、だって超タイプだったもん!


 なにあのふわふわの金髪は! もう顔を埋めたくてうずうずしたわよ!

 それにあの短い手足に幼い顔! さらにはくりっとした青い瞳! しかも歳は15歳とか…もう成長しないじゃない! エターナルロリじゃないの!

 もうふざけないで! どこまでわたくしを魅了したら気がすむの!

 第一王女のままだったら国家予算を注ぎ込んでもわたくしのものにしたわよ!


 あら、つい熱くなってしまったわね。

 でも仕方ない、だってリアル絶対幼女に出会えてさらには、その奴隷になってしまったのだもの。

 もう勝ち組よね。

 人生の絶対的勝利者、それがわたくし。


 そしてミナ様の奴隷になった翌日、新たな事実が発覚した。

 ミナ様が冒険者だという話は聞いていたが、わたくしは街の中の扱いとか手伝いなどの一般依頼を受けているのだと思っていた、しかしどうも違ったらしく、まさかの魔物狩り、しかも驚いた事に北地区でやっているらしい。


 ステンド帝国のグラスの街…通称《最前線》

 魔族の国、暗黒領域に最も近い危険な街。

 南は防壁に阻まれているのでそこまで危険な魔物は居ない。

 しかし北は暗黒領域との間に阻まものが無い為、とりわけ危険な魔物が多い、一番弱いホブゴブリンでさえランクCという屈指の危険地域…そこで狩りをしようとする人なんてSランクやAランク冒険者、それにステンドが誇る最高戦力《六極》くらいだろう。


 なのにミナ様はFランクの頃から北でホブゴブリン、オーガを単独で倒したらしい。

 そして危険度Sのケルベロスをも単独で倒した。

 わたくしはそれを見ていたが、正直目を疑った。


 だって…まるで戦いになっていなかったのだから。


 まず体長5mはあるだろう巨体の猛烈な突撃頭突きに合わせるように右手を突き出し無理やり止め、真ん中の頭に指をめり込ませ無理やり投げ飛ばし地面に叩きつけた後、ケルベロスの心臓に変な剣を突き立て戦いはあっさりと終わった。

 時間にして1分もかかっていない。

 ミナ様は汗1つかいていない。

 わたくしは冷や汗がダラダラだというのに。


 そして街に戻り、ミナ様はFランクからいきなりAランクにまで昇級し、二つ名《子猫》も与えられた。

 正直これも前例の無い事だと思う。

 ただこの時ミナ様はあくびをしてたので多分話を聞いていないんだろうなって思ってたら本当に聞いてなかった事が後で判明した。

 そしてわたくしは未だにEランクです。


 だというのに…パーティ勧誘がとてもうざいです。

 しかもしつこいからストレスが溜まります、しかしミナ様が言葉を発すると、全員が冷や汗を流しながら潮が引くように去っていくのは、とてもスカッとした気分になりました。

 まぁ…ミナ様は少し寂しそうにしてましたが。


 とりあえずミナ様との生活は本当に退屈しない。

 お父様、お母様、お兄様は…プライドが高いから大変でしょうけど、わたくしは元気なので安心してください。


 …………………



 我が国が、憎きブライト帝国に敗北し3ヶ月…俺は何とか残った我が国の有志達に救われ、奴隷にならずに逃げ延びた。


 父上、母上、そして愛しのフィリアは奴隷にされてしまったのだろう…。

 だが俺は諦めない、こんな敗北は認めない。

 そして愛しのフィリアを絶対に取り戻す。

 もし手を出していたりしたらそいつは絶対に殺してやる。

 フィリアは俺のものだ。

 これから作り上げる偉大な国の王…すなわち俺に相応しい王妃はフィリア以外に考えられない。


「そろそろいいかい? 王子様」


「あぁ…俺は国を作り上げお前達との契約を守る、だからお前達も契約を破るなよ」


「勿論さ! もう君の妹君の居場所も特定出来ているよ、ステンドのグラスの街さ、ちなみにミナという冒険者の奴隷になっているみたいだよ」


「女か…なら俺の側室にでもしてやれば直ぐに済む話だな」


「っくく…そうだね」


 俺は、隣の男…魔族を一瞥し、妹を取り戻す為グラスの街に向かう。

 街1つなら俺を助けた有志…グレル王国の禁軍150人がいれば制圧するのは容易いだろう。


「さぁ行こう諸君! 新しい国への第一歩だ!」


 さぁ始まるぞ…世界の中心である俺の物語が。



 ………………………


 っくく…あーはっはっは!!

 あー面白い!

 ああいう傲慢な馬鹿はおだてれば直ぐに木に登る…本当に愚かだ。

 僕等がどうして力を貸してるか本当に理解しているのかな? まぁ多分分かってないよなぁ。


 契約なんて所詮口約束でしか無いのにね。

 あんなバカの妹なんかどうでもいいよ。

 それより…それより気になるのは、●●の祝福を受けた人間が現れた事だ。

 まさか魔族じゃなく人間にあれが宿るとは…。

 今はまだ●●の祝福が2つ組み合わされて発現する特殊なものだと気付かれてないからいいけど…覚醒して祝福が発現する前に接触して、説得…もしくは誘拐しないといけないよね…。


「はぁ…今日は疲れた…とにかくこれから忙しくなるし、今の内に休んでおこう」


 魔族の男はそう言って闇に溶けていった。



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