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絶対幼女

 フィリアを買ってから3日、その間色んな事があった。


 まず私の本業…冒険者の活動はとても順調だ。

 買った時フィリアが付いてくると聞いた時はどうしようかと思ったけど、フィリアは輝きの白という回復系の祝福と、審判の紫電という雷魔法系の祝福があったからむしろ魔物狩りの効率が良くなり、3日で金貨108枚も稼いでしまった。


 てかこの辺の魔物は弱い割に買取額がとても良い。

 ゴブリン1匹で銀貨30枚貰えるし、東の森にいた頭が3つある犬なんて金貨40枚も貰えたからね。

 聞いた時は耳がおかしくなったかと思ったし。


 次にフィリアの事だけど…。

 これはもう大変だった、とりあえず冒険者やるんだし動きやすい服と防具を一緒に買いに行ったんだけど、フィリアの格好がやばい…もう姫騎士って感じ。

 だって銀のハーフプレートに白のミニスカート、それと白いマントにあのスタイルと顔だよ?

 分かるかなぁ…この気持ち、てかわかって欲しい、この女として全て負けた絶望的な気持ち。


 ちなみにミニスカートについては、パンツ見えちゃうよ? って注意したんだけど、ミナ様にしか見せませんとか意味不明な返しをされた。


 それと、私も服を買いました…てかフィリアにこれが似合うと思うとかやたら熱烈に勧めるから仕方なく買ってすぐ着たんだけど…おかしくね?

 上はお腹が丸見えだし、下はズボンだけど太ももがほぼ丸見え、そしてその上に子供用のピンクのモコっとしたコート…に鋼鉄のガントレットとかいう滅茶苦茶なスタイル。

 フィリアはこっちを見てめっちゃ喜んでるけど、私の様なツルペタロリに一体何を求めているんだろう?

 世の中わからない事だらけだ。


 さらに困った事も増えた。

 フィリアが原因でこの3日間で暴漢に襲われた回数…13回…。

 フィリアがナンパ、パーティ勧誘された回数なんかもう数えてすらいない。

 しかも私の奴隷だからと断るたびに増える私へのヘイト。

 最悪だよ…もう踏んだり蹴ったりな3日間だった。


 そして今日、いつも通り依頼を見ようと、私達はギルドにきたんだけど、何故かメリルさんとフィリアが睨み合っている。


「あら、今日も大量ねぇミナちゃん、もうこのギルドでトップクラスの稼ぎ頭なんじゃないかしら」


 メリルさんはフィリアに向けていた鋭い目とは全く逆の慈愛に溢れた眼差しで私を見ながら頭を撫でてきた…と思ったその時、あろう事か、フィリアがメリルさんの手を払いのけた。


「ミナ様に触らないで貰えますか?」


  「なにそれ? ミナちゃんを触るのになんであなたの許可が必要なわけ?」


「穢らわしい手の方にミナ様に触れて欲しくないだけです」


「はぁ? どういう意味よそれ」


「…男に媚びた様な女がミナ様に触るなって意味ですよ」


「なっ!? …そ、それだったら元王女のあなたはどのくらい穢れているのかしらねぇ、毎日醜い豚の様な貴族の手を握ってダンスしていたんじゃないの?」


「ふっ… いいえ、わたくしは父親以外の男性に触れたことすらありませんわ、奴隷にされる時でさえ、女性以外の方が近づいたら舌を噛んで死ぬと言っていましたもの」


 なんだこれ…。

 状況に全くついて行けない、何故にこの2人は私を触る触らないでこんなに揉めているんだろう。


「私だって冒険者の男には絶対に触らない様にしているわよ! だって何触ってるか分かったものじゃ無いし!」


 その辺で止めようメリルさん、そして周りの男達の顔をよく見よう。

 皆気まずそうな顔をしてるよ。

 過去に何かやましい事がある、そんな顔をしているよ?

 そしてあなたはそんな男達の古傷に塩ととうがらしを細かく砕いたものを擦り込んでいるんだよ?


「ならあなたは男を触った手でミナ様に触らないと断言できる…そういう事ですか?」


「ええ、万が一触れてしまったとしても、1時間は消毒滅菌をして聖水で手を清めてから触ると断言できるわ」


 私はユニコーンか。

 清らかな乙女にしか触れないのか?

 小さい頃から色んな人に撫でられて生きてきたんだけど…それは言わない方がいいか。

 この状況じゃ油にドラゴンブレスを吐く様なものだ。


 渋い顔をした私をよそに、2人は笑顔で握手をしていた。


「そういえば今日のミナちゃんの服装いいわね…かわいいわ」


「ほう…そこに気付くとは流石は同士と言ったところですか…このスタイルはわたくしが人生で一番感銘を受けたまぁ絵本…ですかね、その主人公が着ていた服に近いものを選ばせて頂いたものなのですよ」


「…まさか絶対幼女ルナ?」


「っ!? まさかあなたも…」


「やっぱり…じゃああなたにとって美とはなにかしら?」


「未成熟…わたくしから言えるのはそれだけです」


「そう、その答えを聞いて私はあなたにとても親しみを感じてしまったのだけど、あなたはどうかしら」


「ふっ…言うまでもないでしょう、これからは生涯の友…そう思っていますよ」


 もうダメだこいつら。

 なに言ってんのかかけらも理解できんわ。

 そう思って私は音もなくその場を離れ、酒場のカウンターに座ろうとした…しかしイスが高い、仕方なく登ろうと思ったら、マスターが段差付きのイスを出してくれた。

 いい人だわ、気が利いている。


 とりあえずミルキーウェイとかいう飲み物を注文して、出てきたのを飲む。

 …蜂蜜入りのミルクだった。

 でもうまい、めっちゃうまい。

 私はそれをぐびぐび飲み一息つくと、無益な話が終わったのかフィリアがこっちに来た。


「ミナ様、今日はこの依頼を受けました」


 フィリアはそう言うと私に紙を渡して来た。

 ふむ…いつも行く北東の森の調査ね、でもこれランクAの依頼なんだけど、私ランクFだよね? 無理じゃね? 危険だから普通に死ぬんじゃないの?


「ねぇこれランクAになってるよ? やばそうだからキャンセルしてきてよ」


「え? ミナ様はランクAですよね? 確かカードにはAランクと書いてありましたよ」


 イミフと思いながら首からさげている袋の中からカードを出して見ると、ランクの所がいつの間にかAになっている。


 なんじゃこりゃと思い、すぐにメリルさんの所に行って聞くと、ギルド貢献度がAランクの基準に達していて、この前頭が3つある犬を倒したから強制的にランクが上がったらしい。

 なんか有能な人材を遊ばせておく余裕は無いとか言ってたけどよく分からん。


 とりあえずまぁいいやと思い、そのまま依頼のために北東の森に向かう事にした。





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