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報酬と奴隷

 あれからせっせとゴブリンの耳と魔石を集めた私は、それが入った麻袋をしっかりと持ち冒険者ギルドに戻って来た。


 ギルドの中では、受付嬢のメリルさんが私を見て一瞬驚いた様に目を丸くした後、おいでおいでと手招きして来たので、素直にメリルさんの受付の前に行った。


「早かったわねぇ、どう? 魔物は倒せたのかしら?」


「うん、とりあえずその辺にいたゴブリンと何か変な緑のやつを倒して来たよ」


 私はそう言うと、メリルさんに持っていた麻袋を渡しニヤリと笑った。

 実はメリルさんをびっくりさせてやろうと、ゴブリンの耳と魔石の下に緑のやつの頭をそのまま入れておいたのだ。

 恐らくあのこの世の物とは思えない位に気持ち悪い顔に悲鳴をあげるだろう、もしかしたら泣くんじゃないかと期待している。


「え…これは…」


 袋の中を見たメリルは予想通りびっくりした顔をしたが、期待したほどじゃなかった。

 がっかり。


「…まさか初日で最近問題になってたオーガとホブゴブリンの群れを倒すなんてね…すごいわ想像以上じゃない…」


 何かメリルさんが緑の生物の頭とゴブリンの耳をじっと見ながらブツブツ呟きだした。

 目がキラキラしてるし何か怖いんだけど。


「あのー、報酬とか欲しいんだけど…」


「あ、ええそうね、それじゃあホブゴブリンの耳が52個、オーガの頭が1個、小型の魔石が52個に大型が1個、さらに手配中の魔物の討伐の褒賞金を合わせて、金貨90枚ね」


「…え?」


 金貨90枚? なにそれ、お父さんの年収の何倍? お家買えるよね? え? マジで貰えるの?

 メリルさんから渡された大きな袋を持つ手が震える、それはもう生まれたての鹿のようにプルプルしてる。


「えっと…また来ます!」


「あ! ちょ…」


 私はそう言うと、ダッシュで外に出てその足で不動産屋に向かい、街の中央にある噴水広場に近い家を買った、即金で買ってやった。

 それでもまだ金貨が40枚残っている、私は金貨を10枚、布のお財布の中に入れて首に下げ、残りは床下に隠した。


 一安心した所でマイホームから出て、街をフラつく事にする、私が買った家は家具付きだった為、買うものはほぼ無い。

 そういえば、お父さんとお母さんは元気かな?

 まぁ多分元気だろう、私は街でお父さんよりお金を稼いでやると大見得切って村から出た…まぁ初日で達成したけど、しばらくは帰らない、帰るときはお金をいっぱい持ってびっくりさせてやろう。


 そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にか噴水広場の近くの市場の奥の方まで来ていた。


 私はとりあえず周りを見る…と、何か鉄の首輪を付け、ボロい服を着た人が大きな店に入って行ってる、


 あれは…奴隷って人たちかな?

 話には聞いた事があるけど、見るのは初めてだ。

 なんでも借金とか悪い事をした人がなるものだって話だけど…。


 なんとなく気になった私は、中に入ってみた。

 そこは、床に赤いカーペットがひかれ、天井からシャンデリアが吊り下がっている凄い豪華な店だった。


「おや、いらっしゃいませ、奴隷をお買い求めですかな?」


 ぼーっと眺めていたら声をかけられたのでそっちを向くと、スーツという上流階級の人たちがよく着ているらしい服をビシッと着こなしたダンディーなお爺さんがいた。


「あ、いや、えっと…」


「お客様には実に運がよろしいですな、本日とても素晴らしい奴隷が入りましてな…こちらなのですが、いかがですかな? 特別に金貨30枚、即金で払って頂ければこの場でお売りいたしますよ」


 お爺さんは早口でペラペラと色んな事を話すので、買わないとは言えず、お家にお金を取りに行くと言い、家に戻り、そのまま行かなきゃ良いんじゃない? と思ったけど、持ってくると言ってしまったし約束を破るのは良くないと思い、床下から金貨30枚を取って店に戻った。


「ではこの奴隷は今日からミナ様の物となります、ミナ様は奴隷をお買いになるのは初めての様なので、奴隷に関する基本的な事を説明させて頂きます」


「あ…はいお願いします」


 それから15分程説明を聞いた。

 まず奴隷には3種類あり、借金奴隷と犯罪奴隷それと戦争奴隷らしい。


 犯罪奴隷には人権が無いそうなので、何をしても…例え殺したとしても罪には問われない。

 借金奴隷と戦争奴隷は最低限の人権が認められているらしく、暴力、相手の同意なしに性的な行為の強制もダメで、殺すなんて以ての外らしく、それをやってしまうと罪に問われ捕まるらしい。


 ちなみに私が買わされた奴隷は戦争奴隷で、亡国の第一王女です。

 おかしいよね?

 意味分かんないからお爺さんに王女ならもっと高く売れるんじゃないかって聞いたんだけど、どうもこの王女様が私をチョイスしたらしい。

 私に優先して売らないと舌を噛んで死ぬとか、意味不明な脅しをしたとかなんとか。

 だからお爺さんは子供にしか見えない私に出せるはずの無い金額を提示したつもりだったけど、私がポンと出してしまったので売るしかなくなったみたいだった。


「えっと、とりあえず自己紹介しますね、私はミナ、この街で冒険者をしてます、ちなみに15歳なので子供じゃないです」


「はいミナ様、わたくしはフィリアと申します、以前はグレル王国の第一王女をしておりました、それとわたくしはミナ様の奴隷ですので丁寧な言葉で話す必要はございませんよ?」


 とりあえず家に戻って自己紹介した。

 それにしても…グレル王国の第一王女だと…マジか…それ地方の村育ちの私でも聞いた事あるんだけど。

 やべーよ、よりにもよってグレル王国かよ。

 名前は初めて聞いたけどさ、確か前に村に来てた兵士さんの話だと、見た目の美しさから傾国の美女とか、優しく慈愛に溢れた聖女とか、世界中の国の王子や貴族が狙ってるとかの噂だったんだけど。


 なにこれ? 金貨30枚でいつ爆発するか分からない危ない爆弾を売りつけられた気分なんだけど。

 どうしよう…どう扱えばいい?

 一緒に冒険者?

 家から出ないで家事をして貰う?

 あーもう! 頭の中がぐるぐるしてわかんないよ!


「あの…これからの事なのですが、わたくしはミナ様と冒険者をしてご奉仕したいと思うのですが」


「あ、えっと、はいそう…ですね」


 くっ、この癒し系超絶美人のぽかぽかオーラには逆らえない…。


 それに何だそのスタイルの良さは!

 胸はでかい、しかし体は細くて扇情的、身長もスラっと高くて足も長い。

 髪の毛だって銀髪ですごくサラッとしたロングだし。

 羨ましい…恨めしい…。


「じゃあ、明日から一緒に依頼を受けたりするって事で、今日はもうのんびりするね」


 私はそう言ってソファーに座りぐでっとしたが、5秒後にはフィリアに胸を枕にする様に抱っこされた。

 抵抗しようと思ったけど、胸枕が思ったより気持ち良い。

 あー、今日は色んな事があって疲れたなぁ。

 あ…もうダメだ…目が勝手に閉じちゃう。

 そして私は寝た。




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