勇者、散る。
見慣れた村、いつもの村人、変わらない空。
気がつけばそこは魔王の城があったところだった。
戻ってきた。俺は戻ってきた。一体何だったんださっきのは。
ふとまわりを見ると、変わらない風景でほっとした。
でも、何かが足りない……そうか。
魔王の城だ。
そこまで考えて俺はようやくお姫様がいないのに気づく。
爆発に巻き込まれたとしたら絶望的だが……
俺がああなったわけだから、生きてるかもしれない。
見つけないで帰れば、村人になんと言われるだろう。
しかし、辺りを見回してもそもそも瓦礫すらないという始末。
もはや、村に帰らずにこのままひっそりと森の奥で暮らそうか……
そんなことを考えて歩いていると
いかにもアヤシイ紫色のフード付きマントを被った何かに話しかけられた。
「おまえさん、勇者なのサ?」
「ち、違うぞっ!」
とっさに違うといった。
「嘘をつくんじゃないサ。私は神なのサ。」
《突然の神》
なんだこいつ。
「まぁまぁ、お前さんにあげたいものがあるのサ。」
そういって紫マントは
「ホイ」
と黒いボール?のようなものを渡してきた。
「なんだこれ?」
と聞いたとき紫マントはそこにおらず、
なにかなーと考え……
「まさか、魔王の城の近くでまた爆発が起きるとはねぇ……」
「怖いですねぇ……」
「勇者も魔王もお姫様もどっか行っちまって、この国はどうなんのかねぇ……」
「平和だといいんですけどねぇ……」
END
まぁた勇者というやつはぁ
なんで生きてるんだ、キミは。