ユウシくん、さらっと散る。
「死んでないわっ!!」
俺は声をあらげる。勝手に殺すなんて許せん。
本当に……んっ?
ここはどこだ?綺麗な小部屋だな。これは便器……?
とりあえずここから出るか……
扉を開いて部屋を出ると、
隣の扉から見知らぬおっさんが出てきた。
ピッチリとしたグレーの服を着ている。
村人Dとかそんな感じか?でも、村人はもっとゆるい服を着てるよな……
とりあえず話しかけてみる。
「いやユウシくんどうしたんだい、私だよ。課長の多田だよ。相変わらず冗談が好きだな~。」
……誰だよ!多田って!村人には名前がないじゃないか!
名前があるってことは重要な人物か……?
でも、魔王を倒した後にこんなイベントがあるとは。
「ユウシくん大丈夫かい?」
多田さんが訊いてくる。俺はとりあえずうなずく。
イベントなら流された方がいいこともある。
俺は多田さんと扉を開いてこの建物から出……
……これは、室内だ。扉を開いて部屋から出て、また扉を開いても室内だと!?どういうことだ。まて、何が起きているんだ。
俺は訳も分からず、とりあえずこの建物から出ようと走り出した
そしてなにかにぶつかった……透明な板……罠か?ここはダンジョンなのか?と思ったら、板が横にスライドした。
急いで走り出す。そして少し行ったところで、後ろの方から
「ユウシくんっ!!」
と声が聞こえた気がして、振り向こうとしたら右の方から轟音が響いてきた。
ふと右の見ると目の前に、すごいスピードで大きな銀色の何かが迫ってきていた。
ふん、俺のステータスをなめるな。防御も攻撃も限界まで上がっているんだ。そう簡単にやられるわけが……
本日午後1時過ぎ、1名の会社員が亡くなられました。
トラックの運転手の証言では、突然飛び出してきたとのことです。
詳しくは警察が現在調査中です。
せっかく転生させようとしたら、
手違いで会社員にしちゃったよ、
やっぱり彼は勇者じゃなきゃダメかな?