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琥珀色の心 Ⅱ  作者: 柴垣菫草
第1章 あおじ
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あおじ<6>

 十二天将(てんしょう)を前に、琥珀が力強く話した。


「晴茂様は、死んでいません。きっと、どこかで生きています。

わたし達式神は力を結集して晴茂様を探さねばなりません。

妖狐九尾も、手の者を総動員して晴茂様を探してくれます。みなさん、よろしくお願いします」


琥珀は、十二天将に深々と頭を下げ頼んだ。そして、太陰(たいおん)が、これまでの話を要領良く説明した。


いつもの酔っぱらいの太陰ではない。理路整然と晴茂が生きていることを説明した。

その太陰の姿を見て、天空(てんくう)はくすくすと笑った。どうにも真面目な太陰は、太陰らしくないのだ。


「成る程、今回は、太陰も九尾のキツネの知恵に敵わなかったのですな。

わたし達全員が、晴茂様は亡くなられたと思っていましたからねえ」

大裳(たいも)が何度も頷きながら(つぶや)いた。


「しかし、…、どこに?」

六合(りくごう)が思案顔で呟く。


そして全員が、「晴茂様はどこだろう?」と首を傾げた。

みんな各々の意見を出したが、これと言って有力なものはなかった。

しかし、全員の顔はこれまでと違い、晴茂が生きていると知り、活きいきとしたものだった。


()(かく)、琥珀の心が晴茂様を感じないというのは、どのように理解すればいいのやら…。

あの方の呪力(じゅりょく)なら、例えこの世の果てまで離れていようと、琥珀には届くはずでしょう」


大裳の呟きに、天后(てんこう)が答える。

「九尾のキツネは、晴茂様がそれほどまでに危険な状態かと、言ったよ。

早く見つけなければ、本当に大変なことになる」


「ううぅん、…、しかし、探すといっても、雲をつかむような…」

六合は、腕組みをして(うな)るばかりだ。


太陰の知恵も、大裳の知識も、これといった答えを導けずに時が過ぎた。


最後に琥珀が、みんなに言った。


「兎に角、手分けして探すしかない!

玄武(げんぶ)朱雀(すざく)青龍(せいりゅう)白虎(びゃっこ)は、各々受け持ちの方角をくまなく探してみて。


残りは、二手に分かれて、最後に晴茂様のいた榛名山(はるなさん)周辺、

それに、手掛かりと言えば、酒呑童子(しゅてんどうじ)の本拠地のあった大江山。だから、この二か所を探しましょう」


方角を司る四獣神、玄武、朱雀、青龍、白虎は、『よし、分かった』と、各々の方角に向けて消えた。


「おいおい、琥珀。おれが一番気にしているのは、京の土蜘蛛の巣だ。

おまえが囚われの身になって閉じ込められた地下洞窟だ。


晴茂様が喰われたのは土蜘蛛だし、あの洞窟は確かに土蜘蛛の巣だ。調べてみる必要があるぞ」

天空が強く主張した。


「そうさなあ、土蜘蛛の巣は、(あや)しいかもしれん」

六合が同調した。


「分かった。じゃあ、三手に分かれて探しましょう」


六合が、大裳、騰蛇(とうだ)を率いて、榛名山へ。

天后が、勾陳(こうちん)を率いて大江山へ。

そして、天空と琥珀そして太陰が土蜘蛛の巣を調べることとした。


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