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琥珀色の心 Ⅱ  作者: 柴垣菫草
第1章 あおじ
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あおじ<5>

 こんな嬉しい話はない。晴茂は死んでいない。三人の式神は、喜びを充分に分かち合った。太陰(たいおん)は、何故今まで気付かなかったのだと自分を責めたが、そこは持ち前の陽気さで、すぐに酒飲みのおばさんへ戻った。天后(てんこう)は、琥珀の涙に誘われのか、泣き声で喜んだ。


 そうと分かれば、晴茂を探し出さねばと、琥珀の心は一歩前に進んだ。晴茂はどこかで生きているんだから…。式神全員で心を合わせて探すんだ。琥珀は、そう決心した。


琥珀が残りの天将(てんしょう)を全員呼び集めた。既に夜も更け真っ暗になった山の頂に、晴茂の式神、十二天将が集まった。朱雀(すざく)の放った火の玉が、ぼぉっと式神達を照らし出している。


 式神十二天将は、安倍晴明(あべのせいめい)の式神だった。陰陽師になった安倍晴茂が、この十二天将を晴明から授かったのだ。


六獣神と六人神。合わせて、十二天将だ。

まず六獣神から紹介しよう。


東西南北の方角を守護する四獣神がいる。平安の時代、京の都をこれらの獣神が守った。


北に玄武(げんぶ)、南の朱雀(すざく)、東は青龍(せいりゅう)、そして西を守る白虎(びゃっこ)だ。


 玄武は水神、北の方角を守護する聖獣だ。亀の身体に蛇の頭を持つ。

 真っ黒な甲羅(こうら)強靭(きょうじん)で、どんな攻撃にも耐える。


 火神の朱雀。南の方角を司る。大きな雀のような形だが、朱色を基調に五色の羽根を持つ美しい鳥だ。

 鳥たちの王とも呼ばれ、朱雀が呼びかければ多くの鳥が駆け付ける。

 火の玉を繰り出し、羽根で起こす風でその火の玉を自在に操る。


 東の方角を司る青龍は木神だ。

 頭に生えた角から稲妻を放つ。


 白虎、白く大きな虎だ。金神の白虎は、西の方角を司る。

 天を飛ぶように駆け、目から鋭い光線を放ち、あらゆる物を溶かす。


そして、残る二獣神。


 騰蛇(とうだ)、火を司る獣神だ。身体は炎に包まれており、小さな羽根を持つ蛇の姿をしている。

 口から吐く紅蓮(ぐれん)の炎は、燃やせない物は無いと言われ、何でも瞬時に灰にしてしまう恐ろしい(わざ)だ。


 勾陳(こうちん)黄金(こがね)色に光る美しい大蛇だ。

 土神の勾陳は、大地を揺るがし、山を造り、深く谷を削る。


次に人神だ。


 六合(りくごう)は木神、平和と調和を司るが、姿は老将軍だ。

 若い頃の六合は、泣く子も黙る猛者(もさ)だった。戦えば必ず勝つ。勝つためには手段を選ばない。

 そんな将軍が(よわい)を重ね、平和と調和を司る人神になった。


 天后は天帝の(きさき)で水神、御転婆(おてんば)の少女の姿だ。航海の安全を司る人神でもある。

 我眉山(がびざん)で仙術を習い、水を操り、氷の柱で造る防御は玄武の甲羅に匹敵する。


 太陰は飲んだくれのおばさんの姿。金神だ。

 酔えば酔うほどに知恵が湧いてくる。十二天将一番の知恵者だ。


 大裳(たいも)は土神、天帝に仕えていた文官だ。

 性格は固く律儀だが、その知識は正確で誰よりも豊富だ。


 暴れ者の天空(てんくう)は土神。凛々(りり)しい青年の姿だ。

 天空剣を持ち、霧を呼び黄砂を操る。天空の全ての術は、伸び縮みする天空剣の魔力から出る。


 そして、貴人(きじん)。いつも宙に浮いており、男か女か、子供か大人かも分からない姿だ。

 貴人は上神であり、他の式神を束ねる。他の式神が窮地に陥ると現れ、これを救う。

 人であろうと動物であろうと妖怪であろうと、貴人はその心を取り込み自由に扱うことができるのだ。


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