大事な事
今回が初めての小説です。初めての体験なので、いろいろわかりにくい所もありますが、どうぞ最後まで楽しんでください。
今日も、相変わらず空がきれいだ。私は、藤沢の近くの高校に通っている星野空。今は高校二年生だ。
私は空が好きだ。なぜなら、空は誰もが見上げる存在、決して見下ろすことのできない絶対的な存在。
父さんは世界屈指、財閥の雪野財団のトップ。私が跡を継ぐようにと小さい頃から父さんに教えられたのは、周りを頼らずに一人で生きていくことと希望を決して持たないこと。希望がなければ絶望もないからだ。この二つの言葉が私という人間を変えた。
でも昔はこんな私でも、『友達』っというものに憧れていたし、大事な友達もいた。彼女の名前は西田モエ。彼女とは中学校の時に知り合った。私の一番の親友、私達はいつも一緒だった。そう、いつだって一緒だったのに、父さんは…。父さんは彼女を嫌っていた、なぜなら彼にとって彼女は意味のない付き合いだからだ。父さんは友人なら権力のある人と付き合えっと言われている。でも、彼女と一緒にいると本当の自分にも、彼女にも偽らないで済むから、一日で唯一遊戯な時間だった。
だが、父さんはそれを良しとしなかった。父さんは使える権利のすべてを使って、彼女を私から遠ざけた。たった3週間で彼女の家族は社会から追放されてしまう結果となった。それから、彼女に会うことはなかった。それから私は父さんには逆らえないと悟った。
父さんの力でねじ伏せられた私は自分の利益を第一に考え始め、ポーカーフェイスを覚えるようになった。
ポーカーフェイスを忘れるな。
これは自分の心にしみついてしまった言葉。人を欺き、操る。そのせいか、それからの私はあんまり涙を流したことはない。自分の心を押し殺して、自分に言い聞かせた。他人に頼るな!それから、私は友達に親しまれ、先生からは良い評価を得た。中学では、三年連続生徒会長に選ばれた。でもこのときから、私の心はすでに死んでいた。自分の意思を持たないただの操り人形。二度と悲劇を起こさないためにも…。
ある土曜日のことだ。私は見知らぬ部屋のソファーで目を覚ました。目の前には、見知らぬ男の人が立っていた。
「お目覚めですか?気分はどう?」
突然の問に、私は戸惑っていた。
「ここはどこ?あなたは誰?っという顔をしていますね。」
自分の心を読まれたように正確に当たっていた。
「心配しないでください。僕はセラピストです。ここは、ティア・ドロップです。あなたは先ほど救急搬送された患者です。」
「救急搬送?なにかの病気にかかっているのですか?」
「君はもう、長年涙を流していないよね。これは非常に怖いことです。」
怖い?何かの病気になるのかな?まさか・・・・まあいっか。
「今、どうでもいいよねっという顔をしましたね。そんなことは絶対だめです。」
「で?あなたは何がしたいの?」
「僕はあなたの心の叫びを知っている。怖がらないで、リラックスして。」
「なぜ、あなたのことを信用しなければならないの?」
可笑しいわ。こんな人に次期雪野財団のリーダーがこんなことになっては笑いものだ。考えろ、こいつを操れ、欺け。どうする!空。
「あなたでは僕を操ることも、騙すこともできない。」
また、心を読んでいる。気持ち悪い。彼は多分私を変えるつもり、でも私は今ので十分満足だ。
「満足してはいけないのですよ。」
また!コイツ!
「貴方は貴方のお父様の縛りによって、操られているのです。」
違う、縛りなんかじゃない。操られてなんかいない。落ち着いて。
「言いたいことはそれだけですか?用が済んだらのなら、私を元の世界に戻してください。」
くだらない。こんな事している場合じゃない。イライラする。
「あなたは一番大事なことをわかっていない。何者としても振る舞うことができる君自身は、結局のところは何者でもなかった。君の核となる個性は無です。つまり空っぽ。君には君としての顔がない。“のっぴらぼう”だからこそどのような仮面でも被ることが出来たというだけです。そんなのつまらないだろ?そんなの生きているとは言いえないだろ?」
聞き終えた時、頭に血が上ったのを感じた。
「言わせておけば、あんたに何がわかるの?いくら手をつなぎ、共に歩もうとしたところで、人は生まれてから死ぬまで独り。自分が信じる理想、いくら語ろうとしても、夢物語と笑われた。そして、信念を貫けば貫くほど変わり者だと、後ろ指をさされた。泣き顔を作れば、甘えだって。不満をこぼせば、無能だって。そう、言われて育ったの。これが現実なの。君にわかる?」
「知っています。君はただ『助けてくれ』を孤独の盾で塞いだだけなんだと。光輝くダイヤモンドは固い、固いが故にもろい。人生は一人に一回、大事にしなさい。きみに大事なのは、休むこと。それから」
それから、なに?聞こえない。あれ声が出ない。待って、大事なことは何?
「は!?」
「お嬢様、大丈夫ですか?ずいぶんうなされておりましたが?」
「大丈夫だ。下がって。」
メイドは頭を下げ、ドアを閉めた。われに返った、私は自分の部屋を見回したが、あの部屋も、中に立っていた男性も、どこにもいない。夢だったのかな?そして、ベッドのシーツにぽたぽたと何かが垂れてきた。涙?無意識に目から涙が出てきていたことに気づいた。涙が出るほど、胸が痛くなっていく。涙が 流れている時、私の心の奥から自分の感情があふれてきたことをはっきりと感じた。そして、さっきまでいた男性の声が心に響いた。
「ようやく、気づかれましたね。よかったです。」
ありがとう、本当にありがとう。
最後にどんな感想を抱いて、どのような気持ちなるのはあなた方次第です。これからもよろしくおねがいします。何か、感想や意見があればぜひお願いします。