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短編集

性犯罪について考える事

作者: 吾桜紫苑

 インドでは最近、多発する性犯罪に対してより厳しく対応するよう、法改正などを求める声が激しく上がり始め、大きなデモが起きています。

 今のインドでは、女の子が生まれることを歓迎されません。もし成長しても、15やそこらで結婚させます。

 経済成長し続けるかの国で、どうしてそのようなことになっているのか。


 ……性犯罪に、その子達が遭わないためです。


 性犯罪の被害者になる前に、きちんとした結婚先に嫁いだ方が良い、という考え方の元、少女達の両親は子供を産める年になると直ぐ、結婚するのです。


 過程はどうあれ、結果的に「少女」が「女性」になる事を強要されてしまうのは、何故なのか。


 答えは簡単です。性犯罪……レイプは、死刑に値するほどの重罪、つまり、人の命を脅かすものだから。命を守るため、少女達は嫁ぐのです。


 今回は、このあたりの話をちょっと詳しくします。


 先程私が言った事がぴんと来ない人がいるのは、分かる気はします。無理矢理という条件が入るとはいえ、やってることは普通に大人の恋人同士が当たり前にやっていることですからね。


 が。


 ……多分、性犯罪を絶対に許さないまともな神経の持ち主でも、うっかり失念してしまっている方がいらっしゃるのでしょうが(どうなんだろう)、性行為というのは、やり方を間違えればとても危ないものです。

 飲み会で男性陣が時折漏らすAV画像についての発言をつなぎ合わせるに、割とああいうものは、その、特殊なプレイ? と呼ばれるものが多いようですが、アレもかなり危ないんじゃないかと思います。


 何故か。


 これはレイプと共通しますが、性行為を『乱暴に』やる事が拙いんです。いくら女性の体が耐えられるようになっているからといって、限度があります。


 乱暴な性行為が導くもの。


 まず、レイプと聞いて1番に連想する『怖いこと』は、妊娠でしょうか。

 もしも妊娠してしまったら、まず間違いなく堕ろすのでしょうが、この堕ろすという事自体、女性の体に強い負担がかかります。

 ちょっと知識を持ち出すと、着床した受精卵を堕ろすには、周りの胎盤ごと掻き出すようにして卵を取り出します。

 当然体への負荷は相当なものですし(前に、丸1日以上動けなくなると聞いたことがあります)、子宮を傷付ける恐れもあります。勿論、不妊になる可能性も高いです。

 かといって自分を無理矢理組み伏せるような男の子供を、それでも生まれた命に善悪は無いと、心からそう思い、愛する事が出来ない限り、己1人で育てる覚悟がない限り、やはり誰の幸せのためにも堕ろす方がいいでしょうから、ほとんどの場合、堕ろさざるを得ません。

 ですから、レイプによりもしも妊娠してしまった場合、女性の将来的な幸せ(まあ子供を持つ=幸せとは限りませんが、欲しいのに産めないというのは幸せとは言いづらいかと思うので)までもを奪う可能性があるのです。


 次に思い付くのは、やはり病気ですね。

 いくら傷付かないよう体が防御反応を取るようになっているとはいえ、取り敢えず性欲を満たせればいい、という扱いで男が女を組み伏せると、どうしても体が傷付いてしまう。

 その傷口から菌が入れば、性病は勿論、傷口の炎症、傷口からの感染症もありえます。これもまた不妊の一因となりますし、それどころか命にすら関わるものです。HIVは母子感染もありますから、将来の自分の子にまで問題が及ぶ可能性も。

 更に、最近中学生にワクチン接種を推奨されている子宮頸がんは、かなりの確率でウイルス性のものであり、性行為によって感染すると分かっています。がんの恐れもあるということですね。


 そして、つい忘れてしまいそうになるのが、レイプそのものが人の命を奪ってしまう可能性です。

 インドでのデモの切欠となった事件でも、被害者の女性が亡くなっています。

 死因は、腸管破裂。


 ……そう。あまりに乱暴な行為は、文字通り体を壊してしまいます。


 子宮は直腸と膀胱に挟まれるようにしてあるので、場合によっては腸に負荷がかかり、結果破裂する恐れもあるのです。

 腸には億単位の細菌が存在し、兆単位のウイルスが存在します。腸内環境を整えるそれらが腹腔内に入れば……命を脅かすものだというのは、容易に想像できると思います。


 胸部の傷よりも腹部の傷が深刻になるというのも、ここから来るのです。腹部の方が内臓が多く、その分影響も大きいですから。


 レイプと言われてまず想像するのは、『キズモノになった』という口さがない噂(今でもあるのでしょうか)、見知らぬ男に力尽くで屈服させられたという心の傷かなと思うのです。本ばかり読んでいる私の偏見かも知れませんが。

 ですが、それと共に、今まで述べてきたように、深刻な『体の傷』を負うことにもなります。時に命を落としてしまいかねないほどに、危険なものです。





 先日、日本においても、性犯罪に対して死刑判決が求刑されました。後の人生に響く、命の危険がある犯罪が、死刑を求刑されるのは、自然な流れだと思います。


 実際、司法は性犯罪を、死刑に値する犯罪と見なしている節があります。

 かつて、性犯罪の被害に遭いかけた女性が、抵抗した弾みで相手を殺してしまった際、裁判所はこれを正当防衛と見なしました。

 相手を殺してしまっても正当防衛になるのは、殺されそうになった時(≒殺人など)のみ。

 この判決に、裁判所の態度は示されているように見えます。


 はっきりと明言されていたかは覚えていませんが、おそらくインドの方も、性犯罪に対して死刑求刑くらいしたいと思っている方が多いのでしょうね。それほどに、デモは大規模で激しいものだったようですから。


 そして、私もこれに賛成です。レイプは殺人と同じと扱っても不自然は無いと思っています。





 今回の内容、私はあえて全年齢指定で投稿しました。

 直接的な表現は避けましたが、年齢制限をかけるべきでは、と思った方もいらっしゃるかと思います。勿論それも考えましたが、それでも年齢制限をかけない道を選びました。


 なぜなら、レイプなどの性犯罪は、大人の女性だけではなく、中学生や幼い女子、10代の少年も対象になっているからです。


 劣情を抑えきれず、無理矢理力尽くで犯す性犯罪者が、力無い子供を狙うのは、然程無理のない流れなのでしょう。少年が狙われるのは、怪しまれたり警戒の目を向けられることなく近づけるから、という理由でしょうか。

 性犯罪者の心理なんて完全には理解できませんししたいとも思いませんが、ともかくそういう事件があるというのは、絶対の事実です。

 だからこそ私は、そういう被害者になり得る子達にも読んでもらえるよう、あえて全年齢指定にしたのです。

 




 全ての被害者になる可能性を持つ方々、あるいは、周りに当てはまる人がいる方々が読んでいる中で、もう1度繰り返します。


 レイプは、命を脅かす、重罪です。


 犯罪の対象に選ばれた事を恥じる必要も無ければ、周囲に助けを求めることを躊躇う必要もありません。全て相手が悪いのですから。

 どんな手段を取ってでも良い、必ず身を守って下さい。


 効果的な方法としては、大声を出す、顔(特に目や鼻)に向かって手を突き出しつつ相手の足の小指を砕く勢いで踏む、急所を蹴り上げるなどですね。キスされた時に舌を噛み切る勢いで噛むというのもありです。

 相手が死ぬかも知れないなんて事を気にせず、全力でやって下さい。力はこちらが劣るのです、力尽くで乱暴をしようとする相手に躊躇う必要などありません。法は貴方の味方です。


 とにかくどんな方法でも良い、相手を怯ませ、隙を突いて逃げ出すことが大事です。


 大の男に組み伏せられれば、大抵の人は身動きが取れなくなってしまいます。その前に必ず逃げましょう。

 『火事だ!』と叫ぶのも良いとか。『助けて』だと周りも怖くて隠れる方を選んでしまいかねませんが、火事なら絶対顔を出しますからね。

 大体の犯罪者は一種の興奮状態にあり(……冷静にレイプに及ぶようなやばい奴がこの社会に沢山いるとは思いたくありません)、大きな音、衝撃などで我に返る場合もあるらしいので、絶対に躊躇わず抵抗して逃げるようにしてください。

 ただ気を付けて欲しいのは、完全に組み伏せられ、抵抗が厳しくなった時。この場合は、下手に大きな声を出すと却って危ないかもしれません。

 逆上して首を絞めてくる場合もあるらしいので、その時は暴れないのも手。なるべく乱暴にされないよう、大人しくする方が身を守れるかも知れません。

 でも、『顔を見られたから』という理由で、殺される可能性もあります。

 この辺りは、相手の様子にもよるでしょう。自分の直感に従って行動して下さい。

 どのみち、逃げるチャンスは最後まで諦めないように。油断させて隙を見せた瞬間に逃げるのも手です。何があっても諦めず、自分の身を守って下さい。


 沢山例を述べましたが、大事なのは、『こういう時はこうしよう』と考え、身構えておく事です。


 考えておいた事を実行するのと、全く考えていなくて咄嗟に動くのでは、圧倒的に成功率が違うでしょう。少なくとも、考える事が無駄になる事は絶対にありません。


 そして、更に大事なのは、『そうなりうる状況に陥らない事』。


 男の人と2人きりでエレベータに乗らない、部屋に入る時後を付けられていないか確認する、夜道で人気の無いところを通らない。

 些細な事に思えますが、そうやって普段から警戒しているのが1番だと思います。

 抵抗せざるを得ない状況になんて、出来るだけならない方が良いのですから。





 今回私が書いた内容について、私の拙い文章からも、皆さんなりの考えを持って頂ければと思います。


 その時に必ず頭に入れておいて欲しいのは、『他人事として考えない事』。


 貴方は、相手を殺してでも犯されたくない、死にたくないと思いますか。それとも、死のリスクを負ってでも、相手を傷付けたくないと思いますか。


 前者の方は、殺してしまった後、後悔はしませんか。後者の方は、その結果家族や友人達が嘆き悲しむだろう事を、どう思いますか。


 もし貴方が、家族が、大切な人が、友人が被害に遭った時、その犯人が軽い罰則だけですんで良いと思えますか。


 貴方の大切な人達が必死で抵抗した結果、相手を殺してしまったとして、『殺すなんて』『殺してまで守らなければならなかったのか』と言えますか。


 思えると、言えると思った方は、法が改正されず、抵抗しなかった大切な人達が亡くなってしまった場合、『どうしてあんなに罪が軽いんだ』『どうして抵抗しなかったんだ』と思いませんか。


 自分の中にある考えに、考えに基づいて行動した結果に対して抱く感情に、矛盾はないか、しっかり考えて下さい。

 答えを出すのは難しいでしょう。もやもやとしてはっきりしないものを追い求めるのは難しい事ですし、何よりこんな不吉な「もしも」を考えたくない、という気持ちになるかも知れません。


 でも、……そんな事が一生ありませんようにと祈っていますが、もしも、本当に貴方が被害者になってしまった、あるいは、貴方の周りの人が被害者となってしまった時、思うように動けなくて傷付いたり、動揺した頭で心にも無い事を言って相手を傷付けたり、そんな事になってしまうのが、1番辛いと、私はそう思うのです。


 だから、目を逸らさないで下さい。目を逸らさず、考え、自分の中に答えを出して下さい。


 そして、「もしも」の時は。


 自分の考えに従い行動して下さい。そして、その結果をきちんと受け止めて下さい。結果までも考えて決めた行動ならば、冷静に結果を受け止めることが出来るはずです。

 そして、『自分はこういう考えの元動いたんだ、だからこうなったんだ』と、はっきりと主張して下さい。正しいと思う貴方の考えを、疑わないで下さい。


 貴方の周りでそんな主張をしている人がいたら、仮に貴方とは意見が異なっていたとしても頭ごなしに否定せず、1つの考え方としてそれをしっかり受け止め、認め、肯定して下さい。

 己の考えというのは、人生を歩んでいく中で大事な足場となってくれるはずです。その足場を、周りの人は支えて下さい。貴方が間違っているわけではないのだと、励まして下さい。


 そうして、『犯罪には屈さない』と言い切る強さが、心が、何よりも貴方や、貴方の周りの人を守ってくれることでしょう。


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― 新着の感想 ―
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