↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

転生という最強の力を手に入れたので、ヒーローになって怪人を倒します(たぶん)

作者: 久手史郎
掲載日:2026/10/08

俺の名は英雄。


“えいゆう”じゃないからな。

“ひでお”だからな。


そこんとこ間違えんようにな。


そして職業はヒーローだ。


え、ふざけてるんじゃない?


ふざけてなんかない。


ほら、目の前に怪人いるだろ?

カブトムシと人間を足して2で割ったようなの。


そう!

あの黒光りしてるヤツ。


え?

Gじゃないかって?


違う。


あれはメスのカブトムシだ。

見ればわかるだろうに。

まったく。


1年前から、ああいう人間と他の生物が合体したような奴が出没して、街や人を襲うようになった。

それを倒すのが俺たちヒーローの役目って訳だ。


え?


“俺たち”って1人じゃないのかって?


何を言ってるんだ。


俺みたいな豆腐メンタルが1人であんな怪人と戦えるわけないだろう。


パディがいるんだ。

紹介しよう、俺のパディ“未来”だ。


“みらい”じゃないからな。

“みく”だからな。


間違えないようによろしくたのむぜ。


この未来は他のヒーローにはない切り札(フェイバリット)がある。


例えばヒーローって変身するだろう?


俺もそうだ。


パワードスーツを纏うことができる。


この俺の変身は異世界の技術を使っている。

厳密には"装備"というスキルらしい。


よくゲームとかで装備コマンドを使うと一瞬で装備が切り替わるだろう?


あれと同じだ。


この”装備”スキルで同じことができる。


これで普段着とパワードスーツを切り替えているってわけだ。


スゲーだろ。


おっと勘違いしちゃいけないぜ。

俺自身にそんなスキルはない。


考えてもみろよ。人間にそんな超能力みたいな能力あるわけないだろ?


俺がそのスキルを使えるのは、このベルトのおかげなんだ。

このベルトに”装備”スキルの機能があるのさ。

だから、いつでもどこでもパワードスーツに早着替えが可能ってわけさ。


ただな。


これ、いざ戦闘となると問題があるんだ。


俺の戦闘力はパワードスーツに依存するんだ。

パワードスーツ以上の戦闘力を持つ怪人が現れた場合、手も足も出ねぇ。


さきほど、俺は目の前のカブトムシの怪人と戦ってみたが、無理だった。


さすがカブトムシだ。

男の子のロマンを壊すような真似はしない。


そこでだ。


俺のパディの未来の出番だ。

彼女には切り札(フェイバリット)がある。


”転生”というスキルだ。

彼女がそのスキルを使うと、文字通り異世界転生を行い、新たな力を得ることができるのだ。


しかも転生特典というものも付与されるらしい。

さっき俺が説明した”装備”スキルも、彼女が転生したときに得た能力を解析してできた新技術だ。


今まさに彼女は”転生”スキルを行使し、生まれ変わった姿で現れた。


その姿はまるで伝説の勇者だ。


腰には伝説の剣を佩いている。


「見て、この剣を。この剣ならどんな相手も両断できるわ」

未来は勝ち誇った顔で言った。


「おお、すげーな」


「さらに転生特典ですごいの貰っちゃった」


「なんだ?」


「経験値100倍ですって。無限に強くなれるわ」


「おお、そりゃスゲー」


「いくわよ!」

未来は伝説の剣を構え、怪人にむかっていった。


しかし、その攻撃はとめられた。


そうなのだ。


あいてはカブトムシの怪人。


手足、合わせて6本ある。


俺達よりも腕が2本多いのだ。

その多い2本の腕で、彼女の剣をもつ腕をつかんだのだ。


しかも、その懐に入るスピード。


まるでGのようではないか!


これだ。

この腕の数とスピードに翻弄され、俺は負けた。


そして転生した未来なら勝てるかと思ったが、それでも無理だったか。


「あのー」


怪人が遠慮がちに声をかけた。


俺と未来は驚いた。


怪人が話せるとは思わなかったからだ。


「経験値100倍って敵を倒さないと意味ないですよね」


俺と未来の背景が稲妻フラッシュトーンになった。


そうか!


未来の転生特典は敵を倒さないと意味がないのか!

ならば目の前の怪人を倒さなければ意味がないではないか。


「くっ。もう一度やるわ。”転生”!」

未来はもう一度、切り札を繰り出した。

彼女の姿がかわる。


「おお!」

俺は刮目した。


彼女は伝説の装備をしていた。


ビキニアーマーだ。


生きている間にビキニアーマーを見られるとは!


「きもい」

未来は手にもつ槍で俺を突き刺した。


「ぎゃーっ」

俺はパワードスーツごと串刺しになった。


「そんなキモイ目で私をみるからよ。私だってこんな格好したくてしてるんじゃないからね」

そういうと彼女は槍を抜き、俺に手をかざした。


俺の傷が治っていく。


「これは・・・治癒魔法かっ!」


「そう。転生特典で手に入れたの。そして私が持つのは、一度だけ、必中の効果をもつ伝説の槍! みてなさい。あの怪人がどんなに腕があったって、この槍は因果を操作し、必ず敵を突き刺すわ」

そういって彼女は槍を構えた。


いいぞ! パワードスーツの装甲を問題なく貫通する威力であれば、あの怪人も容易に倒せるはずだ。


「あのー」


怪人が遠慮がちに声をかけた。


「なんだ」


俺は嫌な予感がしながら言葉を返した。


「それって一度きりの効果なんですよね? もう、その効果使っちゃってますよね?」


俺と未来はその言葉を聞き、顔を見合わせた。


「バカーっ! あんたがキモイ目で見るから、効果使っちゃったじゃない! アホ! ●ね!」


未来が俺を攻撃してきた。


「まて、それパワードスーツを貫通する槍だろ。シャレにならんて」


「大丈夫。死にそうになったら回復魔法で回復させるから」


「知ってる? それって生き地獄っていうんだぜ」

暴れて少し感情の整理がついたか、未来の動きが止まった。


「こんなことしても不毛だわね。まずは怪人を倒さないと・・・”転生”!」

彼女はもう一度、切り札を発動させた。


三度、彼女の姿が変わる。


三角帽子にローブ。手には杖をもっていた。

どうみても魔法使いだ。


考えたな! 接近戦になればあの昆虫特有の手足の多さが厄介だが、魔法は遠距離攻撃だ。

遠距離攻撃なら問題ない。


「いくわよ。大気中の魔素を私に全集中させた大魔法を見せてあげるわ」

彼女はそういうと魔法の詠唱を開始した。


「太古より世界の根源に在りし炎よ、天地開闢の折より燃え続ける原初の焔よ、東の果てより昇る朝日のごとく、西の彼方に沈む夕日のごとく、赤く、熱く、猛々しく、すべてを照らし、すべてを焼き尽くす者よ。汝が内に秘めし灼熱を解き放ち、我が魔力を糧としてその姿を現せ」

おお、なんか本格的だな。


「炎よ、火よ、焔よ、紅蓮よ、灼熱よ、煉獄よ、業火よ」

まだ、続くのか・・・


「火炎の精霊よ、火炎の大精霊よ、上位火炎精霊よ、古き火炎の大精霊よ」

なんか細分化し始めたぞ。


「赤き炎よ、朱き炎よ、紅き炎よ、緋き炎よ、茜色の炎よ」

色分けされてきたよ。


「燃え盛る炎よ、燃え上がる炎よ、燃え続ける炎よ!」

全部、同じだよね。それ。


「ファイア!」

彼女は魔法を唱えた。


?


??


???


何もおこりませんが?


「しまったー。地球じゃ魔素がないからつかえない!」

あーもう。魔素って言ったあたりから、そうじゃないかなと思ってたけどやっぱりそうか。


「ええい! もう一度」

彼女は四度目の切り札を行使する。


「あっ。ちょ、ちょっと待ってください」


怪人が待ったをかけた。


「なによ」


未来が噛みつきそうな目で怪人を睨む。

うまくいってないためか機嫌がすこぶる悪い。


「大丈夫ですか?」


「だから何がよ?」


「あなたの使ってるのは”転生”ですよね」


「そうよ。それがどうかしたの」


「転生ってことは、生まれ変わってるんですよね」


「それがどうしたの?」


「つまり死んじゃってるんですよね」


「・・・・」


「しかも、3度も。それって苦しくないんですか? 大丈夫なんですか?」


「苦しくないわけないじゃない! しかも転生後って赤ちゃんなのよ。それから、見たこともない異世界で人生が始まって、その人生をやり直して。あんた達からすると一瞬にみえるかも知れないけど、私がこの場所にもどってくるまでにどれだけの人生を過ごしたかわかる? それが、ここに戻ってきたら一瞬でパーになるのよ。大丈夫なわけないじゃない!」

未来は一気にまくしたてた。


そうだよな。


死ぬのは苦しいだろうし、その後、人生を過ごした成果を得て、この場所にきたら、怪人は倒せずというのならやってられないよな。

俺は未来に同情した。


「そうですよね。私はあなたの苦しみがよくわかります」


「あんたに何がわかるっていうのよ」


「私はあなたですから」


「え?」


「私はあなたが転生した姿なんです」


「ええ?」


「あなたは何度目かの転生を行い、そこで生物と生物の融合技術が進んでいる異世界に転生します。そこである生物と融合します。それが私なのです」


「まさか」


俺と未来は顔をあわせる。


「ここで質問です。こんな姿になりたいですか?」

怪人が聞いてきた。


改めて怪人を見る。


黒光りするボディ。

四対の腕。

もう人間やめてるよね。


「絶対ヤダ」

未来が答えた。


「それならもう転生はやめてください。いいですね」

未来が頷く。


それと同時に怪人の姿が薄くなっていく。

「どうやら、私のような融合体になる未来は消滅するようです。いいですか。決してその切り札をつかってはいけませんよ」


「あ・・・待って、あなたは何と融合したの?」


「それは・・・」

そこで怪人は消滅した。


彼女は放心している。


無理もない。


怪人の正体が転生した自分だったのだから。











俺は別な日に彼女に尋ねた。


「最後の質問はなに?」


「え、だって気になるじゃない」


「カブトムシの怪人だから。カブトムシだろ?」


「あのスピード見た? カブトムシってあんなカサカサ、猛スピードで動かないって!」


「じゃあ、あれは……」


「……」


「……」


「知らない」


「え?」


「私も知らない」


「お前の未来だろ?」


「だから知らないって」


「いやいやいや。お前が転生して、何かと融合したんだろ?」


「そうみたいね」


「じゃあ何と融合したんだよ」


「知らないわよ。まだ、そういう転生してないもの」


「そうか、あれは未来の未来か」


「ややこしい。それにね。怪人になってる自分を見て、そんな余裕あると思う?」


「……ないな」


「でしょ?」


「じゃあ、あいつの正体は永遠に謎か」


「そうね」


俺たちは黙り込んだ。


「……ところでさ」


「なに?」


「次に転生するとき、ちゃんとメモ持っていったほうがいいんじゃないか?」


「そうね」


未来は真剣な顔で頷いた。


「『私は何と融合しましたか?』って書いておくことにする」


「そこじゃねぇだろ!」


「じゃあ何よ?」


「転生するなよ!」

Xを見てたら、書きたいものと転生を混ぜたらいいという話題が多かったので、ヒーロー×転生で混ぜてみました。


こんなんでよろしかったでしょうか?


……違う?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。