第6話 聖獣サンティ
緊張感で部屋の中に浮いている埃さえ棘のように肌に刺さる感覚を覚えながら、ミディエが扉を睨んでいると、予想外にもその扉が開かれる、あるいは蹴破られる前に落ち着いた速度で軽く複数回叩かれた。
「ミディエ・ヴェントス。スタークだ。改めて話がある」
予想していた人物の、予想外の行動に、ミディエとサンティは顔を見合わせた。
「話って、一体何を?」
ミディエは涙を拭いながら扉の前に移動した。
「組合に侵入した者のことだ。それからお嬢さんの忘れ物も届けにきた」
忘れ物と聞いて、ミディエは左耳に触れた。幼い頃から身に付けていたフォッシリア。そのフォッシリアには多くの力があった。とは言っても、単体で発揮される力ではない。他のフォッシリアを検分するときに主にその力を発揮する。
対象のフォッシリアが起動、使用者と繋がった状態にあれば、その力の大まかな性質、力の寿命、過去に刻まれたフォッシリアの持つ記憶。そういったフォッシリアの全てを読み取る力がその忘れ物にはある。ミディエ以外には繋がらないその青いフォッシリアの力もあって、ミディエは若くして組合の中でも重要な役割を担っていた。
その青いフォッシリアを、スタークはオルビスと呼んでいた。
思い返せば、今テーブルの上で光を放っているフォッシリアの検分をするため組合から出たのが過ちだった。そう後悔したミディエは、今目の前の扉を開くべきか今一度考えた。扉一枚を隔てた所にいるスタークは、組合の外でテーブルの上で光るフォッシリアを手に入れようと剣まで抜いていた。
「警戒しているのは理解できんでもないが、あまり時間はないぞ」
ミディエがどうすべきか答えを出せずにいると、サンティがミディエの肩に乗り、スタークに向けて問いかけた。
「スターク、貴様の目的が話すだけなどということはあるまい。その後に何を望む?」
ミディエはサンティの口調に目を見開いたが、すぐに「ふむ」と声がした扉の向こうに再び意識を向けた。
「サンティはよく知っているだろう。二年前のことだ。先代のサンクテクォが初めて寿命以外で命を落とした。そして、永らくシェニムの地に封印されていた物が失われた。今日組合に現れたのは、その賊だ。幼きサンクテクォ、サンティよ。お前も組合が狙われるかもしれないと考えてあの場にいたのではないのか?」
「その質問に答える気はない。時間もないのだろう? まだこっちの質問に答えてもらってもいない」
「そうかい。わかったよ。君たちの助けが欲しい。簡単に言えばそれだけだ。情けない話だが、今の段階では手詰まりでね。再び賊が自分から外に出てどこかで暴れてもらわないと捜し出せん。だが、ミディエ。貴女のオルビスの力があれば方法もある。しかも貴女は検石者だ。幼体とはいえ聖獣もいる。それも人間の言葉を解するようになった聖獣が」
ミディエは若くとも子供ではない。一人前とは言い難い部分もあるが、充分責任を果たせる大人だ。そのミディエには、スタークが嘘をついているようにも、自分たちを利用しようと企てているようにも聞こえなかった。「サンティはどう思う」という質問を瞳にのせて肩の上のサンティを見ると、サンティは頷いた。
「わかった。とりあえず話を聞く。扉を開けるけど、変なことしたらすぐに蹴り出すんだから」
扉の向こうでスタークはミディエの言葉に笑いもせず、ただ「では頼む」と言って一歩下がる気配がした。
ミディエが扉を開けると、王というよりも騎士という言葉が似合うスタークの姿があった。組合の前の薄暗い中で見たときには気づかなかったが、スタークの瞳も、ミディエ同様に色素が濃い。黒に近い茶色だ。ミディエは自分以外で色素の濃い瞳を持つ者を見たのは二度目だった。そのミディエの目を見て、スタークがニッと笑みを浮かべた。
「まずはこれを渡しておこう」
スタークは懐から革袋を取り出すと、ミディエの目前に掲げて、顎を突き出した。「手を出せ」と言っているのだと理解したミディエが広げた手のひらの上に青いフォッシリアが転がった。
「ミディエ・ヴェントス。それをなんだと思っていた?」
ミディエはスタークに「質問の多い男だ」と思いながら、それでも思わず正直に答えてしまうのは彼が持つ王の威厳というものなのかも知れないなどと考えながら口を開いた。
「バライデスのフォッシリア。フォッシリアがどんな力を持っているか調べることができる。でも、貴方はこれを『オルビス』と呼んだ。オルビスっていうのもバルバリと関係があるのね?」
「ほう、私が来る前にサンティからいくらか話を聞いたと見える。まあその通りだが、それだけでもない。オルビスだけでなく、全てのフォッシリアもバルバリの民によって作られた。オルビスはフォッシリアの一部と言えるが、この世に八個しかない特別な物だ」
そう言い終えたスタークが、ミディエから視線を外してその奥にあるテーブルの上で光るフォッシリアを睨んだ。
その視線の鋭さに、思わずミディエはスタークとテーブルの間に立って視線を遮った。それでもスタークは動くこともなくミディエの身体を透過してフォッシリアを見つめているような目をしていた。
「そのオルビスであのフォッシリアの力を見てみろ」
ミディエは命令されているという自覚を持つこともなく、スタークの言葉に従った。バライデスのフォッシリア、いや、オルビスを左耳に付け、テーブルの上で輝くフォッシリアを手に持ち、額に触れさせた。目を閉じたミディエの瞼の裏に、フォッシリアの記憶が次々に映し出された。
人々が、生きて歩いている人々が、光の粒となって空気に溶けている。多くのフォッシリアも同じように溶けている。いや、フィクスムの光の一部となっているようでもある。
「これは、一体?」
一体なんなのか。ミディエが初めて見る力、光景だった。
「回帰のフォッシリア、だろうね」
ミディエの意識を通じて同じ光景を見たサンティが言った。
「やはりな。フォッシリアやノヴィネスたちを元素に還すフォッシリアだ」
首を傾げたミディエに、サンティが「ノヴィネスはバルバリの民が作り出した人間のことだよ」と囁いた。続けてミディエが「元素って?」とわずかな胸騒ぎを奥に抱えながら訊くと、その答えはスタークから嫌味を付け足されて返された。
「組合っていうのもいい加減な組織だな。フォッシリアがなぜ生まれたのか、どうやって作られたのかも知らぬとは。その分じゃ、フォッシリアが砕ける原因も知らなそうだ」
スタークのいう通りで、何も知らないミディエはただ唇を噛み締めていた。
「世界を闇に包んだ元凶。その元凶をフィクスムの光から取り出した元素を使い封じ込めたのがフォッシリア」
再び「元素」という言葉を聞いた瞬間、ミディエの頭の中を、聞いたこともないはずの言葉が奇妙な速さで駆け抜けた。分子。原子。結合。意味の分からないその単語たちに、度々見る夢と同じような既視感があった。
それを認知した瞬間、ミディエの頭の奥で、見たことのない白い部屋が一明滅した。規則正しい音。眩しく四角い光。誰かの声。
それが何なのか、ミディエには分からない。ただ、胸の奥では知っているというように温かい風が吹く。
「言い方が難しかったか?」
若干子供扱いされているようなスタークの気遣いに、ミディエは首を横に振った。
「いいえ、大丈夫。それじゃあ、フォッシリアを使ってしまったら、またこの世界が闇に戻るの?」
再び世界が闇に包まれてしまうのではないか。そう心配したミディエに、今度はサンティが「大丈夫」と頷いた。
「フォッシリアが砕けるのは、元素を使った穢れの中和作業が完了した証なんだ」
「穢れを中和。そっか。でも、あれ? じゃあこの回帰のフォッシリアは」
「元素と共に穢れもフォッシリアから解放されてしまう。だが、問題はそこではない。ノヴィネスも元素に還るということだ。穢れがどうとかいうのは些細なことだ。使用者の力によっては、この世界に住む何億というノヴィネスたちが、一瞬で元素に還る」
ミディエはその光景を想像して身震いした。
「だったら、余計に貴方には渡せない! こんな力を使わせるわけには」
「誰がそのフォッシリアの力を使うと言った。私は誰にもその力を使わせないよう砕こうとしただけだ」
ミディエはスタークにそう言われて、最初に組合の前でスタークに会った時のことを思い出していた。確かにフォッシリアを渡すようには言っていたが、繋がっていながら無理にその力を使おうとはしていなかった。いや、厳密には使えなかったのではないのか。ミディエがそれを確かめるべくスタークに聞いた。
「もしかして、このフォッシリアを使っていたら、組合の扉も元素に還して中に入れたんじゃ? それを私たちが邪魔をした?」
自らの腕を抱いて細かく震えているミディエを見て、スタークは声を落として「それは違う」と優しく言った。
「私も初めて繋がった力だ。その力を使ったとして、扉だけに効力を留められる保証はどこにもなかったからな。中にいる検石者たちにも影響を及ぼさないとも限らない。最も、今となってはその賭けに出ても良かったかもしれんと思っているが」
ミディエは改めてスタークを見つめた。スタークもその視線を真正面から受け止めている。
サンティに視線を向けたミディエに、サンティは無言で頷いた。
「わかった。ううん、まだ色々わからないことだらけだけど、少なくとも貴方が悪い人間じゃないってことは。そもそもあのヴェール=ヴィン・オーリンゲンの息子なんですもんね」
「親父のことは関係ないと思うが、まあ、話はわかってもらえたようで良かった」
「いや、だから話は全然わかってないってば。全然じゃないけど。だけど、貴方を手伝う。とにかく今は組合のみんなが心配」
サンティと二人頷き合う様子を見て、スタークも頷いた。
「ならば組合に向かうぞ。サンティは少し休んでいろ。まだ回復していないだろう」
スタークの言葉を聞いて、ミディエはハッとサンティを見た。ミディエには疲れている様子など微塵も見せなかったが、スタークにそう言われて舌を出して肩をすぼめている。確かに部屋に帰ってきてすぐのサンティは口も重く、疲れているようにも見えていた。
「サンティ、大丈夫?」
ミディエの心配そうな声に、サンティは苦笑して見せた。
「大丈夫、って言いたいけど、少しお腹が空いたかな」
果物を勧めても食べなかったサンティに何を与えたら良いのか。サンティに何が食べたいか聞こうとしたミディエより早く、スタークが回帰のフォッシリアをサンティの前に差し出した。
「これを元素に戻して吸収すればいい。この危険なフォッシリアが誰かの手に渡るかもしれんという心配もなくなるし、一石二鳥だ」
サンティがスタークに「ありがとう」と言い終わる頃には、スタークは扉に手を掛けていた。
「検石者のお嬢さん、急ぐぞ。聞きたい話があるなら、向かいながら話そう」
ミディエがヴォラのフォッシリアに触れているのを確認すると、スタークは先に飛び立った。
「お嬢さんじゃなくて、ミディエだって何度言えばわかるの? なんか王様ってヤダ。ねえ、サンティ」
そう言いながら表情を険しくしてスタークの後を追ったミディエに、サンティは小さく謝罪の言葉を繰り返していた。
ミディエの家を飛び立ってすぐ、スタークに並んだミディエはサンティについて聞いた。
「二年前、サンクテクォが寿命以外で命を落としたって言ってたよね。それって」
「想像通りだろう、殺された。いや、正確には死に追い込まれたと言った方がいいだろうな。幼体を発生させる猶予があったのだから」
「その幼体がサンティ。何か隠してるとは思っていたけど、聖獣だったなんて」
スタークはミディエが知っていることを含め、聖獣について語った。
「聖獣」という言葉を聞いた瞬間、ミディエの胸の奥に、もう一度だけ奇妙な感覚が走った。知らないはずの言葉なのに、ずっと昔から知っていたような感覚だった。
アリーチェ帝国の時代よりも古くから存在する聖獣。サンクテクォ、フィル、ポッシオ、ユーラン、ヴァッシュールの五体。フィクスムのエネルギーを直接生命の源とする、一世代一個体の生物。
生物として完璧な姿と力を有している聖獣たちは、それ以上の進化を必要としなくなった。生物である以上当然寿命はあるが、単為発生により種を維持している。
アリーチェ・デザータの一万分の一の国土しか持たないシェニム共和国が、その国を存続させ続けられているのは、五聖獣による庇護があるからに他ならない。だが、護られているといっても、聖獣たちが国の維持に直接手を貸しているわけではない。むしろその逆で、五聖獣を守るために、この世界全体がシェニム共和国を保護していると言った方が正しい。
シェニムは五聖獣のための土地であり、これまで文明とは切り離されていた。それはアリーチェ帝国の時代でも同じだった。その聖獣が人間の手によって死に追い込まれた。
「誰が、何のためにそんなことを」
ミディエは簡単に信じられなかった。それはミディエではなく、他の誰が聞いてもそうであろう。聖獣たちは、言わばこの世界の象徴だ。フィクスムからの生命の使者だ。
「先代のサンクテクォは、バルバリの民がノス・クオッドの叡智を封じる前、つまりオルビスやフォッシリアを創り出す前に封じられたある物を守っていた。シェニムの大樹と一緒に。しかし、シェニムの大樹は倒され、それを止めようとした先代も殺されてしまった」
「ある物って、随分ともったいぶるのね」
ミディエがスタークの表情を伺い見ながら言ったが、スタークの表情は変わらない。
「もったいぶっているわけではない。確証がないのだ。統べる者のオルビスとも伝わっているし、始祖の聖躯、キノニアと呼ばれるものだが、それそのものだとも伝わっている。そもそもシェニムにそれがあるということも定かではなかった。奴がなぜそれを知り得たのか」
「奴? スターク、貴方は誰がサンクテクォを殺したのか、組合に侵入したのか、それを知っているの? また確証がない、なんて言う?」
今度の質問にスタークは即答しなかった。表情もやや険しくしている。それでも黙ってミディエが待っていると、やがてスタークは口を開いた。組合へ続く洞窟が視界に入った頃に。
「私の剣を見て親父の名を出したお前だ。この名も聞いたことあるだろう」
洞窟の入り口に降り立ち、スタークはミディエの目を見ながらゆっくりと一人の男の名を口にした。
「エナ=ネオ・オ・バシリアス」
その名を聞いたミディエは、自分の口でも繰り返し名を発した。三度目を口にした時、ミディエの脳裏に一人の男の顔が浮かんだ。その時の表情の変化を見たスタークが頷く。
「オルビスと繋がり、十八の時に私は父と共にバルバリの国を出た。そして父と共にヴァーブラ公国の近衛騎士団に長く雇われていたが、騎士団内でバシリアスはヴァーブラ公国を治めるザックワーズ公の隠し子だと噂されていた。私が聞いた話では、ザックワーズ公がシェニムの巫女に産ませた子だということだ。だがそれはただの噂。いや、真実はどうでもいいな。経緯はどうであれ、奴は反逆の罪で公国を追われたことになっている。それが二年前だ。直後にシェニムに向かっているところを見ると、追放されたというより、シェニムに向かうため、自ら国を捨てたのだろう」
ミディエはバシリアスの名を知っていた。いや、知っていただけではない。家族と共にヴァーブラ公国を訪れたときに、短い時間ではあるが、会って言葉を交わしたこともある。まだ二人とも子供だった頃の話だ。ミディエはすぐにそれをスタークに打ち明けたが、スタークはその話に興味を示さなかった。
「オルビスはバルバリの民にしか繋がらない。仮にバシリアスが手にしたものが未知のオルビスだとしても、始祖の聖躯キノニアだとしても、ただのノヴィネスが無事で済んでいるとは思えん。実際に組合に現れたバシリアスは、人間とは呼べぬモノになっていたはずだ」
そんな人ならざる者が侵入した組合の人々も無事で済んでいるとは思えないミディエは先を行くスタークに遅れぬよう必死について行った。
――私は何と戦おうとしているの?
ミディエの脳裏にひとつの疑問が浮かび上がると、それは新たな疑問を生み出し、洞窟の闇と相まって視界と思考を遮っていった。
その闇の中を歩くミディエが、先を歩くスタークの背中にぶつかった。その瞬間に、スタークの背中を通して彼の緊張が伝わった。
「どうしたの?」
ミディエがスタークの背後から前方に目を向けた。松明が消え、闇が続く洞窟の先に、見慣れた青い光を発する二つの目が見えた。
「ピート! 無事だったの?」
スタークの横をすり抜け、ピートの方に駆け寄ろうとしたミディエの腕をスタークが掴んだ。
「待て、ミディエ! 様子がおかしい」
「え?」
ミディエはスタークの顔を見た後、もう一度前方に仁王立ちするピートの姿をよく見た。しかし、遠目に見たその姿は、かつての姿から何の変化も見られない。
「様子がおかしいって、どこが?」
スタークが前方に手をかざすと、指に嵌めているフォッシリアのひとつが赤く光り、ピートの近くにあるいくつかの松明が焚かれた。やはりそこに居るのはピートに違いない。だが、更に警戒するスタークに、ミディエも自信を失い始めた。
「来るぞ。ミディエは下がっていろ」
スタークはそう言うと、腰の剣を抜いて正面に構えた。直後に緑の風が剣を包み始める。その勢いはピートが近づくにつれ激しさを増した。ミディエは、剣に向かって流れる空気に逆らい、何とか風の影響のない位置まで下がった。
「――――!」
声とは思えぬ地鳴りのような叫びをあげ、ピートが突進してくる。スタークが気合と共に振り下ろした剣先から、ピートに向かって緑の渦が一直線に伸びていく。松明の炎を巻き込んで、黄色に変化した風がピートの胸にぶつかる寸前、ピートの腕の一振りで風は砕け散った。
「城壁にも穴を開ける風のはずだが。こいつは一体どうなっている」
ピートは突進の勢いを落とさず、両腕を振り上げてスタークに向かってくる。
「あの腕で殴られたら痛そうだな」
ピートの振り上げた拳はスタークの頭の倍はある。軽口を叩いたスタークは、左足を大きく踏み込んで、腰を落とした。左手一本で腰の位置に構えた剣の切っ先をピートに向け、地面と水平に保っている。
「折れるなよ」
スタークは呟いてから腹に力を込め、右の手のひらを柄頭に添えた。
「――――――!」
再び叫んだピートが、最後の一歩で低い天井ギリギリに飛び上がって、空気の唸る音を立てながら、拳をスターク目掛けて振り下ろした。
「むっ! 飛び上がるか?」
予想外の動きを見せたピートに、全体重を乗せて膝を突こうと構えた剣は目標を失った。急遽スタークは剣の柄を両手で握り直し、ピートの股から頭に向けて剣を振り上げた。
だが、ピートの硬い身体に剣はあっけなく弾かれた。
目の前に迫ってくる拳を、何とか地面を転がって避けたスタークだったが、体勢を立て直すと同時に舌を鳴らした。
「人形め。初めからこれが狙いだったわけではないだろうな」
ピートとスタークの位置が入れ替わり、ピートの目の前では、戦う術を持たないミディエが自分の肩を抱いて立ち尽くしていた。




