表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

毎日もらえる“ログインボーナス”。 それが現実世界で発生したら——? 外れ扱いの能力を持った高校生が、ゆるく世界を救っていく…?!

ある日突然、現実に現れた“ログインボーナス”。


しかも手に入ったのは——石ころ。


……なのに、世界はそれで壊れ始めた。


短編なのでサクッと読めます。ぜひ最後までどうぞ。


第一話

朝起きたら、視界の端に見慣れないウィンドウが浮かんでいた。

『ログインボーナスを受け取りますか?』

「……は?」

 寝ぼけてるのかと思って、頬をつねる。普通に痛い。

 ウィンドウは消えない。むしろ、ちょっとキラキラして腹が立つ。

 とりあえずタップする仕草をすると、ウィンドウが弾けた。

『本日のログインボーナス:石ころ ×1』

「いらなすぎるだろ!」

 思わず声が出た。同時に、手のひらに“コツン”と軽い感触。

 本当に石ころが現れた。

「……マジかよ」

 これが夢じゃないなら、やばい。

 いや、やばいけど——しょぼい。

 その日、学校に行っても頭の中はそれでいっぱいだった。

 もしこれが毎日続くなら? 石ころじゃなくて、もっとすごいものが出たら?

 帰り道。空が妙に赤かった。

 嫌な予感って、だいたい当たる。

 駅前のスクランブル交差点で、人がざわついていた。

 見上げると、空に“裂け目”みたいなものがある。

「なんだよ、あれ……」

 次の瞬間、そこから“何か”が落ちてきた。

 黒い影。四足。やけにでかい。

 地面に叩きつけられて、アスファルトがひび割れ

 悲鳴。パニック。スマホを構えるやつ。逃げるやつ。固まるやつ。

 俺は——なぜか、ポケットの中の石ころを握っていた。

「いや、これでどうしろってんだよ……!」

 影はゆっくりと顔を上げた。目が光る。

 完全に“人間の敵です”って顔してる。

 そのとき、またウィンドウが出た。

『ログインボーナスの使用を確認:石ころ ×1』

「使用……?」

 ダメ元で、投げた。

 コツン。

 当たった。

 そして——

 “ズドンッ!!”

 ありえない衝撃音と一緒に、影の体が吹き飛んだ。

「……え?」

 静まり返る交差点。

 黒い影は、ピクリとも動かない。

 ウィンドウが、やけに楽しそうに光る。

『クリティカルヒット!』

「いや聞いてないって!」

 石ころ一個で、化け物が倒れるとか、どんなバランスだよ。

 でも、これで分かった。

 この世界はもう、普通じゃない。

 そして——

 俺のログインボーナスは、たぶん“外れじゃない”


第二話「石ころはチートでした」

 交差点は、まだ静まり返っていた。

 さっきまで騒いでた人たちも、今は誰も声を出さない。

 ただ一斉に、俺と——倒れた“あれ”を見ている。

「……俺、やばくね?」

 小声でつぶやく。

 いやほんとに。いろんな意味で。

 警察とか来たらどうする?

 説明できる? 無理だろ。

 そのとき、またウィンドウが出た。

『討伐報酬を受け取りますか?』

「え、なにそれ」

 反射的に“はい”を選ぶ。

『報酬:小さな光の欠片 ×1』

 今度は石ころじゃなかった。

 手のひらに、ほんのり温かい光の粒が浮かぶ。

 ビー玉より小さいくらいのそれは、ゆっくりと俺の中に溶け込んだ。

「うおっ!?」

 一瞬だけ、体が軽くなった気がした。

『ステータスが微増しました』

「ステータスって何!?」

 ツッコミが追いつかない。

 そのとき、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。

 赤色灯が近づいてくる。

「……やばい、逃げよ」

 俺は人混みに紛れて、その場を離れた。

 家に帰って、ドアを閉めた瞬間。

「はあああああ……」

 一気に力が抜けた。

 ベッドに倒れ込む。

「なんなんだよ、今日……」

 スマホを見る。SNSは大騒ぎだった。

『謎の怪物出現』

『高校生っぽい人が一撃で倒した?』

『CGじゃないの?』

「バレてるくね……?」

 いや、“っぽい”だからセーフか?

 顔までは映ってないっぽい。たぶん。

 安心したのも束の間、またあのウィンドウ。

『本日のミッションを確認しますか?』

「ミッションまであるのかよ……」

 半分やけで開く。

『ミッション:モンスターを1体討伐せよ

 報酬:ログインボーナス強化』

「……強化?」

 ログインボーナスが、さらに良くなるってことか?

 でも——

「もうモンスターとか出てくんなよ……」

 そう思った瞬間。

 ドンッ、と遠くで何かが崩れる音がした。

 嫌な予感しかしない。

 窓を開けると、夜の街の向こう。

 また、空が歪んでいた。

「……マジかよ」

 スマホが震える。

 通知:『未確認生物、各地に出現中』

「……行くしかない、のか?」

 正直、めちゃくちゃ怖い。

 でも——

 あのときの“感触”が、頭から離れない。

 石ころ一つで、あれを倒した感覚。

 それに、ちょっとだけ思ってしまった。

「……俺、強くなれるんじゃね?」

 自分でもびっくりするくらい、単純な理由だった。

 でも、それでいい気がした。

 俺はポケットに手を入れる。

 もちろん、もう石ころはない。

 だから——

「明日のログインボーナス、頼むぞ」

 そうつぶやいて、夜の街へ走り出した。


第3話「ログインボーナスの正体」

 夜の街は、さっきまでの日常とは別物だった。

 遠くで何かが壊れる音。

 悲鳴。サイレン。

「ほんとに出てんのかよ……」

 角を曲がった瞬間、それはいた。

 今度は昼のやつより小さい。

 犬くらいのサイズ。でも、目が赤く光ってる時点でアウト。

「……来るか」

 じり、と距離を詰めてくる。

 俺は何も持ってない。

 石ころもない。武器もない。

「詰んだ?」

 そう思った、そのとき。

『特別ボーナスを支給します』

 ウィンドウが弾ける。

『石ころ ×3』

「増えとる!?」

 手の中に、さっきより少し重い石が現れる。

「……いけるか?」

 一匹が飛びかかってきた。

 俺は、とっさに投げる。

 コツン。

 次の瞬間。

 “ドゴンッ!!”

 一匹が吹き飛び、壁にめり込んだ。

「やっぱ強い!」

 残り二匹。

 怖いけど、もう逃げる理由はなかった。

「来いよ!」

 二発目。三発目。

 連続で命中。

 全部、同じように吹き飛んだ。

 静寂。

「……終わり、か?」

『ミッション達成』

 ウィンドウが、今までで一番強く光る。

『ログインボーナスが進化しました』

「進化……?」

 次に表示された文字を見て、息が止まった。

『ログインボーナス:現実改変(小)』

「は?」

 石ころじゃ、ない。

 説明が続く。

『1日1回、任意の“些細な結果”を現実に発生させることができる』

「……つまり?」

 石ころが強かった理由が、ようやく分かった。

 あれは“たまたま当たった”んじゃない。

 “当たる結果にした”んだ。

「……チートすぎだろ」

 そのとき、空が大きく裂けた。

 今までで一番、でかい。

 そこから現れたのは——

 昼のやつより、何倍も大きい“本物”。

「……ラスボス感すごいな」

 足が震える。

 でも、逃げたら終わる気がした。

 ウィンドウが、静かに浮かぶ。

『本日のログインボーナスを使用しますか?』

 俺は、少しだけ考えて——

「……やるしかねえだろ」

 “はい”を選んだ。


最終話「ログアウトのない世界で」

 巨大な影が、ゆっくりとこちらを見る。

 圧だけで、体が動かなくなりそうだ。

「……落ち着け」

 使えるのは、1日1回。

 失敗したら、終わり。

 “些細な結果”しか変えられない。

「些細、些細……」

 石ころのときは——当たった。

 それだけだ。

 なら。

「……これでいい」

 俺は、目の前の化け物を見据えて、呟いた。

「“あれが、たまたま転んで隙を見せる”」

 それくらいなら、“些細”だろ。

 一瞬の沈黙。

 そして——

 ドンッ!!

 巨体が、バランスを崩した。

「今だ!」

 近くにあった、適当な破片を掴む。

 ただのコンクリートのかけら。

「当たれ!」

 投げる。

 コツン。

 でも——

 “ズガアアアアアッ!!”

 とんでもない衝撃で、巨体が吹き飛んだ。

 地面を削りながら、動かなくなる。

 しばらくして。

 完全に静かになった。

「……勝った、のか?」

『討伐完了』

 ウィンドウが、最後に表示される。

『チュートリアル終了』

「チュートリアル!?」

 思わず叫ぶ。

 すると、続きが出た。

『この世界は、段階的に変化していきます

 引き続き、生存をお楽しみください』

「お楽しみって……」

 思わず笑ってしまった。

 とんでもない状況のはずなのに。

 でも、不思議と——

 悪くない、と思った。

 空の裂け目は、まだ消えていない。

 たぶん、これからも色々起きる。

 でも。

「ログアウトは、できないんだろ?」

 ウィンドウは答えない。

 ただ、次の日の表示だけが静かに出る。

『次回ログインボーナスまで:23:59:59』

「……毎日かよ」

 ため息をついて、空を見上げる。

 怖さもある。

 でも、それ以上に。

「……まあ、やるしかないか」

 少しだけ、ワクワクしていた。

 ログインボーナスで生きる世界なんて、聞いたことない。

 でも——

 だからこそ、面白い。

 俺は歩き出す。

 終わりじゃない、始まりのほうへ。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


はじめて「小説家になろう」に投稿した作品なので、少しでも楽しんでもらえていたらめちゃくちゃ嬉しいです。


今回の話は「もしログインボーナスが現実にあったら?」という軽いノリから考えました。

石ころが実はチートだった、というギャップを楽しんでもらえていたら最高です。


短くサクッと読めるように、テンポ重視で書いてみましたがどうだったでしょうか?


もし少しでも「続きが気になる」「面白かった」と思っていただけたら、

ブックマークや評価、感想などいただけると今後の励みになります!


また別の作品や、もしかしたらこの話の続きも書くかもしれませんので、

そのときはぜひよろしくお願いします!


本当にありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ