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一歩踏み出す

作者: つばさ
掲載日:2025/12/17

 残業して、へとへとになって、......なんのために? 誰のためにこんなことになってんだろう。昔は、もっと未来に希望を持ってたのに。歌手になって、スポットライトに立つ夢は消え去って、現実は社会の歯車になって消耗する毎日だ。いや、歯車ですらない。今の私は、意味のない仕事をして、役立ってるフリして、金を奪い取る詐欺師だ。

 もう、疲れた。疲れて、疲れて、疲れ果てた。残業終わり、エレベーター、上のボタンを押す。屋上の扉はしまっていた。なんだよ、外の空気すら吸えないってか。

 諦めてエレベーターの下のボタンを押す。電車に乗る気も起きなくて、フラフラと歩く。ああ、百貨店の屋上は絶対空いてるな。思い立って、180度方向転換。エレベーター、上のボタン。カップルなど、人はまばらにいるが、こんな暗い顔でここにいるやつは私以外いないようだ。

 いや、彼らのように、私も明るい未来があったはず。柵にもたれかかって、イヤホンを取り出す。今なら、周りの雰囲気を借りて昔を思い出せるかも。黒歴史だった昔の録音を再生する。

 下手くそなギターだ。ドラムもベースもやかましい。私も歌い出しから音を外してる。でも、本気で上を目指してた。輝けるって信じてた。サビ前、いつもここで震える、心臓が震える、今、今って体が叫んでいる。

 あ、今なら私、なんでもできる気がする。

 仕事がなんだってんだ。もうなんだっていい。私は大声で歌い出す。はは、私は今、無敵だ。スポットライトが当たらなければ、無理やり私がスポットライトに当たりにいけばよかったんだ。

 今なら、なんだってできる。そうでしょう? 誰だって、輝ける、そうでしょう? 私はそのまま、一歩を踏み出した。

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