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#7 「やるべきこと」

「このままだと、学校側からそれなりの対応をしなければいけなくなりますよ」


彼女、永井 ユミは、そう言うと、掲げていた紙を折り目に合わせて畳み、封筒とともにレイナへと手渡した。

レイナは、受け取ったものの、状況が掴めないといった表情をしている。


「……とにかく、詳しい事はまた明日、放課後に生徒会室にいらしてください。」


----------


「───と、言うわけで来てもらった訳ですが、状況はつかめていますか?」


レイナの目の前に座った男が口を開く。

座っているとはいえ、体のバランスから、かなり長身で、スタイルがよく見える。

黒の中にカラフルな色の混じった艶のある髪。

その隙間から、仏のような微笑みの目が覗いていた。


-----


……いや、こんなことなるなんて聞いてないんですけど!?

申請って何よ。

こっちはついこの前わけわからん証幻(チカラ)出てきたところなんですけど!!

とにかく、書類だけではハッキリしない所もある。

目の前の男―——『羽柴 ツカサ』と名乗った彼は、この高校の生徒会長らしい。

たしか、そんな名前を聞いたことがあるような...ないような...

彼は、疑問を投げかけると、驚く仕草一つ見せずに答えてくれた。


「ふむ......それもそうですね。 説明不足でした。 では.........」


彼が言うには、『証幻症状』や『魔法』などという、いわゆる特殊能力というものは、周知のとおり危険が多い。

周囲に被害が及んだり、人間を死に至らしめるなど、造作もないモノがゴロゴロとある。

そして、その使用者の多くは学生などの若い世代。

現在の司法では、未知のモノということも相まり、対応がまともに間に合っておらず、ケースバイケースで対応するしかない。

つまり、危険であるのにも関わらず、法の抜け目をついているに等しい。

ということらしい。

だから、生徒1人1人の能力を把握し、拘束力を設け、いざという時の対応をスムーズに行うためにも、申請が必要なのだとか。


なるほど。


-----


「まぁ.........朱坂さんの場合は、証幻の発現が最近という調査結果も出ていますので、追加申請をしていただければ、それで構いません。 しかし───」


「しかし?」


レイナはそう聞き返す。

少し間をおいて、ツカサは口を開いた。


「昨今、怪異の討伐事案を多く聞くようになりました。 あなた方の仕業、だとも。 正直、怪異の存在は脅威ですが、その対処に、転校したて、しかも、証幻が発現してばかりの生徒を向かわせるのはもっと問題です。 私たちとしては、その活動を容認することはできません。」


前髪に隠れた瞼の下から、銀色の瞳がまっすぐとレイナを見つめている。

微笑みの表情をしているが、その目には、何か圧のようなモノを感じさせる。

本当に怒らせてはいけない人というのは、こういう者を言うのだろう。


「だったらさ………会長さんが直々に許可してくれればいいじゃん?」


彼女は物怖じせずに堂々と言った。

ゆっくりと机に置かれた片手に重心を寄せ、会長の目元へと近づく。


「………そうそう、軽く通ることとお思いで?」


「ちぇっ……やっぱ無理かぁ……」


「さぁ、こちらに記入を。」


会長はデスクに置かれたファイルから1枚の紙を取り出し、ボールペンを差し出してそう言った。

渡されたB5ほどの紙には、【所持特殊能力申請書】という文字列が目を引く。

レイナはペンを手に取り、欄に記入を始める。

全ての記入が終わったのは、17:00を過ぎた頃だった。

これは記入箇所が多いなどというわけではなく、単に彼女が名称決めにてこずったが故の結果だった。

その間、ずっとその様子を見ていた会長は、今ではやっとかと言わんばかりにも感じる。


「では、受理いたします。今後は危険な行為を起こさないようにお願いしますね」


書類を受け取った会長はそう言った。

それに対し、レイナはデスクに両手を付け、会長の目の前まで顔を近づけて言った。


「......アタシがやめると思う?」


一種の挑発ともいえようその発言に、会長は一瞬揺れた気がした。

レイナはすぐに体を起こし、扉へと歩きだした。


「それは、規則を破り、秩序を乱すことを宣言した、ということですか?」


会長が目を見開き、訪ねる。


「さぁ? それはどうだろ?」


レイナは、そう返すと、生徒会質を後にした。

まるで台風が過ぎ去ったような、妙な違和感が場を包む。


「……よろしいのですか? 放っておいて………」


会長の背後から、1人の生徒が声をかける。

黒髪の彼は、おそらく生徒会の役員の1人であり、会長の側近なのだろう。


「………良い訳がないでしょう。」


「それなら……! 教員と学校役員に送検し、対応を……!」


そう言いかけた側近を静止し、会長は話し出す。


「勢いと力とは、恐ろしい物です。下手に手は出せないでしょう。」


「だったら…どうすれば……?」


「……秘密裏に、まずは削る必要があります。そのためにも、使えるものを総動員します。」


会長は、デスクに腕を置き、そう答えた。

落ち着いた様子で、側近達に指示を出す。

側近達は、生徒会室を後にした。


「全ては、この学校の秩序のため………」


----------


「あっきたきた〜!」


「ゴメゴメ〜!! なんか色々ややこしくてさ〜」


昇降口の壁にもたれていたコムギとユカリに、レイナが駆け寄る。


「……で? 生徒会長に呼び出しなんて、何言われたのさ問題児さん?」


コムギがレイナの肩に腕をかけて尋ねる。

彼女の笑顔が、夕日の逆光に照らされる。


「ん〜なんか色々!」


「誤魔化すなー」


-----------


「そうですか。お疲れ様でした。」


生徒会長が、耳に当てたスマホに話す。

電話の向こうから、中性的な声で返事が返ってくる。


『完全に消滅しましたし、再生の可能性はないでしょう。まぁ、その時はまた対処するしかないですが』


「感謝します。もう、通常活動に戻っていただいて構いませんよ。」


『えぇ……というか、定時まであと少しですがね……』


ため息混じりの声が返る。

電話越しの相手は、定時ギリギリまでの業務に不満げなようだ。


「…というか、会長さん。アナタが言ってた要監視対象、さっき見ましたよ?中々わかりやすいですね、あの赤髪」


会長の電話相手は、校舎の影から、レイナ達を見下ろしていた。

右耳にスマホの上部を当て、伸びた銀の長髪を左の指でいじりながら話していた。


『そうですか、その子には注意しておいてください。何をしだすか、わかったものじゃない』


電話越しに、呆れたような生徒会長の声が聞こえてくる。

よっぽど掻き回されたのだろう。


「まったく……こっちも暇じゃ無いんですからね? たまたま猶予があるだけで、大事な時期なんですから」


数回の会話の後、2人は電話を切った。

スマホをしまい、後ろにいる、肩ほどまでの青髪の女性に声をかける。

2人の制服には、襟元に緑のラインがある。

これは、この学校では3年生であることを示す。


「帰って良いってさ」


「そりゃもう17:00だしやっとだよ」


銀髪の声に、青髪が答える。

あたりには、紫の飛沫が散乱しており、段々とその液体が気化したように消滅していく。


「怪異の血?って、勝手に消えるとこが良いよね。変に掃除しなくて良いし」


「ここまで数が多いと、全部倒すのにも時間かかるわ〜」


2人は歩きながら、思い出したかのように話を始める。

それは、あの彼女のことだった。


「ボク的には別に良いんだけどね、何をどう自由にやってくれても。ただ会長がああ言うとねぇ……」


銀髪の、ため息をついた話に、青髪はこう返す。


「あの子、発展途上だけど結構強いんでしょ? どんなモノか見てみたいけど……流石にバトルことはないよねぇ…?」


「さぁね、会長が言えば? でも、あの人はそこまで交戦的じゃない。手を出さないで済むなら、それに越したことはないしさ」


そんな話を続ける2人は、17:00の放送と共に、暮れなずむ方へと消えていった。

彼女たちがレイナと出会うのは、いつになるだろうか。


おっっっそくなりました……!!!

忘れていた人も多いだろう久々の更新ですよ。


別の活動をしたり、リアルが忙しかったり、アイデアが出なかったりと、ズルズルと引き伸ばしてしまいやした。

連載してる人ってホントにすごいっすね。


今後とも不定期ですが、ストーリーと同時進行でキャラなイメージイラストなんて出せたら楽しいんじゃ無いかと画策しております。

どこに挙げるかも未定ですが……(Twitter?pixiv?みてみん?)

決まり次第ですね、コレばっかりは。

こーいうので二次創作やらイラストなんて来たり…などという皮算用ですよ()

まぁそーいうのの架け橋としていきたいですな。


間は長いですが、失踪はしないつもりです!!

書く!書ききる!つもり!!

温かい目で見守っていただけると幸いです。

それじゃ、次回もお楽しみに!!!

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