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家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~   作者: 青佐厘音


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25 便利グッズともふもふ白い犬みたいなソラ


 パーティーのメンバーが揃ったので、それぞれ旅の準備をすることにした。

 

  「あまり荷物は多くない方がいいよね? お兄ちゃん」

 愛里に聞かれて俺は少し考えた。そんなに長く旅に行ったことがないし、男と女の子では荷物の量が違う。

 「そうだな……。うーん」

「荷物は空間魔法を応用した、便利カバンがあるので好きなだけお持ちになると良いですよ」

悩んでいたらサラサさんが教えてくれた。

 「え? 便利カバン?」

 聞いたことも、見たこともなかったのでサラサさんに聞き返した。


 「これですよ」

 サラサさんがトン! とテーブルの上に、布の素材の斜め掛けカバンを置いた。フタを開けると、中は真っ白な空間になっていて底が見えなかった。

 「お兄ちゃん。これって……、アイテムボックス じゃない?」

 愛里がハッと気がついて俺に言った。なるほど……便利カバンか。俺達の元の世界で言うアイテムボックスか。

 「だな。本当に実在するとは驚く」

「ね!」

 俺達、兄妹はまじまじと便利カバンを見ていた。

「何でも入りますが、生きたものを入れるのは禁止されています。注意して下さいね」

 「「はい」」

 サラサさんに言われて俺と愛里は返事をした。何でも入るなんて便利だ。


 「荷物が多いから良かった」

 愛里はホッとしたようだった。……そうだよな。異世界。俺達は魔獣などいない、安全な世界から来た。色々な役立つものを持っていきたい。

 「野営をする場合でも、十分な準備をしますので安心してください」

「任せとけ」

 サラサさんとジョーさん、頼もしい。王族のアリシア姫様も一緒だから、地べたに眠る事なんてさせないだろう。愛里の事を心配していたけど大丈夫そうで良かった。


 「各自、便利カバンを所持してもらいます。形状は本人の希望を聞きますので、教えてください」

 「「はい」」

「俺は持っているから、いい」と、ジョーさんは答えた。


 「姫様はこの後、公務が御座います。一度、私室に戻られて下さい」

サラサさんが、静かに説明を聞いていた姫様に話しかけた。

 「わかったわ。では皆さま、また」

 ニコッと微笑んで姫様は教会を後にした。忙しそうだ。

「私は姫様と一緒に行きます。すぐに連絡が取れるように、通信機をお渡ししますね」

 サラサさんが皆に渡したのは、耳につけるタイプの通信機だった。


 「可愛い」

愛里に渡されたのは、可愛い小花の飾りがたくさんついた耳に引っかけるタイプのイヤーカフの通信機だった。学校ではピアスを禁止しているのでちょうど良かった。

 ジョーさんには黒い小さなリングのピアス。すぐに耳にピアスをつけた。似合っていてカッコいい。

 「カッコいいですね」

「そうか? ありがとう」

ジョーさんは愛里に言われて照れ笑いした。

 

 「お兄ちゃんは、どんな形の通信機?」

愛里はアクセサリーが好きなので気になったのだろう。俺のもイヤーカフタイプの通信機だった。

 「みんな、形が違うね」

愛里はジッとみている。

俺の通信機は金の小さな()が三連になっていて、輪の四分の一位開いていて耳の張り出したところに引っかけるようだ。

 「皆、同じだったら通信機とバレるからだろう」

 ジョーさんは冷静に言った。なるほど……。


 俺に渡された通信機を見るとキラキラ光っている。これって本物の金……のような気がした。サラサさんから渡されたということは、お城からの支給品。偽物や質の悪い物ではないはず。……無くしたり壊さないようにしよう。

「じゃあ、準備のために自分の部屋に戻りますね」

 愛里が俺達に話しかけた。

 「わかった。また後で」


 俺も準備するか。そう思って帰ろうとした。

「旅へ出る前に、体術を教えてやる」

 「えっ?」

 俺はジョーさんに、みっちりと体術を習うことになった。

「よ、よろしくお願いします」

 

 

俺は次の日、ジョーさんに朝からみっちりと体術を習っていた。


  「もうちょっと腰を低く! 相手の懐に入るんだ!」

「はい!」

 剣を扱うにも基本的な体力や筋力がいる。習って体術を会得すれば、街であったような人相の悪い人達に絡まれても対処できるだろう。


 魔獣が襲ってきたならば剣で退治できるけど、人間相手に俺は手加減をうまくできない。体術をうまく使えば余裕ができる。ケガをさせたくない。

元の世界で殴り合いのケンカは、大きくなってからほぼやってないし。

「くっ!」

ジョーさんの顔に当てようとした(こぶし)が避けられて空を切る。


「本当にケンカに慣れてないんだな。まあ、運動神経は良さげだから大丈夫そうだがな」

 ジョーさんはニヤリと笑い、俺に言った。

「平和な場所から来たので」

 ジョーさんには違う世界から来たと話している。まあ元の世界にも戦争や争いはあるけど。


「休憩するか?」

汗をかいている俺を見てジョーさんは休憩をするか聞いてくれた。

「もう少し、お願いします!」

 気合を入れ直して、ジョーさんにお願いした。ジョーさんはほとんど汗をかいてなかった。

「いいぜ? かかってきな」

 手のひらを上に向けて、手招きした。



「ちょっと休憩になさいません?」

俺とジョーさんがガッチリ組みあっていた時に、アリシア姫様と愛里とサラサさんが飲み物を差し入れに来てくれた。

「あ――、ありがとう御座います! 喉が乾いた……」

「おし! 今日はこれで終わりにしよう!」


 かなり真面目に体術を教えてもらえたので、覚えられた。あとは実戦で体が動くか。これは経験を積まなければいけない。

「ジョーさん、ありがとう御座いました!」

 俺はジョーさんにタオルを渡しながらお礼を言った。


「いや、なかなか()()が良かった。あとは実戦でどれだけ動けるか、だな」

「はい」

 久しぶりに激しく運動したけど、すっきりした。


「レモン水を作ってきたから、飲んで下さいね」

愛里がジョーさんにレモン水を渡した。

「ありがとう」

ジョーさんは、ゴクゴクとレモン水を飲み干した。

「カケル様、あまり無理をなさらずに」

 アリシア姫様は俺にレモン水を渡してくれた。

「ありがとう、アリシア姫」


 乾いた喉にレモン水が、めちゃ美味しくてすぐに空っぽになった。

 今日のアリシア姫様の髪型は、髪を1つにまとめていて大人っぽい。公務後なのかな。

 

「わう!」

俺達がいる訓練所の端から、ソラが走って来るのが見えた。

「ソラ!」

 俺は両手を広げて、ソラが飛び込んで来るのを待った。ふわふわの白い毛の犬みたいなソラ。

 ピョン! と飛びついてきた。

「ソラ――!」

 勢いがあって俺はソラを抱きしめたまま、尻もちをついた。 


 ソラは騎士さん達に可愛がられていて、癒やしの存在になっているようだ。白い、もふもふ……。

 ソラは賢く、苦手な人や悪意のあるそうな人には近寄らないらしい。なので今のところ苦情はない。


「お散歩は終わったのか? ソラ」

「わふっ!」

 終わったらしい。ソラは人の言葉がわかるらしい。

「お兄ちゃん、私もソラちゃんを撫でたい!」

 たまらず愛里は俺に近づいてきた。ワシャワシャ撫でていたソラを離して、愛里に場所を譲った。


「ソラちゃん、可愛い〜!」

 愛里はソラの頭を撫でた。ニコニコと笑い、嬉しそうだ。

「あの、私と姫様も撫でてよろしいでしょうか?」

 サラサさんは俺に話しかけてきた。

「もちろん! ソラ、いいよな?」

「わふん!」

 返事をした。嬉しそうだ。


「いい子ですね」

 サラサさんもソラを慣れた手つきで撫でていた。

「生まれ育った家で、大型犬を飼ってました。懐かしいです」

 飼っていた大型犬を思い出したように、ソラの全身を撫でている。ソラも目をつぶり、気持ち良さそうにしていた。

 

「姫様もどうぞ」

黙って見ていたアリシア姫様は、おず……とソラへ遠慮がちに近寄った。

そっ……と、手をソラの頭に手を伸ばして撫でた。

「まあ、ふわふわの毛並み……!」

 優しく撫でるアリシア姫様は、年相応の可愛らしい表情を見せた。


「私はこんな大きなワンちゃんを撫でたのは初めて! なんてふわふわで可愛いのかしら……!」

 今にも抱きつきそうな感じだった。

「姫様、申し訳ないのですがまだドレスを着ていますので……」

高級な布のドレスにアクセサリー。さすがにサラサさんはソラに抱きつくのを止めた。


「そうね。残念だけれど、アクセサリーでソラちゃんを傷つけたら大変だわ」

 アリシア姫様はそう言い、ソラから名残惜しそうに離れた。


「そういえば、そろそろ出発しないとな」

ジョーさんは姫様達が撫で終わるのを待って、ソラに近づいた。

「よしよし……」

 ジョーさんはソラの頭を撫でた。

「ですね」


 これから魔獣を倒す旅に出る。

俺達が帰るために【魔獣石】を集めなければならない。それに魔王が復活する気配。アカツキも気になる。影で動き出した者達。


 愛里とアリシア姫様とサラサさんと、新たにパーティー加わったジョーさん。

「くぅ~ん」

「あ、ソラも一緒だよ!」

ペロリと頬を舐められた。


 どんな旅になるか未知数だけど、皆が一緒なら大丈夫。俺はウンディーネやサラマンダーも味方にした。

 きっと【魔獣石】を集められるだろう。

 

「では、よろしくお願いしますね。カケル様」

「こちらこそ、よろしく!」

俺は皆に握手しながら返事をした。

 

 


 


 

 

 

 

 

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