おまけ 姫様は顔に出さないけれど皆とパンケーキを食べたい
「えっ!? サラサさん。お兄ちゃんと一緒にカフェへ行って、パンケーキを食べたのですか?」
新しい仲間の顔合わせと今後について話し合いが終わった後、何気ない会話で俺とサラサさんがパンケーキを食べたことが知られてしまった。
「え、ええ。冒険者ギルドへ行って、その後に街の様子を調べていて……。以前、同僚と約束していたけれど仕事で行けなくなった人気のカフェで」
遠慮がちにサラサさんは愛里に言った。
「え――、いいなあ! 私も食べたかった」
愛里はサラサさんにどんなパンケーキを食べたか、聞いていた。サラサさんは詳しく自分の食べたパンケーキを説明していた。
「今度は皆で行こうか?」
ワイワイと、賑やかになりそうだけど。俺がそう言うと、愛里とサラサさんが黄色い声を出して喜んだ。
「良いですね! また行きたいです」
サラサさんが嬉しそうに返事をした。
「え――! お兄ちゃん、絶対、絶対にだよ?」
愛里も嬉しそうだった。
「アリシア姫さ……「姫様は、お城の一流コックが作るスイーツを食べなれているから、庶民のパンケーキはお口に合わないかもしれませんね」」
俺が姫様に話しかけようとしたら、ジョーさんがアリシア姫様にそう言った。
「あ……。そうですわね。お城のコックは、国一番のコックですもの」
サラサさんもジョーさんに頷いた。確かに、お城のコックさんのお料理は美味しい。だけど……。
「……」
姫様は表情を変えず、微笑んでいた。俺は愛里とサラサさんがパンケーキの話で盛り上がっているのを横目に、アリシア姫様の近くへ行った。
「アリシア姫様も、一緒に行きましょうね!」
俺がアリシア姫様にそう言うと、ピクッ! と体を揺らした。顔を下に向けて小さな声で「はい」と、返事をした。少し顔と耳の赤くなっているのが見えた。
「そうだよね! 姫様も一緒に、皆で行こう!」
愛里がこちらに気がついて、話しかけてきた。
「ね? 姫様も、ジョーさんも!」
愛里は姫様の所へ近づいて、姫様の手を握った。
「え! 俺もか!?」
女子ばかりのカフェに行くのは避けたいオーラを、ジョーさんは出していた。
「護衛ですよ? ジョーさん」
俺がジョーさんに言うと「仕事かぁ……仕方が無い」と言った。五人で行くのは楽しそうだ。
「じゃあ、姫様は変装しないといけませんね!」
愛里が楽しそうに言った。姫様をドレスじゃなく、おしゃれに着せ替えするつもりだな。
「まあ! 変装ですか? 私もお手伝いいたしますね!」
姫様を囲んで楽しそうで良かった。
ふと、姫様が俺の方に向いた。何だろうと思っていたら、唇が動いた。
『あ・り・が・と・う』
口の形が、ありがとうと言っていた。
姫という立場で、我慢しなくてはならないことがたくさんあるのかなと思った。出来れば、愛里とサラサさんと俺とジョーさんの前くらいは立場を忘れて、年相応の女の子でいられたらいいな。
『ど・う・い・た・し・ま・し・て』
俺も声は出さずに、口を動かして姫様に伝えた。
ふわりと姫様は微笑んだ。
おまけ 終




