24 新しい仲間と新たな目標
「アリシア殿下。お久しぶりで御座います」
街で会ったジョーさんが、パーティーに加わってくれた。アリシア姫様の諜報員と聞いた時は驚いたけど。お城ではなく、聖女の力が強い教会の方へ集まった。
片膝をついてジョーさんは、アリシア姫様にひざまついた。
「お互いに顔を合わせるのは久しぶりですね。貴方の情報はとても役に立っています」
アリシア姫様はジョーさんに、立ち上がるように促した。大きなテーブルがあり、椅子が5、6人分ある話し合いができそうな部屋に入った。
「お帰りなさい。サラサさん、お兄ちゃん。お疲れ様です」
愛里が近寄ってきて、俺達をねぎらってくれた。白い聖女の服装は違和感なく愛里に似合っていた。愛里はパーティーに加わったジョーさんへ顔を向けた。
「初めまして。ジョーといいます。パーティーに加わることになりました。よろしくお願いします、聖女様」
ジョーさんは愛里にも騎士の礼を取り、頭を下げた。
「ジョーさんですね。こちらこそ、よろしくお願いします」
ペコリと愛里は頭を下げた。
ジョーさんは人差し指を上に向けてくるくると回して、魔法をこの部屋にかけた。ジョーさんの部屋で使った遮断魔法だ。
「状況は変わっています。まずは現状報告をお話いたします」
アリシア姫様は資料を手に持ち、俺達に話を始めた。
「まず、異常に増えた魔獣や魔物達について」
姫様をはじめ、愛里とサラサさん、ジョーさんと俺はこの国に起こっている危機を話し合った。
「魔王の復活と、それを望む魔のモノ達。人間の中にもそれを望む者がいるということ」
「!?」
人間の中にも望む者!?
「そんな……!? 自分達の命が、危ないじゃないですか!」
俺は思わず大きな声を出してしまった。
「強力な魔の力を、分け与えられるのを望むそうだ」
ジョーさんが俺に言った。それって……。部屋がシーンと静かになった。
「人じゃ……、なくなる?」
愛里が震えながら呟いた。静かな部屋に聞こえた愛里の呟きは、認めたくなかったけれどたぶん正解を導き出していた。
「残念ながら、そうです。いくつかの……、異常な力の事件が起こっているという報告を受けました」
アリシア姫様は持っていた資料をキュッと握った。
「あと、皆さんにお話ししなくてはならないことがあります」
アリシア姫様は俺達を一人一人見て話し始めた。
「私の兄……アデル皇太子と魔法使いオンブルが、何か秘密裏に動いております」
アデル王子……。あんまりいい印象はない。それに魔法使いの人は何か気味が悪く感じていた。
「実は兄の素行があまり……よくなく、次期王としての素質を問う声があります。それで何か良くないことをしているのではないか、と疑いが。証拠はないので、まだ言えません」
アリシア姫様は悲しそうに言った。兄の素行が悪いなんて。しかも次期王なのに。
「カケル様と愛里様には巻き込む形になってしまい、申し訳ございません。ですが、どうぞお力をお貸しくださいませ」
両手を握りしめて、俺と愛里を見つめている。
「……勝手にこの世界に召喚されて、父と母は元の世界へ帰されちゃったし。帰るために【魔獣石】を集めなきゃいけないし。正直、怒っている」
アリシア姫様は唇をキュッと噛んだ。
「だけど【魔獣石】を集めなきゃ帰れないし。俺と愛里だけじゃ、たくさんの【魔獣石】を集められない。だから! 協力するし、協力して欲しい」
「わ、私。私も、お兄ちゃんと同じ考えです。よろしくお願いします」
俺は立ち上がって姫様とジョーさんに、協力してくれと頼んだ。愛里も立って姫様とジョーさんに言った。
「ありがとう。カケル様、アイリ様。お互いに協力していきましょう! サラサ、ジョー。力を貸して下さい」
「「姫様!」」
サラサさんとジョーさんは立ち上がって、姫様に頭を下げた。
「影で暗躍する者。その力をいいように使うもの。危険ですが、こちらは私の権限を使って阻止したいと思います」
姫様は強く握っていた手を離した。そして俺と愛里の方へ視線を向けた。
「カケル様、アイリ様が早く、元の世界へ帰れるようにお手伝いいたしますね」
ちょっと悲しそうな姫様の顔が見えた。けれどすぐに、いつものように微笑みを浮かべた。




