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家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~   作者: 青佐厘音


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18 もふもふ…名前をつけました


  「こら、やめろって。ソラ」

ソラは嬉しいのか、俺にスリスリと大きな顔を擦り寄せた。しっぽは、めちゃ振っていた。


「カケル! 大丈夫か!?」

ザッ! と一緒に調査に来た、騎士達が集まった。

「あ、先輩!」

そろそろ合流しようとしてたから、良かった。俺はソラの顔を撫でて先輩の方を見た。


「皆! カケルを助けろ!」

「デカい! 囲んで仕留めろ!」「カケルにケガはなさそうだが、魔獣に気をつけろ!」


 先輩方は俺が魔獣……、ソラに襲われていると勘違いをしている! 早く誤解を話さないと!

 ソラはしっぽを振るのをやめて、いつでも飛びかかれる態勢をしていた。警戒をしている。

「先輩、待って下さい!」


 今にもソラに斬りかかりそうだった。

「ソラも待って。味方だ」

「クゥン……」

 俺がソラに言うと、警戒心をゆるめた。


「先輩! この子は俺と友達になりました!」

俺はソラの頭を撫でた。

「「「えっ!?」」」

ソラの頭を撫でると、スリスリと俺に顔を擦り寄せた。


 先輩達は驚いて剣を構えたまま、固まっている。

「魔獣だけど、むやみに襲っては来ませんでした。こちらの言葉がわかるようですし、竜のように魔力を食べるみたいで害はありません!」

 俺が先輩達に経緯を説明をすると剣を納めた。


「信じられん……! こんな大きな魔獣なのに」

先輩達はジリジリとこちらへ、近づいてきた。

「グルッ!」

「ひっ!」

 ソラの首を優しくポンポンと叩いた。

「大丈夫だよ。仲間の先輩達は優しいよ」

ソラに言うと、ぺろっと俺の頬を舐めた。


「本当に、大丈夫そうだな……」

「近寄って大丈夫か?」

恐る恐る先輩達は、側まで来てくれた。

「大丈夫です! ソラって名前をつけました」

にっこり笑って、ニック先輩に話しかけた。


「えっ! 名前をつけたのか!? ……それは、その魔獣を従えることになったぞ」

「へ? 従える?」

名前をつけることが、そんな意味があることなんて知らなかった。だって動物と家族になるなら、名前をつけるだろう……?


「お前、知らなかったのか?」

「はい……」

 俺は従わせるようなことを、するつもりはないけれどな。

「まあ。害がないなら、いいだろう。調査目的の『魔のモノでも襲ってこないタイプ』が見つかった。調べるにはちょうといい、魔獣だ」


「調べる……って、ソラを拘束するつもりですか?」

嫌な予感がして、先輩に聞いてみた。

「お城に連れて帰るなら拘束は必要だ。いつ我々に襲いかかってくるか、わからないからな」

 ザッ! とソラは脚に力を入れた。


「待って下さい! ソラは襲って来なければ、襲いません! たぶん……竜と同じ、頭が良い(魔獣)で言葉を理解し、魔力を(ご飯)にして()()できるタイプかと思う!」

俺はソラの体に触れて、先輩騎士さん達に話した。……分かってくれないだろうか?


 もしもソラを、無理やり拘束するならば俺は……。

「あ――! 分かった分かった! こちらから、ちょっかい出さなければ大丈夫なんだな? 竜と同じく」

 なるほど! と周りにいる、先輩騎士さん達は言った。

「は、はい! そうです!」


「ならば。カケルが全責任を持って、面倒をみてくれ。あと……調査のために、お前と一緒にて調べさせてくれ」

 仕方ないなとニック先輩は、ため息をつきながら言った。

「はい!」


 良かった。ソラを拘束しなくて、お城に連れて帰れそうだ。

「じゃあ、皆! 調査終了! 帰るぞ!」

「はい!」

 調査終了の合図とともに隊になり、森から帰ることになった。


「でも……こんなに大きいと、お城の皆が怖がって攻撃してこないかな? 大丈夫かな……」

 俺はソラを心配して話しかけた。

調査隊の一番後ろについて、俺とソラは歩いていた。


「もう少し、小さければ怖がられないのにな」

歩きながらソラの頭を撫でた。

「え?」

 ピカッ! ソラが光った……。淡い光に包まれて、ソラの体が縮んでいった。


「ええっ!?」

淡い光が消える頃、ソラは大型犬位の大きさまで縮んだ。……そんなことができるなんて。

「ええぇ――!?」

 騎士さん達は一斉に叫んだ。……そうだよね。


 でもこれで、魔獣のソラを怖がる人はいなくなったと思う。

「ソラは賢いな!」

 わしゅわしゅ! と全身を撫でてやる。ふわふわの白い毛で抱きしめられる良いサイズになって嬉しい。

「わん!」


「本当に言葉を理解している……。これは大発見かも」

ニック先輩は呟いたが、俺はソラをモフっていたので聞こえてなかった。

 ソラはまた、しっぽを激しく左右に振って喜んでいた。

 

 「ソラ! モフモフ……! 幸せ……」

「わん!」


  

  「()()()何だ? カケル」

お城に着いて、訓練所にとりあえずソラを連れてきた。愛里とアリシア王女がやってきて、アリシア王女がソラを指さして言った。


 「森で出会った、ソラだよ。俺と一緒に暮らす」

 頭を撫でながら返事をした。アリシア王女と愛里はお互い、顔を見あいながら戸惑っていた。

 「……それ、魔獣だろう? 大丈夫なのか? カケル」

 アリシア王女は、声を小さくして俺に実耳打ちしてきた。

「え、何で魔獣ってわかったの?」

 白い犬にしか見えないのに……。俺は驚いて二人を見た。


「見た目は白い可愛い犬にしか見えないけど、強い魔力を持っているのが見えるよ? お兄ちゃん」 

 愛里がソラの近くに、しゃがんだ。ソラをじっと見ている。

 「でもこの子。警戒はしているけど、襲ってこない」

 ソラも愛里をじっと見ていた。


「ソラ。その子は俺の妹の愛里だよ。そっちの女の子は、この城のお姫様のアリシア姫様。二人とも優しいから大丈夫だよ」

 俺も、しゃがんでソラの体を撫でた。

「わふん!」 

 理解? したようだ。

「なるほど……」

 姫の独り言が聞こえた。なにが、なるほどなのだろう?


 「とりあえず……。一緒に森へ行き、この魔獣()の事情を知った者に箝口令を命ずる!」

ニック先輩や、一緒に森へ行った騎士さん達に姫様は言った。

 「了解しました!」

「報告に行くのだろう? 私も同行する」

 「はっ!」

 

 ニック先輩達は「お疲れ――!」と俺に言い、アリシア王女は、俺達に手を振ってお城の中に入って行ってしまった。愛里と俺、ソラだけになって立ち上がった。

「お兄ちゃん。ソラちゃんは普通の人が見たらワンちゃんにしか見えないけれど、ドクトリング様とアリシア王女、魔法使いオンブル様、私とお兄ちゃんには魔獣(闇のモノ)とわかるわ。アデル王子は魔力が高いか、知らない」 

 「え、そうなんだ」


 愛里に言われて心配になった。ここに連れてきちゃったけど、ソラはもう俺の家族だ。

 「大丈夫! ソラは俺が守る!」

 なっ? とソラに、話しかけた。「わん!」と、ソラは返事をした。

「私は聖魔力が強いから、撫でるとあんまり心地よくないかもしれないけど……。お兄ちゃん、ソラちゃんを触っていい? いい? ソラちゃん」

 愛里がソラの鼻先にもっていき、手を嗅がせた。


 すりっ……と愛里の手に顔をすり寄せた。

「ソラちゃん、ありがとう」

 愛里はソラの頭を撫でた。ソラは、嫌がっている様子はなかったので良かった。

 「う――ん。頭がいい子だね。もしかして竜と同じような、個別に生息している種かも……」

 個別に生息している種?

「個別に生息って……」

愛里はソラから撫でていた手を離して、周りに人がいないか見渡した。


 「魔物と魔獣の、研究と調査が進んでいて……。大型の魔物と魔獣は、闇の魔力の強い人の意のままに操られるそうなの」

 「え」

 やはりそうか……。城壁や町や村を襲った魔獣達は、傷ついても破壊行動をやめなかった。

 「虫系と小動物の魔物は、まとめてコントロールできるそう……」

 数が多いからか。


「闇の魔力が強いって言っても、魔王クラスぐらいの強い魔力持ちじゃないと操れないって言っていた」

 「そうなんだ……」

 と、いうことはやっぱり魔王クラスの魔力持ちが、いる。

アカツキは魔王候補と言っていたけど、やつの姿があれから見てない。やつならば襲わせた街や村に、姿を見せる気がする。他の奴が……操っている?


 「魔獣の中に、特に魔力の高い個体がいくつかいて……。その一番に(ドラゴン)と、言われてる。他の種と違う場所で生息し、魔力が高い人にでも屈しなくて、魔力を引き換えにして友好的に協力している……とドクトリング様が教えてくれたの」

 「(ドラゴン)

 俺は愛里が教えてくれた情報を聞き、ソラを見た。


 賢いと思っていたけど、ドラゴンレベルの高い魔力の種……なのかな?

「なるべく……。特に魔法使いオンブル様と、アデル王子には近づけない方がいいわ、お兄ちゃん」

 「わかった。ありがとう、愛里」

 あの二人はあんまり良い印象がない。近づけないようにしよう。


 「ところでお兄ちゃん。ソラちゃんはどこで生活するの?」

 愛里に言われて、少し考えた。

「俺の部屋で、一緒に住む」

お城の外はまずいし、かといってお城の中で放し飼いは無理だし。

 「そうね。それがいいね。お兄ちゃん、ソラちゃん」

「わふん!」

 ソラの同意をもらった……? ので、決定だ。


 「私はドクトリング様にお話をして、ソラちゃんが暮らし良いようにしてもらえるようにするわ」

 「頼む」

 俺と愛里はその場から離れて城の中へと入った。


 「じゃ、また。お兄ちゃん」

「ああ。またな」

 愛里と別れて俺とソラは騎士団の寮へと向かった。


 「ソラ。俺と一緒に暮らす部屋に案内するよ」

「わん!」

 ご機嫌らしいソラはしっぽをフリフリと振って、俺の横をトコトコついて来ていた。白いふわふわの毛並み。利口な魔獣()、ワンコ。

 「トイレ……は、自分で見つけて行きそうだな」

「わふっ」

 ソラが頷いたような……? まさか、な。


 俺は毎日ソラと一緒に、過ごせると思ったら楽しくなった。


 

 

 


 


 

 

 

 

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