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家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~   作者: 青佐厘音


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16 西の街 新たな能力? とウンディーネ


 騎士団と一緒に、馬と馬車で西の街に向かった。

道中、なぜ竜で移動しないのか? と前から気になっていたことを騎士団長さんに聞いた。

 「ああ。竜は、従わせるのが難しくてな。魔力の高い者の魔力を吸収(喰う)のが好きで、魔力の高い者しか言うことを聞かないんだ」

 そうなんだ。


「賢者ドクトリング、勇者カナ、王族の方の数人、あとは騎士に数人と、お前の父……くらいだな。竜に乗れるのは」

 「少ないですね」

 俺は馬で騎士団長さんと並んで移動していた。乗馬の練習をして乗れるようになった。愛里とアリシア王女は馬車に乗っている。


 「竜は、魔力を吸収(喰う)?」

 初めて聞いた。肉とか食べると思ってた。

「そうだ。だが竜も人を……魔力の()を選ぶらしいぞ? 人間で言う、()()()らしいぞ?」

 「へ? グルメ?」

 団長さんが笑い出したので、俺もつられて笑った。一緒に移動していた騎士達も聞こえていたようで皆、笑い出した。


 竜がグルメ……。簡単に人間の言うことを聞かないのか。

「気に入らない魔力()だと、威嚇するからな、竜は」

そ、そうなんだ。気難しいな。


 「前方に魔獣がいます!」

「気を引き締めろ! 戦闘態勢をとれ!」

先発隊から知らせがきて、団長さんの号令で一気に緊張が走った。

 騎士団が街に突入して行き、次に魔法の攻撃隊、安全な場所で後方支援する愛里と王女の救護隊と、続いた。


 「まず、住民の救出を優先! 後方へ避難させろ! 魔物と魔獣を殲滅させる!」

 走りながら街の中に入った。団長さんの声が響いた。

「騎士は二人一組で行動!」

「はいっ!」 

新人は先輩と組むように決まっている。俺はニック先輩と組んだ。


 「またトンデモない魔獣が出たら、よろしく!」

 ニック先輩は俺にニカッ! と笑って言った。

 「だが、油断するなよ。ほら、お出ましになったぞ!」

 それぞれ騎士達は、二人一組でばらばらに街中へ散った。住人を探すためだ。

 狭い家と家の間に魔物が、うじゃうじゃ、いた。


 「いくぞ、カケル!」

 ニック先輩が大声を出して魔物に向かって行った。怯みそうになる戦闘経験の少ない俺を、奮い立たせてくれた。

 「おう!」


 黒くて形が崩れている。元は何だったか分からない()()()だ。ただ、目が赤く光っていて不気味だった。

 ギイイイイ! 

 魔物達は鳴き声を上げて襲い掛かってきた。 

 ザッ! グシュッ! ザシッ!


 俺と先輩は剣を使って切りまくった。

「いいぞ、カケル! その調子でいけ!」

 「ニック先輩、後ろっ!」

 ザシュ!

 ギイイイヤァ――! 先輩に後ろから襲い掛かってきた魔物を、どうにか倒した。

 「はっ!? すまん! ありがとう、カケル!」

 「いいえ! それにしても……」


 二人、ふう……と息をはいた。この辺の魔物はだいたい倒した。だけど、魔物の様子がおかしい。前はもっと動物の形をしてた。ここの魔物は大型犬くらいの、硬くて黒い大きなスライムだ。

「このタイプは今まで見なかったな……。住人を探しに行こう」

 「はい」

 ニック先輩も、おかしいと感じているようだ。


 「うああああ! 助けてくれ!」

 近くで助けを求める叫び声が聞こえた。

 俺と先輩は顔を見あって頷き、声の方へ走った。


 「カケル! 熊の魔獣だ! 気をつけろ!」

 狭い裏道を抜けて行くと、広場に出た。噴水があってその前に大きな熊の魔獣が、鋭い爪の手を高く上げて住人に襲い掛かろうとしていた。

「助けてくれ――!」

 まさに鋭い爪を振り落として住人に切り裂く瞬間、頭を抱えてしゃがんだ隙間を狙って剣を振った。


 ボウッ――!

「えっ!?」

 ザッシュッ!!

 無意識に剣に魔法をまとわせていた。ただそれがいつもより威力が強かった。

 炎をまとった剣は、熊の魔獣を切り裂き、一瞬で跡形もなく燃やした。


 「うああ! 助かった……? ありがとうございます!」

 住人は魔獣が消滅した場所から這いつくばって、俺達の所までやってきた。

 「お城の騎士さん達か! ありがたい!」

 あちこち傷だらけだが、大きなケガはなさそうだ。良かった。

「街の外の安全な場所で、ケガの手当をしている救護班のテントまで行きましょう」

 ニック先輩が住人に手を貸した。


 「カケル。俺はこの人を送って行くから、進まずこの付近にて逃げ遅れた住人がいないか探してくれ」

 「分かりました!」

 助けた住人は歩いて移動できるようなので、ニック先輩が送ることになった。この辺はさっき、ほぼ魔物を倒したので一人でも大丈夫だ。


 それにしても……。さっきの炎の威力は凄かった。この前は剣を固くするように念じた魔法だったけれど、今回は炎をまとわせられた。

 無意識で一瞬で大きな熊の魔獣を焼き尽くしたのだから、訓練すればもっと強い炎を出せるのではないか?


 「騎士団です! 助けに来ました! 逃げ遅れてないですか!」

俺は家のドアを叩いて、住人が逃げ遅れてないか確認しながら周った。

 十件くらい家を調べただろうか? 

 この辺の家は、ほとんど調べたが誰も残っていなかった。先輩が戻ってくるまで俺は、さっきいた広場の噴水で待っていることにした。


 途中、小さい魔物は出てきたが一人でも楽に倒せた。ただ数が多かった。振り払うようにして俺は広場に向かった。

 


 「うああああああ! トロルが出たぞ――!」


 広場が見えてきたとき、叫び声が聞こえた。トロルだって!?

あの城門を襲ってきた、でかい怪物が!?


 家と家の間を通り抜けると噴水近くに()()()は、いた。

 ぬぼーっとして動きはノロいが、振り落とす武器の威力は半端ない。岩鷲な城壁も壊された。

 「こんな奴が街中を暴れたら、街がぐちゃぐちゃになる!」 


 騎士達が何人かトロルの周りを囲っているが、手出しが出せないでいる。下手に怒らせて暴れると、厄介だからだ。

 どうする?

「カケル!」

 ニック先輩は噴水まで戻って来ていた。

「ニック先輩!」

 俺は騎士団の人達と合流できた。


 「一斉攻撃して一気に倒す!」

騎士団団長が剣を構えた。騎士達も攻撃態勢になった。

 「「おう!」」

 掛け声とともに、トロルに攻撃を仕掛けた。

 

ぐおおおおおお――!

 トロルは雄たけびを上げて、武器を振り回した。

「トロルの攻撃を避けつつ、近づいて皆で攻撃していけ!」

「いくぞ!」


 ドカン!

「気をつけろ!」

 トロルはこん棒みたいな武器を振り落とした。地面がえぐれていた。

「凄いバカ力だ」

 トロルの攻撃を避けて、動きが止まっているうちに騎士達が攻撃を始めた。

「ちっ! 硬い体だ!」


 攻撃を繰り返しているけど、トロルにあまりダメージが効いてない。

「切り傷くらいのダメージか! 一ヶ所を集中して狙え!」

 団長さんの掛け声で一斉に、同じ場所を狙いにいった。

ぐおおおお! ぐおおおお――! 

 効いているのか、トロルは雄たけびを上げて武器を振り回した。

「危ない! 当たらないように気をつけろ!」


 トロルが武器をブンブン振り回したので俺達は、少し後ろに下がった。

ガシン!

 「あっ!」

 噴水に武器が当たって一部が壊れた。


 「ちっ! 大人しくなったら攻撃! 今は離れろ!」

「「了解!」」

 トロルがまだブンブンと、武器を振り回している。騎士達は遠巻きで警戒しながら、チャンスを狙っていた。


 「くそ……」

 何かいい作戦はないか? 汗が、こめかみから流れ落ちていく。時間ばかり過ぎて皆に焦りが見えてきた。

『ちょっと! そこのキミ!』

 「へ?」

 突然聞こえてきた女の子の声。この辺の住人は避難しているはずだ。キョロキョロと周りを見ても女の子はいない。


『ここよ! ここ!』

声の主は噴水の方から聞こえてきた。そっとトロルの背後の方に移動してみる。


『私よ! ここ!』

 ちょっと切れ気味な声の主を見つけた。

「え? 精霊!?」

 噴水の側にある木の影に、半透明の女の子が隠れていた。髪に毛や肌など全体的に青白くて、向こう側が透けて見えていた。お城で見た、本に書いてあった精霊だ。


『そうよ。私は水の精霊 ウンディーネ』

ウンディーネと名乗った、水の精霊は木の影から出てきた。美人さんだ。

『奴が、私の住処の噴水を壊したの! 許せないわ! やっつけて!』

 ウンディーネは、プンプン! と怒っていた。

「いや、でも……。体が硬くて倒せないんだ」

 俺はウンディーネに説明した。するとウンディーネは『まあ!』と言って俺に近づいて来た。


 上から下まで見て『ふ――ん?』と呟いた。

『アナタはサラマンダーの能力を、吸った(吸収した)わね』

 「えっ!? サラマンダーの能力?」

 ウンディーネに言われて、心当たりがあったので驚いた。


『アナタ。悪い人じゃなさそうだから、私の能力を分けてあげる。あ、魔力はもらうわね?』

 「え、ちょっと!」

 何だか勝手に、話が進んでしまった。混乱しているうちにウンディーネは、俺の額に人差し指を突き刺して目を閉じた。

『ウンディーネの名のもと、力をあたえる。アナタの名は?』

「カケル……」


『そう。良い名前ね』

 そう言いウンディーネは指先から光を放つと、俺の額に光が吸い込まれていった。

「え……」

『これでヨシ!』

 なにがヨシ! だよ……?


『さあ! 早く邪魔なトロルを、倒しておしまいなさいっ!』

 え――。説明も何は、なし?

「使い方は?」

『水攻めで倒すのは時間がかかるし残酷だから、水のカッターをイメージしてスパッ! とやっちゃって!』

 手のひらを横に切る様な仕草をした。妖精……意外と残酷だった。

 

「やります!」 

俺は皆が戦っている噴水の近くに戻った。

 「カケル! 何やってたんだ!」

 団長に怒られたが説明してる暇はない。

「俺が倒します!」


 トロルが武器を振り上げた! 今がチャンスだ!

「うおおおお!」

言われた通り、鋭いカッターをイメージをして水を剣にまとわせてトロルの太いお腹を横に切った!


 グワーッ!?

 トロルの大きな体を切れるほど剣にまとった水の魔法は伸びて鋭く、体は真っ二つに離れた。

 「カケル!?」 

 ドシ――ン! とトロルは倒れた。


 「カケル! 助かった!」

「よくやった!」

騎士達が俺に駆け寄ってきて、背中とか肩を叩かれた。


 噴水の方を見ると、ウンディーネが足先から噴水の水の中に入っていくのが見えた。

『ありがとう!』

 そう言って投げキスを俺にした。


 サラマンダーの能力と、ウンディーネの能力……。

俺は先輩騎士さん達に褒められながら、額を触った。特に何も変化はないようだった。

 能力を吸収する、()()か……。

 

 

 

 

 


 



  

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