表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ

 雲1つない晴れ渡った空。程よい風通しに暑くも寒くもない天気。

 失敗も多く議論の多さ。否定されることもあれば所詮は子供の戯れ言と苦笑、馬鹿にされること度々あったこの長き12年。

 本日、星歴2657年木の葉採月1日。異世界初の遊園地、Ever playground(エバープレイグランド)略してエバラン遂に開演します!





 事の始まりというのは何時も急なもので事前準備なんてする事なんて出来ない。今回も当然そうだ。何せ転生する予定もなければ死ぬ予定すらなかったのだから。

 ふと目が覚めると私はふかふかの布団の上だった。何時ものとは違う布団に早々に違和感を覚えた私は体を起こそうとして再び違和感を感じた時に突然の声に驚く。

 「お嬢様お目覚めですか~?今飲み物お持ちしますね~。」

 「えっ?」

 見知らぬ女性の声にあっと驚き声の方を見ると既に女性は扉を出ようとしている所だった。ひらりと揺れるスカートに身に纏う服が後ろ姿からでもメイドではないかと思われる。

 そんな趣味はないぞ?!とふらっと仕掛けた所で鏡が目に入る。

 きょとんとした顔の幼女にそう言えば「お嬢様」と彼女が呼んでいた事を思いだしキョロキョロと探すが同じように行動するだけで見当たらない事から体を見ると縮んでいた!

 縮むだけだと某探偵のようだが何とかベッドから降りて鏡に近づくと更に姿の違いが良く分かる。

 さらさらのストレートヘアに変わりはないが色合いは黒でなくシルバーブルー。目も黒でも茶色でもなく鮮やかな夜を彷彿とさせ、肌も日本人特有の白さではなく海外特有の陶器のような白さ。目鼻もスッキリとして整っている。試しに笑ってみると変わらず右頬にエクボはあったが目は大きく少し垂れ目がちなことかはかなり柔らかな印象を受け、左頬に黒子が2個付いていた。

 と、自分の容姿を客観的に捉えているとメイドが戻ってきた。

 「お待たせしました、お嬢様。お好きなポムのジュースですよ~。」

 トレーにはおしぼりと鮮やかな黄色の液体が入ったコップと同じ液体が入った水差しがあった。

 言葉は英語でも日本語でもないが自然と理解できる。

 「ありあとぅー。」

 返事をしメイドにテーブルの椅子に座らせてもらっておしぼりで拭き、ジュースを飲む。

 ポムのジュースと聞いて悩んだが何の事はないリンゴのジュースだ。同時にそういえばリンゴをポムと呼ぶとこもあったなと思い出す。

 「ねー。わたちなんしゃい?」

 「お嬢様の年齢ですか~?今は3歳ですよ~。」

 「おなまえはー?」

 「アイリス様ですよ~。」

 私の疑問に思うであろう質問にニコニコ笑顔で答えてくれる。

 「しかし明々後日で4歳になられますね。パーティー楽しみですね~。」

 突然の誕生日宣告に驚くが頑張って笑顔で頷く。

 ──まだ何も把握できてませんが?!

 「ジュースもーいい。」

 「かしこまりました。それでは遊ばれますか?」

 メイドの質問にうん!と元気良く返事をし家の中の探索を冒険ごっこと称し行うことにする。









 ──まだ全然見れてない気がするんですが?!!

 そうゼーハーと深呼吸をするのもメイドに伝えてから1時間たった頃だ。

 最初はメイドがいるならそれなりな広いだろうと思っていたが舐めていたようで。まだ1フロアも見回れていない。

 足が短いせいもあるかもしれないが仕方なくメイドに抱きかかえてもらい中庭に移動して屋敷全体を見ようと考える。

 中庭すらも広いのでかなりのお嬢様らしい。

 東屋があったのでそこの椅子に座り改めた屋敷を見上げると2階建てではあるものの横に広いようで中庭をコの字で囲んでいるようだ。おそらくこのまま中庭を突っ切ると裏門に出るのだろう。

 「おーちひろいねー。」

 「そうですね~。私達使用人の部屋があそこの一角にあるのですがお嬢様は辺境伯なので侯爵家ぐらいあるかもしれませんね。」

 貴族の階級に疎く侯爵が偉いのは分かるが辺境伯がどの位置に当たるのか検討がつかないでいるとメイドが上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵だと教えてもらった。

 大抵の異世界本では公爵や侯爵に転生するものが多いので自分は珍しい立ち位置に転生したのだろう。

 ちなみにこうして考えている前世の知識は記憶ではなく知識という形でインプットされている。記憶要領の問題で前世分の記憶を持つとなると問題が発生するだろうし今の新しい自分に前の人格は不要な事もあるので有難い。今は3歳のアイリスという名前のお嬢様なのだから。







 そうしておやつも東屋で食べ更に中庭を散策した後は夜ご飯だ。漸く家族と会えるので緊張もするがお腹が空いているのでそっち優先になってしまっている。

 メイドに手を引かれ入った部屋にはメイド、執事が数人と席に着いている男性と女性が一人ずつ、少しお年を召された男性と女性が一人ずつ居た。

 「お待たせいたしました。」

 メイドに席を引かれ座ると料理が運ばれてくる。

 「いただきます。」

 年配の男性がそう言ったのを合図に他の人達も挨拶をして食べ始める。

 年配の男性はグレーの髪をオールバックにし、白と黒の服を着こなす垂れ目の60ぐらいの初老だ。

 年配の女性はシルバーの胸当たりまである髪を三つ編みにし体の前に持ってきている。同じく60ぐらいの年齢だろう。

 男性は少し垂れ目でシルバーの髪をサイドダウンにし糊の効いたシャツに茶色のベストを着こなしており30ぐらいだろう。

 女性はブルーの髪緩くシニョンに結び前に垂らしている目付きが少し勝ち気な同じく30ぐらいの人だ。

 


 黙々とご飯を食べているのに少し気まずく思っていると目のあった初老の男性から声がかかった。

 「アイリスちゃんは今日は何をしてたんだい?」

 私に話しかけたことで全員の目が私に向く。

 「えっとね、やしきをたんけんちて、おそとでおやつをたべたの!」

 「あらあら。楽しかった?」

 「うん!」

 「そう。それなら今度はお婆様と一緒にお庭でおやつ食べましょう?」

 初老の女性が祖母らしいので男性は祖父だろう。

 話して分かったのは祖母がエミリア、祖父がガラン、父がアキギリ、母がクラウと言う名前で姓がシャフィクということだ。

 名前を忘れないようにしっかり頭に刻み込み楽しく食事を終える。

 その後は入浴をして自室にて絵本を読んでもらっていると眠りについていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ